世の中にはお客さんや上司に対して好感を売ることに長けた人がいます。お客さんや上司にひっつき、いつもニコニコ、ヘコヘコしています。
そういった人たちを見て「媚びへつらいやがって」「ダサい」「自分を持ってないのか?」という感情を抱いている人は少なくありません。
「俺/私は、誰かに媚びを売ったりはしない。実力で駆け上がっていく」という強い心持を持った人たちです。
ところが、私たちがヒトである以上、仕事を上手に進めるためには好感を売ることが非常に重要です。
ここでは、人が好感を感じることで行動や判断にどういった変化が起こるか、好感を生み出すにはどうすればいいかについてまとめています。
人が好感を抱くと「リスクの過小評価とメリットの過大評価」が起こります。
例えば、弱虫ペダルというアニメの影響でロードレースやロードバイク(ロードレース用の自転車)に興味を持つ人が増え、ピッチとした専用ウエアを着て自転車を漕ぐ人たちが増えました。
当然そういった人たちは、ロードバイクを愛している人たちです。
ロードバイクは思っている以上に危険な乗り物です。ロードレサーは転ぶ人も多く、その人生で骨折しなかったことが奇跡といわれるほどです。
ロードバイクによる交通事故や死亡事故も後を絶ちません。
このように、かなり危険なリスクがある乗り物にも関わらず、ロードバイクを楽しむ人は減少しません。
これは、ロードバイクが「好き」という感情によって、リスクが過小評価され、爽快感などのメリットが過大評価されるために生じる心理現象です。
人は「好き」だと感じるだけで、リスクを過小評価しメリットを過大評価するため、上司やお客さんがあなたに対して好感を抱けば、あなたの提案や商品を採用するリスクを過小評価し、メリットを過大評価することにもつながります。
つまり人の性質的に、お客さんや上司に対して好感を売ることに長けた人たちは、どんどんとチャンスを得て上へ上へと昇っていくということです。
逆に、「媚びへつらいやがって」「ダサい」「自分を持ってないのか?」という感情を抱き、好感をとりにいかない人たちは、リスクを過大評価され、メリットを過小評価されます。
つまり、自ら壁やいばらの道を作り出し、難易度を上げているのと同じです。
そもそも人にたいしていつも厳しい態度を取ったり、笑顔を見せない人があなたの周りにたくさんいたら、あなた自身嫌に感じるはずです。
いつも笑顔でニコニコしていて、こちらを気遣ってくれる人がいたら「できる人だな」と思うのが人の心理というものです。
自分の評価を上げ、周囲に認められるためには周りの人から好かれる必要があります。とはいっても、好感を得ることは私には難しい、、と考える人がいるかもしれません。
ここで朗報ですが人はとても簡単に「好感」を抱きます。
例えば次の2つの言葉をそれぞれ想像してみてください。
「トイレのような臭いのするリビング」 「特上 松坂牛セット」
「トイレのような臭いのするリビング」を想像したときは「嫌だな」というネガティブな印象を抱くはずです。
一方「特上 松坂牛」を想像したときは「美味しそう」というポジティブな印象を抱くはずです。
このように、人は瞬間的に「好感」「不快」といった感情を抱く生き物です。
つまり、相手が「心地いいな」と連想することを積み上げ、「嫌だな」と思うことを遠ざけることで、好感を簡単に生み出すことができます。
出会った瞬間から「好感」を感じてもらうための勝負が始まっているということです。人は見た目が9割といわれるのも、人は瞬時に「好感」と「不快」を判断する性質があるためです。
相手が心地よく感じる、最も効率的で効果的なものは「笑顔」です。
「笑顔」がいかに人に好感を抱かせるかは、ミシガン大学で行われた実験から知ることができます。
まず次の3種類の写真を用意します。
そして、被験者に対してどれか1枚の写真を写真を一瞬パッと光らせて見せます。その後に、無作為に選ばれた漢字を見せて、好きか嫌いかを答えてもらいます。
すると、笑顔の写真を見たほとんどの被験者が、見せられた感じの印象を「好きだ」と答えました。
この実験結果から次の3つの事実を知ることができます。
笑顔が最強と言われても、「自分の笑った顔はキモチ悪い」「真顔の方がイケてる」「笑顔を見せるキャラじゃない」と考えている人がいるかもいれません。
そういった人たちには、漫才師でYoutuber、兼 紅白歌合戦出場アーティストでもあるオリエンタルラジオの中田敦彦さんの言葉が勇気をくれます。
真顔が気持ち悪いヤツの笑顔は、もっと気持ち悪い。
私たちは、他人の写真を見せられたとき、笑顔で笑っている人には好感を抱くのに対し、真顔の人の写真を見ると「不愛想」と思います。
他人のことはそう評価するのに、自分のことになると思い込みが強くなってしまうのも、気を付けなければいけない点です。
あなたが他人を思うのと同様に、他人もあなたのことを見ています。それがヒトというものです。
この記事の内容はスイスの経営者かつ小説家でもあるロルフ・ドベリの「Think Smart ~間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法~」の一部要約と自分なりの見解を加えたものです。
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