何か行動をした結果が出ると人は「私が頑張ったから」「私の貢献があったから」というように、自分がいかに関与し貢献したかを主張しようとします。
主張しなくても心の中では「私のおかげだ」と思い込んでいます。
果たして本当にあなたのおかげなのでしょうか?
ここでは成果に対して、個人個人が感じる貢献度の勘違いついて解説しています。
家庭の切り盛りは大変なことです。掃除、洗濯、料理、子育て、家や家電の修理、家計簿のやりくり、保険の検討、自動車の管理などやることがいろいろとあります。
では、家の中で最も家事に貢献している人は誰でしょうか?
あなたは家事に対する自分の貢献度は何%だと思いますか?
だいたいは次のような感じになります。
奥さんに尋ねるとこんな答えが返ってきます「家事のほとんど80%は私がやっている」。
一方、控えめな旦那さんですら旦那さんは「家のことは結構手伝っているから60%はやっている」と言います。
2人の貢献度を合計すると140%です。100%を大きく上回っています。これは2人が考えている貢献度に大きな勘違いがあることを示しています。
あなたの家の近所に6人の男子学生が暮らしている寮があります。あなたはゴミ出しの度に寮の学生に出会います。
そこで、ゴミ出しをしている寮の学生に誰が何割ぐらいゴミ捨てを担当しているのかを尋ねました。
Aくんは「2回に1回は僕が出しています」
Bくんは「3回に1回は僕が出しています」
Cくんは「ほぼ毎回僕が出しています」
パンパンのゴミ袋を両手に持ってイライラしながら答えたC君に「割合は?」と聞くと、「90%ぐらい」と答えました。
3人の結果を合計すると170%を超えます。誰かがウソをついていることになります。
センター試験やTOEICを受験し、1年ほど経過したあとに「あなたの点数は何点でしたか?」と尋ねると、ほとんどの人が自分が実際にとった厳格な点数ではなく、少し上増しした点数を答えます。
ポイントは決して「あからさまなウソはつかない」ということです。
自分の本来の実力ならこのぐらいはとれたであろうという点数を答えます。
つまり、良く見せようとウソをつくということです。
自己奉仕のワナは本質的な判断ができていないことを示しています。実際に何がどれだけ結果に影響したのかを個人個人は勘違いするということです。
これはビジネスの世界でも頻繁に発生します。従業員はもちろん会社のトップですら勘違いを犯します。
例えば、会社のトップはその年の業績がいいと「トップの努力や、経営戦略の正しさが証明された」と言います。自分の貢献度がとても大きいということです。
一方、翌年に業績が悪化すると「日本経済の衰退」「自粛ムードによる買い控え」など外的要因に責任を転嫁します。
成功したら自分のおかげ、失敗したら原因は他にあるというのでは、成功や失敗の要因をあらかじめ決めてかかっているようなものです。
本質的な成功の要因は何か?はじっくり考えないとでてきません。
世の中は、成功の原因が自分以外(運やライバル会社の失態、バズなど)、失敗の原因が自分にあることも少なくありません。
自分の貢献度を過大評価しまうのは、全体の役割が見えていないことが原因です。
例えば家事の場合旦那が「60%は貢献している」と言っても、全体の100%が何かをわかっていません。
奥さんも同じです「私が90%やっている」と言っても、全体の100%が何かをわかっていないのです。
全体の100%は個人個人によって定義も違うので知ることはとても難しいです。
ですが、自分がどのぐらいできていないかを知る事は比較的簡単です。
それは正直にズケズケと言ってくれる人の意見を聞いてみることです。
「あなたはこれができていない。あれもできていない」というようにできていない部分を指摘してくれます。
周りがいい顔をして褒めてくれる人ばかりか、あるいは誰にも尋ねないのであれば自分の中で貢献度の勘違いが起こってしまって当然です。
なぜならそのほうが心地よいからです。
あなたに対して正直にずけずけと言ってくれる人はこの世に多くありません。
自分が天敵だと思う人と会って、自分がどんな人物に見えているのか包み隠さず言ってもらうようお願いしてみましょう。
そうすれば自分の勘違いが浮き彫りになります。あなたが天敵だと思っていた人はあなたに飛躍的な成長のヒントをくれます。
あなたはその天敵だと思っていた人に永遠に感謝することになるでしょう。
この記事のスイスの有名起業家 ロルフ・ドベリが記した「Think right ~誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法~」の一部抜粋と要約です。
人が陥りがちな思考の罠がとてもわかりやすくまとまっています。この記事の内容以外にも全部で52個の人の性質がわかりやすい具体例で解説されています。
この記事の内容でハッとした部分が一つでもあった方は是非手に取ってご覧になられることをお勧めします。
あなたの人生をより賢く豊かにしてくれることは間違いありません。