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【本音と建て前】なぜ政治の世界で献金や賄賂が後をたたないのか?

政治の世界では賄賂や献金が禁止されているにも関わらず裏で大金が動いてスキャンダルになるなど、お金に関するニュースが事欠きません。

ですがほぼすべての政治家が自信の潔白を強く主張します。

もちろん合法な献金やプレゼントもありますが、その裏には各々の思惑が渦巻いています。

ここではなぜ政治の世界で賄賂や献金が盛んに行われているのかを心理学の面から解説しています。


貸しを作る大切さ

アメリカの第36代大統領 リンドン・ジョンソンは日本人にはあまりなじみがありませんが、ジョン・F・ケネディ暗殺事件の後に大統領になった人です。

リンドン・ジョンソンは法案をなかなか通せなかったケネディと異なり、たくさんの法案を通したことで有名です。

本来リンドン・ジョンソンの法案に反対すると想定された議員までもが、リンドン・ジョンソンの法案を可決しました。

その裏にはこれまでに積み上げてきた貸しが大量にあったことが影響しています

リンドン・ジョンソンは長年にわたる議員時代に他の多くの議員たちに恩を売っていました。その結果、大統領になった後にそういった人たちが恩を返すために法案に賛成票を入れたのです。

point

貸しを作っておくと法案が通りやすくなる。


貸しがないと法案が通らない

アメリカの第39代大統領 ジミー・カーターがいます。ジミー・カーターはもともと海軍大尉でリベラル派だったこともあり、議会にはあまり長く属していませんでした。

当時アメリカではリチャード・ニクソン大統領による大スキャンダル ウォーターゲート事件の影響もあり、政治の刷新が求められていました。

ジミー・カーターは「議会に借りがある人は一人もいない」という切り口で選挙運動を展開し、見事大統領に当選しました。

大統領に当選したものの、ジミー・カーター政権発足後になかなか法案を通せず苦労しました。

というのもリンドン・ジョンソンと違い、これまで恩を売って貸を作っていなかったため協力をしてくれる議員が少なかったのが原因と言われています。

point

貸しがないと法案がなかなか通らない(協力者がいない)


貸しをつくると法案が通る理由

貸をつくると驚くほどに法案が通りやすくなります。

その理由は人に返報性の性質があるためです。返報性の性質とは受けた恩は返さなければと感じる義務感のことです。

返報性の重要なポイント2つあります。

1つ目は相手が好きか嫌いかに関わらず、返さなければいけないという義務感が発生することです。

2つ目は頭がいいや意志が強いといったことに関わらず、どんな人にも発生するということです。

このため、ロビー活用や贈賄は政治の世界において想像以上の力を発揮します

point

人には頭のよさや意志の強さに関係なく返報性の法則が働く。


政治家の建前

私たちヒトに返報性の法則がデフォルトで備わっているにも関わらず、メディアやマスコミに問いただされたときに政治家たちは次のような模範解答を答えます。

政治献金や、接待旅行、プロスポーツのチケットが政府役人の意見に影響を及ぼすわけがありません。

男性であれ女性であれ、政府の要人は皆、訓練を積み重ねて見識を高め、批判力や注意力を養い、そしてトップの座についた頭脳明晰で成熟した洗練した人たちです。

普通の人と違って義理に押し流されることはありません。自分は自由で独立した人間だ。

献金してくれる人と、そうでない人に違いはない。私は見返りなど何も与えない。


こういったいかにも洗練されたかっこいい言葉がスラスラと出てくるのが政治家です。

ですが、そういった言葉や思いとは裏腹に自動で働いてしまうのが返報性の法則です。

そのため、頭脳明晰で成熟し、輝かしい経歴を持つ洗練された人たちは、普通の一般的な人と同じように義理人情や恩返ししなければという義務感を抱きます


もしあなたが真実を見極めたければこれまでスキャンダルが明るみになって辞任した政治家たちの過去の経歴を見てみるといいでしょう。

私たちが到底たどり着けないような名門校を卒業し、エリート街道を歩んできた精鋭ばかりです。

なにしろアメリカ大統領ともなれば日本の約3倍もの人口を持つ人たちのトップオブザトップです。


参考

この記事の内容はアメリカの有名な心理学者 ロバート・チャルディーニの「影響力の武器」の内容の一部抜粋と要約です。

現代のマーケティングで使われている手法が心理学の面から解き明かされ、たくさんの事例を交えてわかりやすい文章で記されています。

この本の内容を細かく知っているかどうかで、現代の市場に隠されているたくさんのワナにハマりカモになるのか、それを避けて利用する側に回れるのかが大きく分かれます。

気になった方は是非手に取って読んでみることをお勧めします。



yuta