仕事で高い成果を出すことができる最高のチームには次の5つの要件が必要だと言われています。
この5つの中で最も重要な要素が「心理的安全性」です。これがないチームが最高のチームになることはありません。
心理的安全性とは、チームの中で自分が意見や反論を言っても、拒絶や無視されたり、評価を下げられることがないと確信できる状態のことです。
「自分はチームの一員なんだ」と感じられる、精神的に安全で安心な状態です。簡単に言えば、上司、部下などの役職や年齢によらず、なんでも言い合える関係性が築けているということです。
チームにおける信頼性とは、決めた実行内容を、期限までに終わらせ、高い成果をもたらすことができるということです。
チームでの決まり事や目標達成に向けた約束を守れるかどうかです。
チームにおける明瞭な構造とは、役割分担がきちんと決まっていて誰が何をするかがはっきりしていること。
「自分は何をすればいいのか」「あの人は何をしているのか」が曖昧でなく、向かうべき目標やそこに向かう計画がはっきりしていることです。
仕事の意味とは、なんのためにこの仕事をしているのか?の答えで、チームの目的や存在意義のことです。
企業のビジョンやミッションそれ自体や、そこと紐づいた目標が仕事の意味になります。
社会的な影響力とは、ビジョンやミッションのために自分たちが行い達成していることが、社会にインパクトを与えていると感じられることです。
チームの存在意義を本当に満たせているのか?の答えの部分です。
心理的安全性の高いチームとは何でも言い合える関係のことです。そこに属しているメンバーは3つの自己、「自己認識」「自己開示」「自己表現」をすることができます。
仕事だけの繋がりではなく、血筋や生い立ちなどのプライベートも含めてまるごとの人間としてチームに関われることです。
自分を繕うことなく、ありのままでいられるからこそ、周りにいる人たちを信頼することができる。そして周りの人をありのままで受け入れることができる。
つまり、心理的安全性とはチームにおける信頼関係の土台です。
お互いを理解し信頼しあっているからこそ、仕事を任せられたり、協力し合うことができます。
心理的安全性が保たれているチームは、チームメンバー同士が弱みを見せられるほどの信頼関係で結ばれています。
それだけの信頼関係にあると「みんなでもっとすごいことをしよう!」「私たちが協力し合えばもっとすごいことができる」「みんなで頑張ろう」という気概が生まれてきます。
仕事の目標や誰がいつまでに何をやるかという計画を、自分のためではなくチームのために働いているんだという気持ちで受け入れることができます。
結果として、みんなのエネルギーのベクトルが同じ方向を向き、より大きな成果や生産性を生み出します。
チームにおける心理的安全性の重要さを理解している組織は、心理的安全性を高める行動を業務の中にしくみ化しています。
心理的安全性を高める、すなわち、相手の人間性を理解するための取り組みとして、広く普及しているのが1on1ミーティングです。
1on1ミーティングは会社の目標を伝えたり、業務進捗を確認する場ではありません。メンバー1人1人が抱えている悩みや問題と向き合ったり、上司が部下の仕事以外の側面を理解するための時間です。
部下が人生で実現したいことや、喜びに感じていることを、現在の仕事に結び付けたり、新たなキャリアパスを描く時間。つまり、上司が部下の成功と幸せを願い、サポートするための時間です。
もちろん、ちょっとした雑談や、感謝の習慣など1on1以外にも取り入れられる仕組みはたくさんあります。
最近はお酒を飲まない人が増えたり、趣味が多様化したことで、仕事の飲み会に参加したいという人はめっきり減りました。
飲み会は上司にヘコヘコし付き合わなければいけない苦痛の場という印象が根強いためです。それは飲み会の悪い側面です。
飲み会の良い側面は、普段接しないような人が話し合ったり、お酒が回って普段は言えないような本音を言い合ったり、上司が部下に「週末はどんなことをしてるの?」といったプライベートの話をしたり、愚痴を言い合ったりするところです。
いわゆる無礼講で業務に関係ない話ができる状態。これこそが心理的安全性です。
これまで日本の企業はそういったことを仕事の中に持ち込むのは悪いことだと決めつけてきました。それは工場の作業員のように機械のように命令に従うだけの組織では有効でしたが、自分たちで考えて行動することが求められる現代においては、職場に取り入れるべきいいことに変わりました。
つまり、飲み会の良い側面、無礼講で業務に関係ない話ができる状態を職場に持ち込むことでチームの結束が強まり、より高いパフォーマンスを出せる組織になっていくということです。
会社のようなチームでよく見られる光景の一つに、上司が部下の失敗を責めて、部下が「すみません」と謝罪するものがあります。
これを仕事なんだから当然だと言う人がいますが、こういう人が上にいる組織が心理的安全性の低い組織です。
なぜなら、部下は心の中で「だから失敗を言いたくないんだよ」「失敗が怖い」と思っています。心理的な安全とはかけ離れた状態です。
では心理的安全性が高いチームで行われている会話はどういうものかと言うと、失敗した人が自ら「ここがダメだった」と言い出します。
それに対して、上司や周りの人は「どこがダメだったんだろう?」「どうすれば上手くいくだろうか?」というのを一緒に考えます。
そして、「次はこれをやってみよう」「その企画を前に進めよう」と次のアクションに結びつけます。
この記事の内容はモルガン・スタンレーやGoogleで人材育成や組織開発を率い、自身も起業家であるピョートル・フェリクス・グジバチさんの著書『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』の一部要約に個人的な見解を加えたものです。
本書は現代の組織に求めれているものは何か?それを得るためにはどうすればいいかが具体的かつ論理的に記されています。
使われている用語は専門用語ではなく、誰にでもわかりやすいものになっていて、例も豊富に乗っている非常に実践的な良書です。
会社を率いている人や部署を率いている人、あるいはマネージャーを目指している人の必読書といえます。
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