世の中には驚くような偶然がたくさんあります。
私たちの誰もが経験したことのある例だと、好きな人など誰か他の人のことを考えていた時に、偶然にもその相手から電話がかかってくるなどです。
人々はこれを「運命」「神の力」として崇めたりします。
ですがこういった偶然は決して未知なる力が働いたわけではありません。
好きな人のことを考えている時に、その相手から電話がかかってくるのにはきちんとした理由があります。
それは私たち人は「考えていることの90%は自分のことではなく他人のこと」だからです。
あなたが好きな人に思いを巡らせているとき、相手もあなたに好感を持っているのであればあなたのことを考えています。
彼氏・彼女の関係やその一歩手前にあるのであれば尚更です。きっと頻繁にあなたのことを考えていることでしょう。
そしてたまたま電話したら「今朝、私もあなたのことを考えていた」となるわけです。
もし電話がかかってこないとしたら、相手はあなたに全く興味がない(あるいは知らない)ということです。
他にも奇跡的な出来事は多々あります。
1950年3月1日7時25分にアメリカのネブラスカ州にある教会で大爆発が発生しました。
原因はガス漏れでこの爆発により教会は崩壊しました。
なんとその日、15人の聖歌隊が朝の7時半から練習をすることになっていました。聖歌隊のメンバーはみな時間を守る人たちばかりで、いつも7時20分に集まっていました。
ところが、その日だけメンバー全員が見事に遅刻をしました。
ある人は母が娘の洋服のアイロンがけに手間どり、ある人は数学の問題がなかなか解けなかったり、ある人は車のエンジンがなかなかかからなかったなどです。
結果として、誰一人命を落とすことがありませんでした。
地元の新聞やテレビはこの出来事を「奇跡」として取り上げました。
アメリカの半導体会社AMDはインテルの半導体を登用した「AM386」という商品を秘密裏に売り出そうとしていました。
あるとき、AMD社のマイク・ウェブ(Mike Webb)という社員は出張でカリフォルニアのホテルに宿泊していました。そこにこの社員宛てに極秘資料が送られてきました。
なんと、それと同じ日に偶然にもインテル社のマイク・ウェブ(Mike Webb)という社員が同じホテルに宿泊していました。
ホテルのサービスマンは間違えて、AMD社の極秘資料をインテル社のマイク・ウェブに渡してしまいました。
これが発端となり、インテル社はAMD社の陰謀に気付き、AMD社を訴えました。
教会の爆発事故も、半導体の盗用も決して「奇跡」や「偶然」ではありません。
なぜかというと「ごく僅かでも起こる確率があるとは、発生する可能性がある」からです。
教会爆発の場合、次のようなパターンが考えられます。
この組み合わせはそれぞれの発生確率は違うものの、確率としてはどれもあり得ます。
半導体の盗用の場合も同じです。
同姓同名の社員が泊まる確率はゼロではありません。ゼロではないということは発生する確率があるということです。
ほとんど起こらない出来事なら「奇跡」や「偶然」だと思ったっていいじゃないかという声が聞こえてきそうですが、奇跡・偶然だと思い込むことの危険性があります。
それは「正常な判断ができなくなる」ということです。正常な判断ができない人は騙されやすくなります。
ほんの数百年前科学が発展していなかった時代は、洪水が起こったり、土砂崩れが起こると「神が怒っている」「祟りじゃ」と言う人たちがたくさんいました。
その人たちは祈祷師にお願いしてお祓いをしてもらいました。祈祷師たちは「神の怒り」や「祟り」だと言いまわることで大金を巻き上げ豊な暮らしをしていました。
ですが本質は別です。洪水が起こる理由があり対策も可能です。
「奇跡」や「偶然」を信じてしまうと、思考がそこで停止してしまいます。
「奇跡」や「偶然」を信じ込み、そういった出来事にいちいち驚いていると本質からどんどんと遠ざかっていきます。
考えられないような偶然はめったに起こらないものの、少しでも確率があるなら発生する可能性はあります。
発生したとしても驚く必要はありません。むしろ驚くべきはあなたの人生の中でそれが一度も発生しなかったことです。
この記事のスイスの有名起業家 ロルフ・ドベリが記した「Think right ~誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法~」の一部抜粋と要約です。
人が陥りがちな思考の罠がとてもわかりやすくまとまっています。この記事の内容以外にも全部で52個の人の性質がわかりやすい具体例で解説されています。
この記事の内容でハッとした部分が一つでもあった方は是非手に取ってご覧になられることをお勧めします。
あなたの人生をより賢く豊かにしてくれることは間違いありません。