一度きりの人生で何をするべきか?この問いを考えながらも答えを出せずに、これまでと変わらない同じ日々を送っている人は多くいます。
その原因は、現在の地位や収入、名誉、家や車などの物質的な資産をそのまま引き継いで新しいことをしたいと考えているからかもしれません。
新しい何かをするために仕事を辞める選択を恐れている人がたくさんいます。
そういう人は、一度でも辞めてしまったら今持っている全てを失ったり、もう社会復帰できないという恐怖にかられています。
このため、少しでも収入が下がらない方法を模索し、仕事を辞めた後の空白期間が出ないことを重要視しています。
これは、学校や親などの教育者、テレビや動画などのメディアで「お金が大事」「社会的地位が大事」「なんでもある理想的な暮らし」を教え込まれた私たちにとって、そう考えてしまうのは仕方のないことでもあります。
ですが、歴史的に見ても本当に大きな目的を達成した人は、順風満帆で空白期間やなんでも揃っている生活を送っていたわけではありません。
ここでは歴史的に名を残している人たちがどのようにして「自分が達成すべき本質的な目標を見つけたか」について、その人の空白期間を紹介しています。
南アフリカ共和国の大統領になり、黒人と白人を分離・差別するアパルトヘイト撤廃を成し遂げノーベル平和賞を取った人物にネルソン・マンデラがいます。
ネルソン・マンデラは常に精力的で仕事があり、順風満帆な生活を送ってきたわけではありません。
学生時代からアパルトヘイトへの反対運動を主導したとして退学処分を受けています。
極めつけは46歳のときに国家反逆罪で終身刑となり27年間の投獄生活を送っています。
家、評判、自尊心、自由の全てを何年間もの間失いました。
ですが、その失っている間に自分自身の本質を見つめ、アパルトヘイト撤廃以外のすべてを切り捨てました。
自分の怒りや恨みすらも切り捨てました。
そうした、本質的な目標を見つけることができたのは、仕事とお金、地位、名声があり順風満帆だったときではありません。何もなかったときでした。
ネルソン・マンデラは獄中にいる間も勉強を続け、南アフリカ大学の通信課程を修了し、法学士号を取得しています。
ウルグアイで5年間大統領を務めたホセ・ムヒカも何もかもを失ったことで自分自身の本質に気付くことのできた一人です。
貧困家庭に生まれたホセ・ムヒカは若い頃から差別の撤廃を求めてゲリラに参加していました。そんな中警察との銃撃戦になり2人の警官を負傷させ、自身は6発の弾丸を受け軍の病院に運ばれなんとか一命をとりとめました。
そこから13年間もの長い間獄中での生活を余儀なくされました。
最初、畳2枚以下の狭い独房の中で本を読むことすら許されない状態で7年間を過ごしました。充分な水分が与えられず、時には自分のおしっこ濾してを飲んで命をつなげていました。
7年後ようやく本やマットなどが与えられるようになったとき、マット1枚でとても嬉し気もちになっている自分に気付きました。
そして、いつか自由が訪れる日を求めて本を読み漁りました。
これまでの自分を振り返り富が無益であることや、暴力が無意味であること、憎悪を持ってはいけない事に気付きました。
何もない中で生き残ったことが、限度を知り、どんな小さなことにもありがたみを持てるようにさせました。
ホセ・ムヒカもネルソン・マンデラと同じく、家も、名誉も、自由も何もかもを失ったときに自分の中の本質に気付いています。
ネルソン・マンデラやホセ・ムヒカのように人が自分自身の本質を見つけることができるのは、モノや情報がふんだんにある時ではありません。
むしろ、家、地位、名誉、資産、自由など何もかもを失ったときこそ、自分の中の確固たる本質と向き合えるものです。
モノと情報で溢れる現代ではそのような環境に自分を追い込むことは難しいでしょう。
ただ、理解しておくべきことは、人は13年や27年の自由の無い獄中生活でも耐えきることができ、そして入所する前よりも大きく羽ばたくことができるという事実です。
1つ忘れてはいけないことは、ネルソン・マンデラやホセ・ムヒカも元々勉強家で強い信念を持っていて、獄中でも本を読みあさり学習し続けたということです。
そういう意味では本当に必要なのは、ただひたすらに本を読み、自分と向き合い、学べる時間が一番必要なのかもしれません。
そのためには、仕事を辞めるなどまとまった時間を自ら作り出す以外に方法はありません。