一流の職人やスポーツマンは道具を大切にします。
日本記録や世界記録を樹立したイチローはメジャーで活躍する何十年も前から、チームメンバー帰ったあとも自分のグローブを入念に磨いたり、バットを置くときは布にそっと包み優しく置くことを習慣化しています。
一流のITエンジニアであれば自身のパソコンを大切にし、負荷を低くする方法や効率よく使う方法を知り尽くしています。
その世界で一流になるためには自分の商売道具を大切にすることは必要最低条件です。
では、営業マンや経営者にとっての道具とは何でしょうか?ここではその答えと理由を解説しています。
「一流」という言葉や「道具を大切にする」という言葉はよく耳にしますが、具体的にはどういったことを意味しているのでしょうか?
よく勘違いしがちなのは「大切に使う」=「一流」ということです。ただ、大切に使うだけでは一流とは呼べません。
大切だから恐る恐る使ったり、大切だから本当に重要な時にしか使わないということではありません。それは2流どころか、道具を使えていない人です。
「一流」とは、道具のパフォーマンスをいつでも100%引き出せるように手入れしている人のことを指します。
一流のITエンジニアはPCの能力をフルに使います。毎日使います。ですが、壊れてから修理に出したり、すぐに買い替えるということはしません。
PCの能力を毎日フルに使いますが、異変がないか細かくチェックし、きちんとメンテナンスをして明日も100%のパフォーマンスを出せるように使います。
一流の料理人も同じです。包丁が切れなくなってから研ぐ人に一流の料理人はいません。
包丁が常に切れる状態に手入れしている人が一流の料理人です。
最初に結論からいうと、営業マンや経営者にとっての道具とは「お金」です。
カバン、靴、スーツなど身に着けるものを想像された方も少なくないかもしれません。もちろんそれらは道具の一つではありますが、その中で最も重要なものは「お金」です。
よい仕事をするためには、きちんとお金の手入れをしておく必要があります。
なぜ、営業マンや経営者にとって「お金」が重要な道具かを理解するためには、お金とは何かを知る必要があります。
「お金」は紙や金属のときもありますし、実態のない電子の形をとっていることもあります。
包丁であれば、名作や駄作など包丁自体に「良い」「悪い」が存在しますが、「お金」自体に良い悪いはありません。
お金の「良い」「悪い」とは、お金をどう使うかで決まります。
お金に「良い」「悪い」はない。という性質の他に、「お金は上手に使う人のところに集まる」という性質があります。
なぜこのような性質があるかというと、それは「出入りの法則」に基いているためです。
出入りの法則とは、簡単に言うと、やったことがそのまま返ってくるということです。
つまり、お金を良く稼ぐ営業マンにとって、「お金という道具を良く使う」ことが目的を果たすために重要となります。
「出入りの法則」で重要なことは次の2つです。
出入りの法則は実在するモノ、人間心理、お金など様々なものに働いています。
4人乗りの車に既に4人が乗車している場合、新たに人を乗せるためには既に乗っている人に降りてもらわなければいけません。
スケジュールがパンパンのところに新しい予定を足すには、既にあるスケジュールのどれかをやめて空きを作らなければいけません。
出入りの法則が機能しているのは物理的なことだけではありません。私たちの精神面にも同じような作用が働きます。
人を大切にする人は、大切にした人からも大切にされます。
人に挨拶をする人は、多くの人から挨拶をされます。人のために動く人は、自分を助けてくれる人に囲まれます。
この法則は逆にも作用します。
人を批判する人は、多くの人から批判されます。
人に厳しく接する人は、多くの人から厳しく接せられます。約束を粗末に扱う人は、誰からも大切に扱われません。
多くの営業マンや経営者が犯す失敗の一つに「数値目標を追う」ことがあります。
今月いくらの売上を上げて、何件達成するかという数値ばかりを追い続けることです。
お金にも「出入りの法則」が働くため、新しく得るためにはまず、どう出すかに注目する必要があります。
しかし、数値目標を追うということは「どう入れるか」だけを考えている状態です。どう出すかが一向に考えられていません。
「数値目標を追う」は「収入ばかり計算する」のと同じです。どう入れるかだけを考えていては、売り上げが伸びることはありません。
「お金」に関する出入りの法則で、最も興味深いことは「正しく使うと、少し仲間を連れて帰ってくる」ということです。
お金を支払う時に「高いな」「支払いたくないな」と思っている人のところには、お金は集まってきません。
「俺・私は一銭たりとも払わない」と言っている一流の営業マンや経営者がいるでしょうか?
一流の営業マンや経営者を想像してみてください。一緒にいるときに、相手に飲み物をごちそうしたり、お店で買い物をするときに楽しそうに買っている姿が想像できるのではないでしょうか?店員さんにも丁寧なはずです。
「ありがたいな」と思って支払う人のところにお金は戻ってきます。
お金を「正しく使う」とはどういうことでしょうか?あなたは「自分の財布の中のお金を正しく使ってください」と言われたらどのように使うでしょうか?
頭の中に思い浮かべた家族、お客さん、同僚などの喜ぶ姿を想像して、その人に何かを買ってあげることが正しい使い方です。
高級なものを買う必要はありません。ちょっとしたもので十分です。相手のことを想像して、その人がそれを受け取って喜んでいる姿が想像できれば上出来です。
もし、正しお金の使い方がパッと思いつかない時は募金しましょう。
大金を入れる必要はありません。1円でも10円でも構いません。重要なことは毎日続けて、誰かが少しでもよくなるように、お金を出す習慣を身に着けることです。
募金箱に入れたお金がどのように使われるか、本当に書いてある通りに使われるかを気にする必要はありません。
「これでほんの少しでも良くなる人が増えますように」という思いを込めて募金します。
重要なことは「正しく出すこと」です。
お金を正しく使うというと、私は自分のための洋服や靴、家電製品やゲームなどのモノを買う時に「楽しみだな」「ありがたいな」と思って買っているという人がいるかもしれません。
ですが、それは出入りの法則の「出す」になっていません。
自分のお金がモノに形を変えて身の回りにそのまま残っている状態です。お金が洋服や車、お酒に形を変えただけです。
食欲や睡眠欲、性欲を満たすための買い物も同じです。そのためにお金を使ったとしても、お金は外に出たのではなく、形を変えて自分に戻ってきただけです。
「出した気になっているのに、一向に返ってこない!」という人は、お金が形を変えて自分の元に戻ってきただけかもしれません。
セミナーに参加したり本を買って読んだりといった、自分への投資をすることも大切です。
ですが、自分への投資をするときもお金を正しく使う必要があります。
「将来自分が利益を稼ぐために」という思いで自分に投資している人は、お金を外に出していません。形を変えて自分の元に戻ってきただけです。
そうではなく「将来誰かを幸せにするために」という思いで自分に投資することが正しい投資です。
この記事の内容は複数の企業を経営する中村信二さんの「営業の魔法」の一部要約および、自分なりの解釈を加えたものです。
営業の魔法は音声版で楽しく学ぶことができるものです。美しい心理描写のストーリー仕立てで、主人公が学びながら成長していく姿がありありと目に浮かびます。
最初から最後まで心からうならされる学びで満ちています。感動にも満ち溢れ、心が熱くなること間違いありません。
仕事や生き方で迷っている人はぜひ聞いてみることをお勧めします。心に希望の光を与えてくれる、何度も何度も聞き返す価値のある素晴らしい一冊です。