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【選択肢のワナ】忘れないで!目の前にある選択以外にも可能性がある

私たちが何かを買うときや、何かをするべきか決心がつかず迷っているとき、たいていの場合選択肢は2つに絞られています。

「それをやるべきか、やらないべきか」または「買うべきか、買わないべきか」です。

営業マンが何かを提案してくるときも「この商品がいいですよ。これがあれば〇〇ができるようになります」といって、その商品が生み出してくれる価値を教えてくれます。

確かにそれが魅力的で買った方がいいように思います。ですが、その判断には大きいな誤りがあります


選択肢が絞られているときは、見落としが発生している

「それをやるべきか、やらないべきか」または「買うべきか、買わないべきか」で迷っているとき、私たちは大きな見落としをしています。

それはその他の選択肢が頭から抜け落ちているということです。

例えば、大学在学中に留学を検討している学生は「留学するべきか、留学しないべきか」で迷います。

そして、親や担当教員、友達など様々な人に「留学した方がいいか」を聞いて回ったりします。

ですが、その時にその学生は大きな見落としをしています。それは「海外で学ぶ方法は留学以外にもたくさんある」ということです。

例えば、夏休みの2か月間を海外の大学で学ぶプログラムや、休学をして海外に行くプログラム、大学卒業後に大学院から海外に行く、海外で働くことが約束されている企業に就職する方法など選択肢は様々です。

この学生は「留学するか、しないか」の2択ではなく、これらすべての選択肢と、留学することしないことを比較する必要があります

point

選択肢が2つしかないということはあり得ない。


他の選択肢を失うということ

選択肢が「やるか、やらないか」のように非常に絞られているときに、選択肢の見落としが発生している以外に、もう一つ注意しなければいけないことがあります。

それは、何かをやる決断をしたら「それをやらなかった場合にできた、他の選択肢を失う」ということです。

先ほどの留学生の例でいえば、1年間学校を休学して留学した場合、1年間の時間と何百万円という留学費用を失うことになります。

それは、1年間と何百万円あればできた他の全ての選択肢ができなくなることを意味します

例えば、世界一周旅行、資格取得、セミナーへの参加、社会人生活が1年分遅れる、今の同級生と一緒に授業を受ける権利(学年がズレるため)などです。

これは、商品を買う場合も同じです。営業マンが「この商品を買えば〇〇なことができるようになりますよ」と言ってきたとき、「確かに、ないよりあった方が生活がとても便利になる」と考えて買ったとします。

それは、その商品を買うために使ったお金と、その商品に使った時間でできた他の全てのことを失ったことを意味しています。

point

何かを選択するということは、それ以外の全ての選択肢を失うということ。


重大な選択肢ほど要注意

ちょっとした商品を買う場合は、簡単にリカバリー可能です。選択肢を失うのは特に大きな決断をするときです。

1年以上かかるプログラム、100万円以上かかる商品など、必要な時間が長く、大金が必要なことほど選択肢の見過ごしに注意しなければいけません

命に関わる手術

例えば、あなたがガンになり余命3年と宣告されたとします。そのとき医師は、副作用が強く成功確率が60%の手術を勧めてきたとします。

あなたにある選択肢は「手術を受けるか、受けないか」の2択しかないように思えます。

ですが、その3年の間に新しい手術方法が開発されるかもしれません。自然療法で治るかもしれません。東洋医学が効くかもしれません。より治る確率が高い手術を知っている医者が現れるかもしれません

こういった可能性も検討した上で、「手術を受けるか、受けないか」の判断をする必要があります。


巨額投資

あなたの会社で未来に向けて、大きな設備を必要とする事業案が浮かんだとします。かかる費用は1億円、工期は2年間です。

このプロジェクトの担当者は実行した場合の収益を入念にシミュレーションして「5年後は黒字化することが可能」という提案をしてきました。

あなたの手の中にある選択肢は「その事業にGoサインを出すか、それともやらないか」の2択のように見えます。

ですが、その事業にGoサインを出した結果、1億円と2年間あればできる他の事業ができなくなることを忘れてはいけません。

その事業はシミュレーション通りにいくとは限りませんし、その事業よりももっと適切な事業があるかもしれません。

考えるべきは「その事業にGoサインを出すか、それともやらないか」ではなく、「1億円と2年間でできる最善の策は何か」です。


MBA取得のワナ

世界中の優秀な人たちを見渡すとMBAの資格を持っている人がたくさんいます。

楽天の三木谷浩史さん、ローソンの新浪剛史さん、DeNAの南場智子さんさんなどMBAを取得している敏腕の経営者もたくさんいます。

MBAの広告を見ると次のようなメリットがずらりと並んでいます。

MBA取得のメリット
  • 成功している人たちの多くがMBAを所持している。
  • ビジネス戦略論を学べる。
  • アイディアが思い浮かぶようになる。
  • 卒業後、処遇・キャリアが91%向上する。
  • 卒業後、5年後に年収が平均49%上昇する。
  • 卒業後、10年後に年収が平均72%上昇する。

MBAを取得すれば、優秀になり、成功し、年収も大きくあがることが強く歌われています。

この内容を見ればあなたも「MBAの資格が欲しい」という思いに至ることは間違いないでしょう。しかし、この内容自体に次の3つのワナが潜んでいます。

3つのワナ
  • スイマーズボディ幻想
  • MBA取得に2年と300万円かかる
  • 5年、10年後にどうなるかは誰にもわからない


スイマーズボディ幻想

スイマーズボディ幻想とは、水泳をすれば誰でもオリンピック選手のような逆三角形の素晴らしい体形を手に入れられると思い込んでしまう錯覚のことです。

オリンピック選手になるような人は、水泳をしたからあのような体になったのではなく、もともと体が大きく、肩幅が広く、水泳に向いた体形を持っていたから、トレーニングの結果あのような体になったのです。

体形に恵まれない人たちが水泳をやったところで彼らのようになることありません

MBA取得者もこれと同じで、もともと頭がよく努力家で才能が多い人たちがほとんどです。

例えば楽天の三木谷さんは日本の名門大学 一橋大学を卒業後、アメリカの超名門ハーバード大学に行ったほどの才能と挑戦心溢れる人物です。

MBAを取得せずにどこかの企業に入ったとしても、相応の頭角を現し成功していたことは間違いないでしょう。

つまり既に成功している人たちは、MBAを取得したから成功したのではなく、もともと成功する素質がある人たちが多いということです。

もしあなたが、日本の一流大学を出たのではなく、海外の名門大学にも行っていないのであれば、MBAを取得したところで、成功する可能性はそこまで上がらないでしょう


MBA取得に2年と300万円かかる

2つ目の思考のワナは「MBA取得に2年と300万円かかる」ということの見落としです。

これは「MBAを取得するか、しないか」の2択により他の選択肢を見落としていることにつながります。

普通に会社員の道を選んだとしても2年間一生懸命働いて成果を上げたり、300万円をセミナーに参加して能力やモチベーションを向上させたり、要人との関係性を築くために仕えば、社内での評価は上がり、役職や給与も必然的に上がるものです。

MBAを取得するための2年という期間と300万円という資金があれば、MBA取得と同等かそれ以上の収入を手に入れる可能性を高めることもできます。

例えば、全額を投資に回す。MBA以外の資格を取得する。プログラマーに転身する。事業を立ち上げるなどです。

「投資に回すなんてリスクが高すぎる」という人がいるかもしれませんが、そもそも2年間と300万円をかけたところでMBAを取得できるという保証はありません。

MBA取得の道も相応のリスクがあるものです。


5年、10年後にどうなるかは誰にもわからない

3つ目の思考のワナは「5年、10年後にどうなるかは誰にもわからない」ことの見落としです。

MBAスクールがアンケート調査を行ったタイミングと対象の人たちは5年後に平均49%給与が向上し、10年後に平均72%上昇しました。

しかし、もしそのタイミングがITバブルが崩壊した後、リーマンショックが訪れた後、東日本大震災の後、コロナの後などはどうでしょうか?

業界によっては大ダメージを受けることも少なくありません。そうなれば確実な昇給も危ういものです。企業が存続することすら難しくなるかもしれません。

つまり、5年後、10年後に給与が増えるかどうかは確約されていないということです。


とはいえ、2年の歳月と300万円というお金をかけてMBAに挑み、学び続けて達成すればそれが一つの大きな自信につながったり、そこで得た人脈はかけがえのないものになる可能性は大いにあります。

大切なのは、犯しがちな思い込みのワナを理解し、他のあらゆる選択肢と比較した上で、最終的な判断を下し、覚悟を決めてそこに挑むということです。

point

「~のどちらかしかない」と思い込んでいる時は要注意。選択肢のワナにハマっている。


参考

この記事の内容はスイスの経営者かつ小説家でもあるロルフ・ドベリの「Think Smart ~間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法~」の一部要約と自分なりの見解を加えたものです。

本書では人々が陥りやすい思考のワナとその対処法が、実例を踏まえてふんだんに紹介されています。

とても分かりやすく、成功したい、幸福になりたい思っている人の必読書です。

この記事に少しでも興味を持たれた方は是非実際の書籍を手に取ってみることをお勧めします。



yuta