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人は他人に興味を持つ生き物|周りの状況に目を向けることの大切さ

「自分らしく生きる」や「他人は他人、自分は自分」という言葉がありふれていますが、「他の人が何しているか気になる」という人はたくさんいます。

気にしない振りをしても無意識に気になってしまうことも少なくありません。

他人が気になってしまう自分を振り返って「他人のことばかり気にして、、」という自己嫌悪に陥っている人もいます

ですがこれは人である以上仕方がないことです。他人が気になるのは悪いことではなく、人の本能です。

ここでは、いかに人が他人に興味を持つ生き物であるかという事例とその理由を解説しています。


人はいい結果を人と結びつけようとする

新聞のスポーツ紙を見ると、勝ったチームについて書くときに必ず活躍した選手にの写真がアップで載っています。

野球であればホームランを打つ瞬間、サッカーであればゴールを決めた瞬間などです。そして「〇〇選手による勝利の一撃!」といったヘッドラインが書いてあります。

ですが本当にそのチームを勝利に導いたのはその選手なのでしょうか?

監督の采配、あるディフェンダーの動きがゴールへの突破口になった、みんなを立ち直らせたキャプテンの一言など勝利の要因は目立った人とは限りません。

ですが、人は本能的に勝利の理由をわかりやすい人と結びつけようとします

もし新聞の1面の写真に野球場やサッカー場の全体像を上から撮影した写真が乗せられ、その下に各選手の配置と戦略について細々と書いてあるのではほとんどの人が見ません。

人は、人ではないものに対して興味が下がります


人は悪い結果の原因を人と結びつけようとする

人が何かの結果を無理やりにでも誰かと結び付けようとするのはいいことだけではありません。悪いことでも同じです。

政策の失敗者

日本の総理大臣はコロコロ変わることで世界的に有名です。

2007年頃から安倍晋三 → 福田康夫 → 麻生太郎 → 鳩山由紀夫 → 菅直人 → 野田佳彦といったように約1年単位で変わっています。

病気が理由の場合もありますが、そもそも人口減少、少子化による労働力や社会的競争力の低下、高齢化による医療費の増加、更には地震による原発事故やコロナなど、様々な外的要因により日本経済が下がっていきます。

これらは総理大臣の力が及ばない外的要因であることがほとんどです。ですが、日本経済が閉塞してくると多くの国民はその不満を総理大臣にぶつけ、支持率がどんどんと下がり、退陣せざるを得なくなります


監督やCEO

日本の総理大臣と同じく、サッカーチームの監督や企業の雇われCEOなど、業績がいいときは解雇されることがほとんどありません。

それがその監督の力によるものでなく、優秀な選手が集まり故障者が少ないとか、市場が上がっていて誰がCEOになっても利益が出る状態にも関わらずです。

逆に、優秀な選手がおらず負傷者ばかりだったり、市場が落ち目になっている場合は、監督やCEOの戦略は優れたものであるにも関わらずコロコロと交代させられることが当然のように起こります。

point

人は何かがおこるとその責任はトップにあると考える生き物。たとえ本当の原因は別にあったとしても。


戦争の責任者

誰か特定の人に注目して責任を押し付けようとするのは日本人だけではありません。

第二次世界大戦の責任はアドルフ・ヒトラーにあると考えている人が世の中にはたくさんいます。

第一次世界大戦の責任はオーストリアの大公を射殺した暗殺者が悪いと考えている人が世の中にはたくさんいます。

ですが、どちらもその人が原因で戦争が起こったわけではありません。そのもっと前から同国の経済的不満や対立が高まっていました。

アドルフ・ヒトラーや暗殺者がいなければ他の誰かがその代わりを担っていたでしょう。その人たちは本質的な原因ではありません

にも関わらず、人は誰か顔が見える人を責任者にしようとします

point

人は顔が見える誰かを無理やりにでも責任者にしようとする。



なぜ他人に興味を持つのか?

なぜ人が環境や状況よりもこれほどまでに他人に興味を持つのかというと、人が何万年も生き続けてきた狩猟採集時代に「他人に興味を持つことが生き残る術だったから」です。

狩猟採集時代は集団生活の中で生活し、何か危険が来た時に誰かが察知してそれをみんなに知らせたり、大きく危険な獲物を得るときはみんなで助け合って仕留めるのが生き残るために必須でした。

子孫を残し育てることも集団の中にいるからこそできることでした。

集団から追放されたものに待ち受けるのは「死」のみです。子孫を残すことすらできません

集団の中に所属して追放されずに上手く生き延びていくには他人のことを考えなければいけません自分勝手ではいけないのです

私たちは、ずっと他人のことを考えて暮らしてきた生き物の子孫です。だから私たちには起きている時間の90%は他人のことを考える本能が備わっています。

point
  • 私たちは、他人のことばかり考えてきた生き物の子孫。
  • 他人のことを考えることが生き残る術だった。


現代社会でどう生きるべきか

確かに狩猟採集時代は他人のことを気にする本能が生き残るためには必須でした。

しかし資本主義で回っている現代社会ではその本能はそこまで重要ではなくなっています。むしろ、賢い人たちは、人が本質や出来事よりも顔の見える人に興味を抱く性質を上手く利用しています。

新聞、ニュース、広告など至る所で、かわいそうな人、カッコいい人、キレイな人を起用したイメージ戦略が見られます。

成功しているSNSは、いいねボタンが気になってしまうという人の性質を上手く利用しています。

現代社会において「他人が気になる」という本能に振り回されている人は格好の餌食で、そういった人が幸せを手にすることはありません

現代社会で賢く幸せに生きていくには、私たちに「環境や本質よりも、他人に興味がいってしまう性質がある」ことを理解し、その本能と上手に付き合っていくことが必要です

point

目の前にいる人や写真など顔の見える人ではなく、行動や結果の裏側にある状況に目を向ける。


参考

この記事のスイスの有名起業家 ロルフ・ドベリが記した「Think right ~誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法~」の一部抜粋と要約です。

人が陥りがちな思考の罠がとてもわかりやすくまとまっています。この記事の内容以外にも全部で52個の人の性質がわかりやすい具体例で解説されています。

この記事の内容でハッとした部分が一つでもあった方は是非手に取ってご覧になられることをお勧めします。

あなたの人生をより賢く豊かにしてくれることは間違いありません。


yuta