この世の中は高い給与、大きな家、高い車、ブランド品などモノやお金を求める人で溢れかえっています。
もっといいモノや給与を手に入れるためにみんな悩み苦しみ働いています。
「もっといい給与の仕事につければ幸せになる」「もっといいモノを手に入れれば幸せになる」と考えいつか時間と余裕が生まれる日を求めて必死で働き続けています。
ですが、その考え方でどれだけ先に進んでも待っているのは「高い給与といいモノを追い求める忙しい日々」だけです。
ここでは多くの人が求めていることと真逆の考え方をしているブラジルの元大統領 ホセ・ムヒカの言葉を紹介しています。
「忙しい」と言っている人は「お金や便利なモノがもっとたくさんあれば楽になる」と考えています。
ですが、ホセ・ムヒカは違います。
モノが少しなら、それを守るための時間も少しで済む。
たくさんのモノがあれば、それだけ維持管理の時間が増えます。
高級車があったら傷がつかないよう神経を研ぎ澄まさなければいけません。汚れも気になります。ピカピカに磨かないと気が済みません。
それが、2台、3台とあったらどうでしょう?あなたの時間は余計に減っていきます。
ですが、もし、使い古した車が1台だけだったらどうでしょう?あなたが管理しなければいけないのはその1台のみです。
既に傷もいくつかあります。今更砂利道を走ったり茂みを走ることはそこまで気にならないでしょう。
気にしなくていいということは、その分の脳のリソースを他に回せるということです。
ホセ・ムヒカ自身1987年製のフォルクスワーゲンのビートルという旧車にずっと乗り続けています。現地での価値は18万円程度といわれています。
たくさんのモノを抱えて「忙しい」といって過ごすよりも、本当に好きなモノ1つを大切にして過ごす方が時間と心に余裕のある人生を送ることができます。
もし私がお金を貯めることを目的にしたら、お金が盗まれる心配をしなければいけない。お金を隠した穴を埋めて回らなければいけない。
お金がたくさんあると心配事が増えたりやる事が増えるという考え方です。
実際、宝くじがあたったことで周りの人からお金をせがまれ人間不信になった人がいます。
大金があるということはその分だけ、保管場所や使い道を考えなければいけないということです。
「心配」や「どうするか」など頭のリソースを使わなければいけないということは、それだけ忙しく余裕がないということです。
ホセ・ムヒカの言葉はお金を求めることも、大金を持つこともどちらも余裕にはつながらないことを意味しています。
自分の時間を好きなことに使っているときが、本当に自由なときです。
自分と家族の物質的な欲求を満たすために働く時間は自由ではありません。
もので溢れることではなく、時間で溢れることこそ自由。
自由とはものやお金で自分の身の回りを満たすことではありません。
自由とは「自由なことができる『時間』」です。
自由な時間に何をするかは人によって違います。ある人は本を読み、ある人は釣りをし、ある人は山登りをします。
あなたが「やりたい」「落ち着く」と思うことをできる時間に溢れていることこそが自由です。
ウルグアイでは長時間労働が問題になっており、労働者たちは短時間労働を求めて戦いました。
ですが、1日6時間だけの労働を獲得した人でさえも、浮いた時間でバイクやクルマのローンをは払うための別の仕事をしています。
ホセ・ムヒカはモノを買うために時間を費やす人たちのことを次のように言っています。
物欲を満たすのと引き換えに、自分の貴重な時間を労働に使っている。
人がものを買うときは、お金で買っているのではない。そのお金を貯めるために割いた人生の時間で買っている。
私たちはお金でモノを買っていると思っていますが、お金の本質は私たちの時間を換金したもの、つまり、私たちの時間です。
何かを買ったということは自分たちの限られた時間の一部と交換したということです。
車を買うために5年間働いたとしたら、あなたの限られた寿命のうち5年間は車に変わったということです。
人間のもっとも大事なものが「生きる時間」だとしたら、現在の資本主義(消費主義)社会は、そのもっとも大事なものを奪っている。
いろいろなメディアやパンフレットなどの広告やインフルエンサーたちが私たちにものを買うことを迫ります。
みんな「あなたのためを思って」と言って近寄ってきます。
ですが、その人たちがやっているのはあなたにとって最も大切な自由な時間を奪う事です。
質素は自由のための戦い。
自由な時間で自分の人生を溢れさせるためには戦わなければいけません。
あらゆる物やお金などのチャンスを断って、質素で居続けるよう戦い抜かなければいけません。
自由になるための闘いとは、どれだけ自由な時間を確保できるか。
たくさんの自由な時間が欲しいと思ったら、それだけ戦わなければいけません。
ホセ・ムヒカは愛らしい笑顔で知られていますが、本当の姿は決して愛らしいだけではありません。
自分の信念のためにゲリラに参加し警察と銃撃戦をし相手の警官2名を負傷させ、自身も6発の弾丸を受けて救急治療室に運ばれたこともあります。
13年間もの長い間獄中での生活を強いられていました。最初の数年間はたたみ2畳以下の狭い独房の中で本を読むことすら許されない状態でした。
充分な水分が与えられず、時には自分のおしっこ濾してを飲んで命をつなげていました。
過酷な環境の中、決してあきらめることなく自分の信念(自由)のために戦い続けきました。
信念があれば人間は強い生き物。
その姿勢は大統領になってからも変わりません。
貧困層から多大な支持を受ける一方、富裕層からは「政策は間違っている」「納得できない」といった反対の声も多く寄せられています。
世界各国の要人がネクタイを着けて集まる会議で、自身はノーネクタイを貫いています。
大統領官邸で暮らすことがしきたりの中、自分の家で暮らすことを選択しています。
「自由」を手にするとは、非常識と言われ批判されることに負けないということです。
「忙しい」「時間が欲しい」と言うことで自由になることはありません。
自由は批判されること、失望されること、怒られることを覚悟して、断り、貫くことで得られる特権です。
世の中にはたくさんのチャンスが転がっています。面白い話、楽しい誘い、儲かる事、生きていれば勝手に誘いがあります。
自分から掴みにいけばキリがありません。
ですが自由を手に入れるにはそういったチャンスのほとんどを断る必要があります。
あるときアラブの富豪がホセ・ムヒカの古い車を1億2000万円で買いたいとオファーしました。
ムヒカはこの申し出をあっさりと断りました。
彼にとって1億2000万円よりも、ずっと乗ってきて愛着のある車の方が大切でした。
「~の方」がというよいもむしろ比較すらしていません。ムヒカは自分の車が好きだったのです。そこにお金の換算は介在していません。
自由とは好きなものと過ごす時間です。あなたも自由を手に入れたいのであれば「あれもこれも」とチャンスに飛びついていてはいけません。
本当に心の底から「やりたい!」と思えるチャンス以外は全て見送る必要があります。自由とはそうして得られるものです。
私は自分の信念を持って政治を運営します。
たとえ正しいことであろうと、間違いであろうと批判したければすればいい。
それが自由ということだから。
私の人生は常に批判を受け続けてきた。
自由と批判され怒られることはセットです。
自由はチャンスを見送ることとトレードです。
あなたが自由のために戦って、好きなことをする溢れんばかりの時間を手にすることを心より願っています。
この記事の内容は「世界でもっとも貧しい大統領ホセ・ムヒカの言葉」の一部抜粋と要約です。
この本の中には他にも心を揺さぶられる格言が所せましと詰まっています。モノと情報に溢れる世界で幸せを手に入れる道しるべとなります。
興味を持たれた方は是非手に取ってみることをお勧めします。一度きりの人生の中で、このような素晴らしい本に出合えたことに感謝。