あなたの友達や同僚に空想好きに人はいないでしょうか?そういった人の話を聞いて「あり得ない」「妄想が過ぎる」と一笑に付したり、「くだらないことを言っていないで」と一蹴したりしていないでしょうか?
ところが、今の社会は多くの人が「あり得ない」と言ってきたことの連続で成り立っています。
馬車で移動していた人たちは、それから100年後に馬が街を走らなくなり、代わりに車という乗り物が町中を走っていることを一切想像できませんでした。
馬に乗っていた人に「将来、馬に乗らなくなる日がきて、鉄の塊でもっと遠くに早く移動できるようになる」と言えば「あり得ない」と答えたでしょう。
黒電話を使っていた人たちに「将来、電話が四角くて軽くて超小型の金属のプレートになる」と言ったとき、誰もが「あり得ない」と答えたでしょう。
2018年に「あと2年後に世界中を巻き込むウイルスが流行って、たくさんの人が亡くなり、各国が空港や移動を閉鎖するよ」と言えば、誰もが「あり得ない」と答えたでしょう。
他にも、電子レンジ、新幹線、パソコン、インターネットなどこの世の中は「あり得ない」の連続が続いています。
「あり得ない」と思っていることが実際に現実になる可能性があることを、専門用語で「ブラック・スワン」といいます。
予期していなかった素晴らしいイノベーションではなく、予期していなかった災害や金融危機に使います。
2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2020年のコロナウイルスなどがブラック・スワンにあたります。
ブラック・スワンは日本語でいう「黒鳥」です。その真逆はスワン、「白鳥」です。白鳥は大型の渡り鳥で、ヨーロッパ各地や日本などいたるところで見ることができます。
ところが羽根が黒い白鳥はどこに行っても見かけることはありません。
このため、ヨーロッパでは「無駄な努力」を意味することわざとして「ブラック・スワンを探すようなものだ」という言い回しがありました。
ところが、1697年にオーストラリアで黒い白鳥が見つかり「ブラック・スワンは実在した」ということが大ニュースになりました。
その結果、ブラック・スワンは「そんなことはあり得ない」と思っていることが現実に起こる可能性があるという意味で使われるようになりました。
なお、決して本物の「ブラック・スワン」=「悪い」ということではないので。ブラック・スワンを恨まないようにしましょう。
ブラック・スワンは何年も前からずっとそこで静かに暮らしていただけです。
なお、ブラック・スワンを見たい人はオーストラリアの西端にあるパースという都市で見かけることができます。
パースではブラック・スワン(黒鳥)が市のシンボルになっているほどで、当たり前に見かけることができます。
同市にはブラック・スワン・レイク・パーク(ブラック・スワン湖 公園)なるものがあるほどです。
世界中のものごとは次の3つに分けることができます。
項目 | 内容 |
---|---|
わかっていること | 既知の事実 |
わからないと思われていること | 既知の事実(無理・不可能・あり得ないなど) |
わからないこと | 誰も知らない |
私たちが注意しなければいけないことは、未だに「わかっている」と思っていること以外の領域が非常に大きいことです。
私たちが「わからない」と思っていることは実はブラック・スワンかもしれません。
更に、私たちや世界中の誰もがまだ気付いていないことも、この世の中には存在します。
だからこそ、未来に起こりうる可能性を考えて備えておくことが重要です。
日本で発生したブラック・スワンには次のようなものがあります。
日本中の企業、国民、国を巻き込んだブラック・スワンは2~4年のスパンで発生しています。
企業単位、個人単位でもっと小さな「あり得ない」に着目すれば、その数は驚くべきものでしょう。
現状を当たり前と思い込み、成功にあぐらをかいていた人たちは軒並み表舞台から去っていきました。
ブラック・スワンは定期的に発生するという事実を心に留めておく必要があります。
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