世界中に働いている人はたくさんいますが、自分が心から大好きで、才能を活かせて、世界の役に立てる仕事に就いている人はほんの一握りしかいません。
そういった最高の仕事を手に入れている人たちには1つの共通点があります。それは「数あるチャンスにノーと言い、本当にやりたいことだけにイエスと言う」ことです。
そういう人たちは決して「誰かに言われたからやる」「みんなやっているからやる」という選択をしません。
ここでは、絶対にやりたいこと以外はノーを言い続けた人や、本当にやりたいことを見つける方法、また舞い込んできたチャンスとの向き合い方について紹介しています。
この世には好きで、才能を活かせ、世界の役に立てる仕事を手に入れた人たちが存在します。その人たちがどう考え、どう行動してきたかは、あなたが好きで、才能を活かせ、世界の役に立てる仕事を手にいれるヒントになります。
海洋探検家のエンリック・サラは多くの魅力的なチャンスを我慢して、本当に欲しい唯一の仕事を選択した一人です。
もともとカリフォルニアの酢クリップス海洋研究所で教授を務めていましたが、「自分のやるべきことは他にあるはずだ」という気持ちを拭えずにいました。
そこで、教授という確固たる地位を捨て、動物系のドキュメンタリーなど自然、科学、地理、歴史に関する幅広いジャンルの映像素材を提供しているナショナルジオグラフィックに転職しました。
本社の職を得たものの、エンリックの望みは「世界で一番美しい海に潜りたい」でした。
途中で心惹かれる話があったものの断り、その機会をじっと我慢して完璧なチャンスを待ちました。
そして、数年後にその海洋探検家としてのチャンスが来た時、本社を離れ探検家へのポジションに飛び込んでいきました。
結果として、貴重な手つかずの海を守るために、国立公園に相当するような海洋保護区の設立に携わっています。
大好きで、才能を活かせて、世界の役に立てる仕事に就いたわけです。
アメリカのアメリカの作家兼プログラマーでTEDでも有名なデレク・シバースは、自身のブログの中で「もっとわがままにノーと言う」と主張しています。
そして、「絶対にやりたい!」か「やらない」かの2択で選択することを基準としています。
具体的に、次のようなことにこの2択を導入しています。
中途半端なイベントに参加するよりも、家でやりたいことをやっている方が生産的です。
結果として、「この人と仕事をしたい!」と思った人と仕事をし、心から「参加したい!」と思ったイベントにだけ参加し、「ここだ!」と思った本当に住みたい場所に住んでいます。
本当にやりたい仕事を選ぶには「基準を厳しくする」以外に方法はありません。
それは「これしかない」ということにのみ「やります」と手を上げ、それ以外の全てのことに「やりません」と断りを入れることでもあります。
自分の中に厳しい基準を設けることは、Googleの検索エンジンと同じ効果があります。
Googleで検索するときは抽象的なキーワードを入れると何万ものページがヒットします。ですが、より基準を厳しくしてより具体的な複数のキーワードを入力すればページ数を絞り込み、本当に欲しいモノに出会う確率も大きく上がります。
私たちの脳や巡ってくるチャンスもこれと同じです。
自分がやりたいことを明確に言語化して「自分はこれがやりたい」という基準を厳しく守りぬけば、やがてその基準に合致するチャンスが巡ってきます。
やりたいチャンスだけを確実につかみ取るためには、次の3つが必須条件になります。
実は「やります」とすぐに飛びつくことよりも、「それじゃない」と断る(流す)ことの方が重要です。
基準を厳しくすることはチャンスを逃すことだと考えてしまいがちですが、そうではありません。
基準を厳しくすることは本当にやりたいチャンスを手に入れる唯一の方法です。
例えば、洋服選びの基準が「いつか着るかもしれない」だと、クローゼットの中はめったに着ない服でいっぱいになってしまいます。
全ての決断にも同じことが当てはまります。
どうでもいいことを捨てられずにいると、本当に重要なことをする余裕がなくなります。
成功できない人には共通する思考があります。それは何かをやるときに次の3つの理由で行動していることです。
言われたら反射的に「やらなきゃ」と思う人や、頼まれたら「やってあげたい」と思う人が多い中、それらを「やらない」という選択をしています。
「みんながやっているからやる」というのはあまりにも価値のない基準です。SNSで多くの人がつながっているこの世の中では、そのような曖昧な基準でいると、あらゆるものに手を出したくなります。
結果、大切なものが埋もれて見えなくなり、成功どころか、人生の有意義さなど幸せも手放すことになります。
なお、「みんながやっているからやる」という基準は「いつか使うかもしれないからとっておく」と同じぐらい酷い基準です。
成功者 | 一般人 |
---|---|
上位10%の本当にやりたいことだけ「やります」と手を上げる | 何にでも「やります」と言う |
自分の求めていることだからやる | みんながやっているからやる |
個人としても企業としてもどんな仕事を受けるかの基準はとても重要です。
その基準こそが企業の個性や強み、そして社員の士気につながります。基準の曖昧さはありきたりと社員のやる気喪失につながります。
基準は明確かつ誰もが口にできる環境を整えるべきです。
目指すべきは入社間もない控えめな社員が「これは私たちの基準を満たしていないので、受けない方がいいのではなか?」と言える環境です。
そのぐらい明確な「絶対に守るべき基準」があることが重要です。
最初に明確な基準を持っていても、一度その基準に合わない行動をとると、基準はどんどんと曖昧になっていきます。
私たちは人なので、毎回同じものを貫き通すのは難しいところです。基準が曖昧になってしまったときはその都度、何度でも基準を徹底し直すことが必要です。
そうしているうちに基準が習慣として定着していきます。
企業のあるチームの例として、当初仕事を受けるかどうかの明確な3つの基準を持っている組織がありました。
しかし、その基準はどんどんと曖昧になり、言われた仕事をなんでもやるようになりました。
その結果、メンバーの士気は下がりました。その原因は大きく2つです。
仕事が無意味な作業になってしまい、会社の存在意義すら危うくなってしまいました。
かつては自分たちの強みを生かして個性ある仕事をしていたのに、基準が曖昧になった結果、無個性な何でも屋になってしまったからです。
メンバーの士気が下がった状態から立ち直った方法は、絶対に守るべき最も厳しい条件を一つ決め、基準を満たさない複数の案件を即座に却下したことです。
どの仕事をやるかの基準が明確になったことにより、メンバーの士気が上がり、会社の強みも戻りました。
絶対に守るべき条件があると、案件を受けるか受けないかの判断も簡単にできるようになります。
最も難しい選択の一つに、思わぬチャンスが転がってきた状況がある。
こんないい話は今を逃したらもうないかもしれない。そういった話が突如としてやってくることがあります。
ここで重要なのは全ての物事にはトレードオフの関係があることです。
目の前のチャンスにイエスということは将来のもっと理想的なチャンスにノーと言う事と同じです。
多くの人や起業が、簡単に手に入るという理由でそのチャンスにとびつき、大した成功や幸せを得られずに終わっています。
具体的にチャンスを見過ごしてこらえるとは、景気が悪いときに手軽にお金が入るチャンスが来てもグッとこらえて手を出さないということです。
自分たちの「信念」と「お金」が天秤にかかっているときに、「信念」を選ぶことです。
プレゼンテーション専門のデザインを手掛けるデュアル・デザイン社は元々は、WEBサイト制作やプレゼンテーション、デザインなどなんでもこなす会社でした。
しかし、ジム・コリンズの「ビジョナリー・カンパニー2」を読みふけり「本当にやりたい得意なことがあるなら、そのことだけをやりなさい」という言葉に感銘を受けました。
他のデザイン会社がやろうとせず、自分たちの得意分野であるプレゼンテーションのデザインに専念することに決めました。
そして、プレゼンテーションの仕事に特化してノウハウを積み上げ世界屈指のプレゼンテーション企業になりました。
その地位を築き上げるために、あらゆる他のチャンスにノーと言ってきました。
たとえ景気が悪くても、手軽にお金が手に入るチャンスが来ても「ノー」と言ってぐっとこらえました。それは飛びぬけた存在になるための代償です。
たくさんのおいしいチャンスを断って、その時間で自分たちの専門分野をとことん追求していきました。
もし、デュアル・デザイン社のように世界屈指の特化した企業になりたいのであれば「どの分野でどんな地位を手に入れたいか」を明確にする必要があります。
思わぬチャンスが舞い込んでくるたびに「受ける or 受けない」を判断するのは精神的にも疲れる作業です。
無駄な疲労をためないためのチャンスの判別方法があります。
用意するのは次の3つです。
この3つの要素を並べて、基準をすべて満たしていない場合は却下します。たったこれだけです。
この記事はAppleやGoogle、FacebookやTwitterなどの世界的に有名な企業でコンサルティング経験のあるグレッグ・マキューン(Greg・Mckeown)氏の「エッセンシャル思考」という本の一部要約と抜粋です。
世界的ベストセラーになったこの本には他にも人生を成功と幸せに導く格言がたくさん載っています。
興味を持たれた方は是非実際に手に取ってみることをお勧めします。