現在の多くの企業は社員の評価をするときに加算方式を採用しています。それは社員のモチベーションを引き出すために最適と考えられています。
というのも、学校のテストのような減点方式はモチベーションを下げると考えている人がひとんどだからです。
しかし、現代の世の中で大成功を収めているGoogleでは社員の評価に減点評価方式を取り入れています。
ここでは、減点方式のメリットや減点方式を取り入れる注意点についてまとめています。
評価を減点方式で行うメリットは、企業が求める姿を明確にし、社員が何を求められているかを明確に理解することができる点です。
100点満点の理想像があり、そこから下がるごとに評価が下がっていくというわけです。
不公平さがなく、公平な仕組みです。
減点方式以外の評価方法には、加算方式と、決められた数の評価を割り当てる方式などがあります。
加算方式の場合、頑張りはプラスαとカウントされ、競争原理を引き起こし、社員が良い評価を取ろうと自発的に頑張っていく傾向があります。
しかし、際限がないために残業し続けたり、無理を重ねて、精神的な病気や体調不良などで離脱する人の割合が増えるリスクがあります。
また、企業によっては決められた評価をチームの中で割り振るという手法をとっているところもあります。S:1人、A:2人、B:それ以外、C:よほど業績が低い人といった評価です。
この方法ではチームでどれだけ頑張って功績を残しても、そのタイミングでたまたま、その人よりも頑張っている人がいたら、これまでの評価と変わらないといったことが起こります。
年功序列や評価が分かりにくい組織では、評価を順々に回すといったなあなあ主義が蔓延しているところもあります。
そういった組織からは、本気で頑張りたい優秀な人たちは不公平さを感じて、どんどん流出していく結果になります。
減点方式を採用する上で最も重要なことは、企業が求める理想の姿を100%明確にすることです。
企業が求めているものは何で、どんな行動をすれば100点なのか、どういった行動だと減点になるのかが明確でなければいけません。
社員は自分たちが何を求められていて、どうすれば100点を取れるのかを理解しているということです。
実際、Googleの評価は5点満点で、例え、素晴らしい売り上げをあげたとしても、チームワークよりも自分の利益を優先したら、その評価は4や3といったように下がります。
気に入っている部下だからや、頑張っているからといった、主観的な違いが生まれる曖昧な評価が下されるような仕組みではいけないということです。
減点方式の場合、社員を評価するマネージャーは、なぜ評価が100点満点ではないのか、その理由を社員本人に説明する責任があります。
目標値は〇〇、それに対して△△だったから3点といった評価です。
何がダメでどうすれば100点になるのかを論理的に説明しなければいけません。
なお、社員が評価に対して納得感を感じるためにも、評価のタイミングになってから伝えるのではなく、期が始まった時点や、都度のタイミングで評価方法については共有しておく必要があります。
減点方式のおける評価軸は、売上などの業績だけでなく、チームワークなど、その企業が社員に求めている軸を定めて、各軸の中で行動指針を示す必要があります。
5000万円の売り上げをあげたとしても、自分の利益を追求した結果もたらされた売上なのか、チームメンバーを巻き込んでみんなで協力し合ってあげた売上なのかで評価が変わるということです。
組織によっては、コンサルタント業のように個人の力がチームの業績に大きく影響する場合や、建設現場のようにチーム全体の協力がチームの業績に大きく影響する場合があります。
チームを管理するマネージャーは自分たちのチームが会社の中でどのように成果をあげていて、個人かチームワークのどちらが業績に強い影響を及ぼしているかを考え、それぞれにどのぐらいの重きを置いているかを示す必要があります。
チームの成果は何%、個人の成果は何%、その中で、実際にチームのために頑張ったのは何%、個人の頑張りは何%といった評価が求められます。
この記事の内容はモルガン・スタンレーやGoogleで人材育成や組織開発を率い、自身も起業家であるピョートル・フェリクス・グジバチさんの著書『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』の一部要約に個人的な見解を加えたものです。
本書は現代の組織に求めれているものは何か?それを得るためにはどうすればいいかが具体的かつ論理的に記されています。
使われている用語は専門用語ではなく、誰にでもわかりやすいものになっていて、例も豊富に乗っている非常に実践的な良書です。
会社を率いている人や部署を率いている人、あるいはマネージャーを目指している人の必読書といえます。
この記事に興味を持たれた方は実際に本書を手に取ってみることをお勧めします。