働くことににしか価値がないと思ったり、あるいは、その価値をとても重要視していて、ワーカーホリック気味で、ついつい長時間働き続けてしまう。
異性や家族といても、一緒に過ごす時間をリラックスして楽しむことが苦手。感情表現も上手くできない。特に、愛情や優しさ、思いやりを表現することが苦手。
だからこそ、仕事や目の前にある課題に打ち込むことで貢献しようとする。
そして、まだ足りない、もっとやらなくてはという思いに駆られやり続けた結果、燃え尽きてしまう、、
その原因は実は、あなたの幼少期に、精神的に健全に育つために必要な要素が与えられない、いわるゆ「毒親」のいる家庭環境で育ち、健全な精神が欠落してしまったからかもしれません。
ここでは、子供が身体的にも精神的にも健全に成長するために必要な要素や、毒親により、ワーカーホリックや燃え尽き症候群になる理由を事例を踏まえて解説する。
そもそも、子供が身体も心も健康に育つために、守られるべき権利がある。そして、それは親が守らなければいけない条件でもある。
子供に対してするべきことは、細かく見ればたくさんあるが、本質的には次の5つに分けられる。
すなわち、体と精神をしっかりと育み、守り、社会のルールを教えてあげることである。これらのどれか1が欠けてしまうと、子供は精神的な苦痛を背負ったり、社会に適応することが難しくなる。
いずれも文字数は少なく簡単で当たり前なことのように見えるが、実際は、多くの親が守ることができておらず、子供が心になんらかの障害を抱えていることが多い。最も基本的とえいる。必要な衣食住を与えることすらできない親も少なくない。
こういった親を毒親と呼ぶ。
子供は成長する過程で多くの事を家の中で学ぶ。言葉で言われることはもちろん、態度や雰囲気など言葉以外も含めて、親が発するありとあらゆるメッセージを、選択することなく全て吸収してしまう。
親の言うことは実によく聞いているし、親がすることは実によく見ている。何でもすぐに真似をする。
特に、小さいうちは子供は外の世界を知らず、家族から学ぶことが全てといっても過言ではない。家の中で親が発した言葉、態度、雰囲気は子供の心に奥深く根付いていく。
子供が自尊心を育み健康に育つために、親の役割がとても重要である。
親は食べ物や、着るもの、住む場所を与えるだけでなく、危険から守る。体の健康だけでなく、心の健康も育み守る必要がある。
していいこととしてはいけないことの違いを教え、失敗を許し、社会のルールを教えるしつけをする。しつけは教えることであって、肉体的に傷つけることや、精神的に傷つけることではない。
そして、子供が小さいうちは無邪気に遊び回り、制限することなく自然にのびのびと過ごせるようにする。子供の成長に合わせて、少しづつ責任を与え、家事を手伝うことなどを教える。
これが、子供が体も心も健康に育つために、親が担うべき役割である。
しかし、親が自分の責任を子供に押し付けることで、親のするべき役割と子供のするべき役割の境界線が曖昧になったり、歪められたり、逆転している家庭が少なからずある。
例えば、親が病気で動けなかったり、仕事でほとんど不在だったりする家庭では、子供がきょうだいの面倒を見たり、時には、親の面倒を見ることさえしなければいけなくなる。
この場合、子供は自分で親の役割を演じなければいけない。時には、親の親にまでならざるを得なくなってしまう。
身近には、模範として見習うことができる人や、何かを教えてくれる人、助けを求める相手すらもいない。
子供の心が成長し安定する時期に、本来それを与え守ってくれる親の存在がないと、子供の心には安定することのない精神が深く根付いてしまう。
このように、親が本来するべきことを押し付けられた子供は、親の仕事が両肩に重くのしかっかり、楽しく自然にのびのびと暮らす子供時代を過ごすことができない。
子供のときから既に小さな大人になってしまったようなもので、他の子供たちのように、屈託なく遊んでいる経験がほとんどなくなってしまう。
このため、精神的に健全な人がもっているはずの、子供時代が楽しいという感覚が欠落してしまう。
そして、子供が子供らしく育つための権利を奪われ、精神を満たされなかったことを「子供らしさや幼稚な楽しさは自分には必要ない」と信じ込ませようとする。
そうすることで、誰にも相談することができず、自分の感情を自由に表現できない、苦しみや寂しさと対抗する。
当然ながら、小さな子どもは大人と違ってできないことが多い。親の枠割を担い、一生懸命にやろうとしても、満足がいくまでやり遂げられることはほとんどない。
しかし、子ども自身には、なぜ自分が上手くできないのかが理解できない。そして、ストレスが溜まり、「自分はきちんとできない」という意識が根付いてしまう。そして、より完璧を目指すことを求めるようになる。
そういった不健全な精神状態の中で生まれる、誰にも打ち明けることのできない寂しさや苦しさを紛らわすためにも、より長い時間作業に没頭するようになる。
そのようにして親の役割をこなすことで、親や周囲の人からは「家の手伝いをよくできる子だ」「偉い」「がんばりやさん」という存在価値を認められる評価をされる。
子供心に誇らしいものになるが、心の中で蓋をされている寂しさや苦しさを吐き出すことが余計に難しくなる。
このため、「感情を吐き出さず、働きつ続けることはいいこと・褒められること」と深く思い込むようになっていく。
そして、いずれは「働いていなければ価値がない」という感情も加わっていく。
このように、心に深く刻み込まれた「自分はきちんとできない」「きちんとしなければいけない」という意識と、寂しさや苦しさに対抗する手段、そして、「感情を吐き出さず、働きつ続けることはいいこと」「働いていなければ価値がない」という自分の中に深く根付いた意識により、大人になってからもワーカーホリックとして仕事に没頭するようになる。
こういったワーカーホリックの傾向がある人に多いのが燃え尽き症候群だ。長時間働くことで、自分の負の感情に対抗し、存在価値を証明しようとする。
幼い頃は、親の枠割を担って働くことで、親や周囲の人から褒められるという精神的な報酬を得ることができるが、高校生以降ぐらいになってくると、周りの子も同じようなことができる状態になる。また、親の役割以外で頑張らなければいけないことが増え、対象の難易度も上がる。
これまで我慢して頑張った分、褒められるという精神的な報酬を得られていたものが、その報酬が得られにくい状態になる。
結果、「報酬を得るためには、もっともっと働かなければいけない」「今の自分では足りていない」「まだまだ不完全だ」「働かない自分には価値がない」という強迫観念に追われ、自分の体や精神に限界が訪れるまで、目の前にある課題をやり続けようとする。そして、燃え尽きる。
このように、親の枠割を担って子供時代を過ごしてきた人は、自分の感情を表現することができない。あるいは、強い苦手意識を持っている。
それは、悲しみや苦しさ相談することがいなかった結果、感情を押し殺し、そうするべきだと自分に言い聞かせてきた結果だからである。
育った家庭環境の中に、人に愛情を与えたり、人からの愛情を受け入れることについて、教えてくれる人が身近にいなかったし、それを学ぶ時間もなかった。
喜怒哀楽の感情が十分に育まれず、それを表現する方法を知らずに育った。精神的に健常な人がしている「感情を表現すること」「楽しむこと」ができないというよりは、そもそも、その方法がわからない。
また、「働くことがいいこと・褒められること」で、それが「家族のためになること」だと思いこんでいるため、家にいることよりも、外で働くことを選択し、長時間働き続けることで、パートナーのために頑張っていることを示そうとする。それが愛情だと思いこんで。
このため、子供時代から親の役割を担ってきた人は、能力的には優秀ではあるが、異性との深い関係性を築くことが難しい。
そういった人の異性関係は次のようなものが多い。
ワーカーホリック(仕事中毒)のために結婚が破綻した。いつも仕事でほとんど家には帰らず、返ってきても家で仕事をしている状態で、パートナーはあきれ果てて出ていった。
いまも、付き合っている人はいるが、また同じような調子でダメになりそうだ。
どうしても、ゆったりとした気分で生活を楽しむことができない。感情を上手く表現することも苦手で、特に、相手を思いやる気持ちや、優しさ、愛情表現といったものがまるでダメだ。
パートナーと一緒にいても、つい仕事の話ばかりしてしまう。「楽しい」とか「楽しむ」といった言葉とはまるで縁がない。
自分は仕事以外に能がない人間だと思う。
子供時代はきょうだいや親の手伝いをしていた。したかったわけではなく、他にする人が誰もいなかったからだ。
寂しいなどといって、自分を哀れんでいる暇などなかった。それをするしかなかった。
自分の感情の表現方法を知らず、何をしても常に、幸せではなく足りないという感覚に追われている子供は決して幸せとは言えない。
子供に体も精神も健康に育って欲しいと願うのであれば、そうならないように、親がこういった毒親の特徴を知り、納得して、誤ちをおこさないよう自身の行動に反映させる必要がある。
親の役割を子供に押し付ける例。仕事が忙しくほとんど家にいることがない父 / 母が、子供にかける言葉。
「宿題を忘れないように。それからお母さん / お父さんの面倒も見ること。ちゃんと食事をしているか確認をするように。
気分を落ち込ませないように気を配るように。きょうだいたちの面倒も見て、騒がないよう静かにさせておくように」
命令、指示ばかり。しかも、本来であれば親がやるべきことを子供に担わせている。
うつ病がひどい母、両親が毎週2回も電話をしてくる。
(父)「お母さんのうつがひどい状態で困っているんだ。ちょっとだけでもいいから休みをとって、家に帰ってくることはできないか?子供の顔をみたらお母さんがどれほど喜ぶか、わかっているだろう?」
(母)「お前が人生のすべてだ」「私はもうどれだけ生きていられるか分からない」
子供はもしこれを断って会いに行かなければ罪悪感を感じてしまう。
本当に危機的な状態で、子供もすぐにいかなければというのであればいいが、この父は、母の面倒を子供に押し付けたいだけ。母は子供に面倒を見て欲しいだけ。
相手の都合はおかまいなしに、自分たちの勝手を押し付けている状態。
これらの2つの例のように、子供に「過剰な義務感」と「罪悪感」を押し付けると、子供が本来持つ自分の意思に反して、親子の精神的な役割が逆転してしまう。
このような親の元で育った人は、大人になった後も、あらゆることの責任を引き受けて頑張ってしまう傾向がなかなか抜けない事が多い。
だが、いくら頑張っても、すべてを完璧にやり遂げることはできない。そのために、自分に対する「不完全さ」が消えず、心が晴れないので、さらに頑張るという悪循環に陥る。
この行動は莫大なエネルギーを消耗させる。そして、いくら頑張ったところで、何かをやり遂げた満足感を永久に得ることはできない。
もし、自分の親が毒親であり、そのために、精神的になんらかの苦痛を負っている場合、もし、克服したいという意思があるのであれば、そういう体験をして、苦しさや辛い思いをしていたという事実は目をそらさず曲げることなく受け止める必要がある。
そして、その怒りや悲しみは大元の原因である親に向けるべきである。
決して、子供やパートナーなどの他の人、あるいは物などに向けてはならない。
だからといって、親を直接的に責めることは解決策にはならない。
なぜなら、あなたの親もまたそういう家庭環境で育った可能性が非常に高い。そして、そのまた親も、、というように毒親はずっと連鎖している。
辿っていけば、親の不遇の死や失踪、戦争、災害などの原因にいきつくかもしれない。そこに行き着いたどころで「今」それらをどうすることもできない。
あなたに「今」できることは、その不幸の連鎖を止めること。自分が受けた苦しみを子供に与えないことがするべきことである。
毒親の連鎖は、決して遺伝なんかではなく止めることができる。
あなたが、勇気と努力で不幸の連鎖を断ち切り、パートナーや子供たちと肉体的にも精神的にも充実した幸せな家庭を築くことを願います。
この内容は、アメリカで医療関係のコンサルタントやセラピストとして著名なスーザン・フォワードが書いた「毒になる親 一生苦しむ子供」の要約と一部抜粋です。
この本は世界的にも著名で、「毒親」という言葉の起源になっています。
ここでご紹介した内容はほんの一部で、本書にはより興味深い内容が多く記載されています。もし、気になった方がいれば一度手にとってみることをお勧めします。