一度きりの人生を有意義に生きるには、重要でない余計なことを減らすことが必須です。
「減らす」というと「断る」「やめる」ばかりが頭に浮かびますが、更に前進するためには「編集」が欠かせません。
こここでは編集とは何か?と人生の生産性・効率・幸福度を上げるために編集をどう使うかについて解説しています。
「編集」とは不要なものや余分なものを削り本質を取り出すことです。
情報を集めて全体像を作った後にやることが編集です。
多くの人は「編集」された後の作品を見るため、どんな編集がされているかや誰が編集しているかに目を向ける人はほとんどいません。
このため、編集は「目に見えないアート」と呼ばれます。
「編集」は次の4つの要素で成り立っています。
これらの詳細については後述しています。
優れた編集者とは、余分なモノを徹底的に排除して、その気がない人にさえも重要なものが自然と目に入るようにする人です。
Twitterの創業者であるジャック・ドーシーは編集の天才です。自ら社長(CEO)の役割は「編集の責任者」だと言っています。
会社のトップの元にはエンジニアや営業など様々な人からたくさんのアイディアや情報が寄せられます。
優れたトップは「たくさんの情報の中から1つ、あるいは2つか3つのの要素の交点を見つけ出し、それだけを実行すると決める人」です。
ただ減らすのではなく、減らしながら価値を増やす人です。
優れた編集者の仕事は「使う人に楽をさせる」ことでもあります。
例えば本の編集者であれば「できる限り読者に楽をさせる人」が優れた編集者です。やるべきことは、本から得られる情報やメッセージを、間違えようがないぐらいにわかりやすくすることです。
iphoneのデザイン原則も優秀な編集者の上に成り立っています。直観的に使えるように設計されているため、説明書が同梱されていません。
ですが、多くの人が説明書がなくてもスラスラと使うことができます。
優れた編集者は言葉を減らすことにこだわり抜きます。
2語のところを1語で言えないか、このシーンを削れないか、ここにこのキャラクターを登場させる必要があるのかを考え抜きます。
この世の全ては「何かを取れば、何かを失う」というトレードオフの関係にあります。編集も同じです。
優れた編集をするとは、時に愛着のあるエピソードやストーリーを削り取ることでもあります。
トレードオフとして得られるのは、本質を際立たせ迷いを失くすことです。
「ショーシャンクの空に」「スタンド・バイ・ミー」「グリーンマイル」など名だたる映画の題材を描いた小説化のスティーブン・キングは次のように述べています。
作家の小さなエゴに捕らわれてはいけない。大好きなものを殺すんだ。
多くの人が「増やすより減らす方が簡単」という勘違いをしています。
ですが、現実は「増やすより減らす方が難しい」です。その真実はよく聞く次の言葉で表されています。
もっと時間があれば、もっと短い手紙が書けたのですが。
他にも「時間がなくて資料をまとめきれなかった」、「時間がなくて既定のページ数をオーバーしてしまった」などがあります。
「編集」が適用できるのは映画や本、仕事ばかりではありません。自分の人生にも適用することができます。
自分の人生を編集して、迷いを削り落とし、選択を楽にして、減らしたのに価値を上げることができれば、あなたの人生は今よりもっとクリアになります。
編集に必要なのは次の4つです。
編集の基本は「削除」することです。
決断することに関して、多くの人がしている勘違いに「選択肢は多ければ多い方がいい」があります。
ですが、実際は決断の本質は選択肢を減らすことです。
そもそも決断と言う言葉は英語でdecideです。「de」とは「取り除く」「分離する」という意味です。
「cide」とはラテン語で「切る」「殺す」と言う意味です。
つまり、決断とは徹底的に切り取ることを意味しています。
何かを切ればそれは元通りの形にはなりません。編集者の心得で示したとおり「編集する」とは「トレードオフ」を受け入れることです。
あなたにとって魅力的な選択があったとしても、混乱のもとになっているのであれば取り除くのが編集です。
魅力的なものを捨てるのは辛いけれど、後になってみればその方がよかったと実感する。
編集の作業は「2語で書いていることを、1語で言い換える」ように、より減らしていくことです。
決して、一度にたくさんのことをやるのではありません。無駄を減らすことです。
「3つの習い事を掛け持ちしているが、実は1つを工夫すれば他の2つの能力も身に付けられるのではないか?」
「5つのプロジェクトに関わっているが、2つにまとめられるのではないか?」など「より少ない努力で大きな成果を出す」方法を模索するのが編集です。
「凝縮」で考えるのは「結果に対して行動の量を減らす」ことです。
凝縮を正しく行えているかを確認するには次の2つの質問に答えられる必要があります。
ある企業で働いている優秀な社員は、週次の定例ミーティングを欠席し、あとでポイントだけ聞いていました。
これだけで、2時間のミーティングを10分にし、1時間50分を生み出していました。
そして、生み出した時間をもっと重要な仕事に使うことで、他の人よりも大きな成果を出していました。
「編集」の仕事は「削除」と「凝縮」で減らしていくだけではありません。
間違っているところがあれば「修正」することも大切な仕事です。
スティーブン・スピルバーグの右腕で「シンドラーのリスト」、「プライベート・ライアン」を編集したマイケル・カーンは、言われたとおりのことをやるわけではありません。
スピルバーグが本当に伝えたいことを汲み取り、それを実現させるために修正します。
上手に修正ができるのは方向性が明確に決まっているからです。
自分の人生を見直すときも「これがやりたい!」という本質的で明確な目標が決まっている必要があります。
「編集」というと何かすることを思い浮かべますが、優れた編集者は「あえて何もしない」選択をすることもあります。
本物の名医は患者の状態を診察して、自然に治るとわかれば何もしません。何でもかんでも手術する医者は名医ではありません。
これと同じくなんでもかんでも編集する人は優れた編集者ではありません。
優れた編集者は本当に必要なときだけ編集します。
あなたに時間と余裕が無いのは、なんでもかんでも手を出しすぎていることが原因の一つです。
反射的に手を出すのをやめて、「何もしないを選ぶ」ことも大切です。
例えば、ミーティングのときに余計な口出しをしない。社内メールで議論が巻き起こっているときに、自分のコメントを全員に対して送らないことです。
まずは立ち止まって様子を見る。そうすれば全体の流れがクリアになります。
編集が下手な人は「あれもこれも」と考え何にでも手を出します。
いざとなったら編集しようと考えますがタイミングが遅く、不本意な削除を選びます。
編集が下手な人と賢く編集している人の違いは2つです
適切な考え方を身に付けて、適切なタイミングで編集することが大切です。
時間と余裕のある人は、日々の人生で「編集」(削除・凝縮・修正・抑制)を習慣にしている人です。
自分の目標に不要なモノや迷いの原因になることを削除し、より少ない努力で同じ成果が出せるよう行動の量を減らし、間違いがあれば修正し、手を加える必要がないところは何もしない。
あなたが呼吸するように人生の編集ができるようになり、成功と幸せを手にすることを心より願っています。
この記事はAppleやGoogle、FacebookやTwitterなどの世界的に有名な企業でコンサルティング経験のあるグレッグ・マキューン(Greg・Mckeown)氏の「エッセンシャル思考」という本の一部要約と抜粋です。
世界的ベストセラーになったこの本には他にも人生を成功と幸せに導く格言がたくさん載っています。
興味を持たれた方は是非実際に手に取ってみることをお勧めします。