日本人は揉め事=悪と考え、とかく揉め事を嫌い、事なきを求める傾向があります。しかし、揉め事とは実は悪いことばかりではありません。
むしろ、揉め事とはお互いを深く理解し、人間関係を良くし、チームワークを改善する絶好の機会です。
もちろん間違った仲裁や対応をすれば、関係性は悪化しチームワークは悪くなります。揉め事をチームワーク強化のチャンスにするためには、揉め事が発生したときにどのように対処するかといことが非常に重要です。
ここでは、なぜ揉め事がチャンスなのか?そして揉め事をどのように取り扱えばチームワークの改善につなげられるのかについてまとめています。
そもそも、多くの人が揉め事が起こるのは普通じゃやないと考えていますが、その考え方自体が間違っています。
この世の中では揉め事が起こるのが当然なのです。
なぜなら、誰一人として同じ環境で育ち、同じ経験をし、同じ考え方をしている人がいないからです。みんなそれぞれの経験、考え方、価値観を持っています。
そもそも意見が食い違ったり、違うアプローチ方法を取りたがったりするのが普通です。
もちろん、揉め事が起こるのが当然だから、どれだけ揉め事をしてもいいというわけではありまえん。
重要なことは、揉め事を通じて相手との意見や考え方、価値観の違いを理解し、相手のことを理解することです。
揉める原因になっている考え方や拒絶を取り除くことが非常に重要です。
逆に、やってはいけないことは「揉め事はいけないことだ」と言って、鼻から揉め事を起こさせないようにすることです。これはお互いの違いを理解する場を奪ってい、無理やり同じ規格に当てはめようとしているだけです。
チーム内においてメンバー同士の揉め事が発生したとき、マネージャーはもちろん仲裁に入る必要があります。
その時に「こっちが悪い」「どっちも悪い」といったようにマネージャーの価値観で強制的に揉め事を解決してはいけません。
それは相互理解を阻害し、チームのしこりを生み、チームワークを壊す要因になります。
重要なことは揉めた二人がお互いのことを理解し受け入れることです。
具体的には、次の4つのステップが有効です。
例えば田中さんと馬淵さんが揉めていたとします。
そうしたら、まずは2人を連れて別室に移動し、「馬淵さんの言い分を話してください」といって馬淵さんの話を”全て”聞ききります。次に同様にして田中さんの言い分を聞ききります。
両者の話を聞ききったら、それぞれが相手に望んでいる要望をまとめ確認します「馬淵さんは田中さんに〇〇してほしいんですね?」「田中さんは馬淵さんに〇〇してほしいんですね?」
確認がとれたら、「馬淵さんは田中さんに何をして欲しいと言っていましたか?」「田中さんは馬淵さんに何をして欲しいと言っていましたか?」と言ってそれぞれに相手の要望を復唱してもらいます。
相手の要望を言語化して口に出したときはじめて「ああ、相手は私にこれをして欲しかったんだな」ということを理解することができます。
言語化して理解した瞬間に、感情的な対立は和らいでいきます。
つまり、マネージャーがするべきことは感情的な対立から、論理的な理解へと導くサポートです。
一方的に解決先を示すことではなく、当事者の言い分を穏やかに聞き出すことともいえます。
マネージャーが揉め事の仲裁に入るときに重要なことは「性善説を信じる」ことです。
どういうことかというと、ケンカしている二人はお互いの利己的な感情からぶつかっているのではなく、それぞれのよくしたいという思いが、上手く表現できずにぶつかっているだけだと信じることです。
実際話の内容を聞くと「こっちの方がいい」「いや、私の考えの方がいい」といった揉め方をしていることがほとんどです。
どちらも相手を困らせたい、仕事の邪魔をしたいというネガティブな意図ではなく、業務をより良くしたいという意図がぶつかり合っているだけです。
その考え方をすることでようやく、「Aさんは何を言おうとしているのか?Bさんは何を言おうとしているのか?」ということに意識が向くようになり、マネージャー自信に、お互いの話をじっくり聞こうとする姿勢が出来上がります。
揉め事に発展する前の愚痴や文句の段階で、揉め事のタネを潰すこともできます。(むしろ、こっちの方が望ましいです)
例えばメンバーの一人が「Aさんってひどくないですか?」と愚痴を言ってきたときに、これはチームを改善し強くするチャンスだと捉えて、話を聞きます。
そして「では、Aさんに~してほしいんですね?」と言った形で、愚痴を要望に変換して聞き直します。
すると「まあ、そうですね」という回答が返ってきます。そうしたら「~してほしいとAさんに言ったことはありますか?」と質問をし、「いえ」という答えが返ってきたら「では、次回のチームミーティングでBさんに提案してみてください」といって、公の場で議論することを勧めます。
すると、チームの中で今まで愚痴で止まっていたものが、前に動き始めます。
この記事の内容はモルガン・スタンレーやGoogleで人材育成や組織開発を率い、自身も起業家であるピョートル・フェリクス・グジバチさんの著書『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』の一部要約に個人的な見解を加えたものです。
本書は現代の組織に求めれているものは何か?それを得るためにはどうすればいいかが具体的かつ論理的に記されています。
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