クライアントとの商談や社内で昇進がかかった重要なプレゼンテーションや提案など、絶対に成功させたいと願い準備する人はたくさんいます。
準備する内容はもちろん重要ですが、そもそもそういった商談やプレゼンは1日の中で何時ごろ行うと成功率があがるのでしょうか?
結論から言うと、相手から「イエス」や高評価を引き出したい場合、交渉やプレゼンは朝か、お昼を食べた後に行うのがベストです。
というのも人には「決断疲れ」という性質と「意志力の減少によるリスク回避」という傾向があるためです。
私たちの体力や精神力などのエネルギーは無限ではありません。動けば体力が減っていくのは直感的にわかりやすいことですが、決断を下すといった判断力や意志力も日常の中でどんどんとすり減っていきます。
睡眠は体力だけでなく精神力も回復します。このため、意志力が最もみなぎっているのが朝です。
仕事は迷ったり判断を下すため、一つまた一つと判断を下すごとに意志力がどんどんと減っていきます。
お昼ごろになると、朝からだいぶすりへった状態になります。
しかし、お昼を食べると、そのすり減ったエネルギーがチャージされ、意志力が戻ります。
つまり、一般的な人にとって、きちんと決断するエネルギーが残されているのは朝と昼食後です。
決断疲れの何がいけないかというと、人は疲れてくるとリスクを回避する傾向があるということです。
自分が疲れているときに、難しい問題を持ち込まれたら「今はムリ。勘弁して」と思うように、相手も疲れているときは向き合うことや判断することを避けようとします。そして、より無難な判断を下しがちになります。
このため、お昼前や夕方は意志力や判断力が疲れているため、ポジティブな評価をしづらくなります。
アメリカの心理学者 ロイ・バウマスターは人が決断により疲れることを明らかにするため次のような実験を行いました。
ある部屋を数百点ものたくさんの品物で覆い尽くします。そして、被験者を次の2グループに分け、次のように対応してもらいます。
グループA: 2つのものからどちらがいいかを選ぶ。(決断する)
グループB: 見せられたものに対して、頭に思い浮かんだことをメモする。(決断しない)
これが終わった後に、被験者の自制心や意志力がどれだけ残っているかを計測するために、冷たい氷の入ったバケツの中にできるだけ長く手を入れてもらいます。
その結果、何度も決断を繰り返したグループAの被験者は、決断をしなかったグループBの人たちよりも、かなり早く手を引き抜きました。
決断疲れによって、意志力が減少したときにリスクを回避することは、裁判所の判決でも示されています。
イスラエルの刑務所で4人の犯罪者の仮釈放を決める判断を行ったとき、朝と昼過ぎに審査された受刑者は仮釈放を受けたのに対し、午後と夕方に審査されたものは仮釈放は却下されました。
これは、裁判官が朝と昼過ぎは十分に判断するエネルギーが残っていたため、仮釈放にしてもいいかの判断ができたものの、午後以降は決断疲れによりリスクを回避する傾向が強まったことを示しています。
犯罪内容と服役期間 | 審査した時間 | 判決 |
---|---|---|
詐欺罪、2年5か月 | 8:50 | 仮釈放 |
傷害罪、1年4か月 | 13:27 | 仮釈放 |
傷害罪、1年4か月 | 15:10 | 却下 |
詐欺罪、2年5か月 | 16:35 | 却下 |
裁判所における判決を調べた別の調査では、朝早いうちは大胆な判決が下される確率が65%ですが、そが時間経過とともに減っていき、お昼前には0%となります。
そして、お昼休憩後には再び65%に戻ることが発見されています。
交渉や重要なプレゼンを行うベストなタイミングは朝かお昼を食べた後。なぜなら、そのときに交渉相手や評価者が最もポジティブな判断をしやすいため。
逆に、お昼前や午後など疲れているときは、リスクを回避する傾向が強くなるため、新たな提案は通りにくくなる。
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