工場のライン工など同じ作業を永遠と繰り返すことは、マンネリの繰り返しでつまらないことのように感じます。
ですが、それも考え方を変えれば面白いものになります。
ここでは単純作業を面白いものに変えるために知っておくべき楽しさや、単純作業を面白くした具体的事例を紹介しています。
そもそも、私たちが何かを楽しいと感じるのは、それ自体が楽しい場合と、その楽しみ方を知っている場合の2種類があります。
美味しいご飯を食べたり、ランニングやウォーキングをしたり、遊園地でアトラクションに乗ると、脳内反応によって、各行為にあった脳内の快楽物資が分泌されます。
ドーパミン、βエンドルフィン、オキシトシンなどが私たちに「楽しい」という感覚を呼び起こします。
これらは何かを与えられたことで得られる楽しさです。給料やショッピング、魅力的な異性も与えられる楽しさに分類されます。
何かを与えられたことで得られる楽しさには一つ特徴があります。それは、その楽しさが平均的に3か月程度しか持続しないということです。
もう一つは自分の中から生み出す楽しさです。
例えば、まったくやったことがなくルールを知らないスポーツの場に急に呼ばれたらまったく動けません。みんなの足手まといになって、申し訳ない気持ちやみじめな気持ちになります。
一方、ルールや体の動かし方を理解すれば、予測をしたり考えたりして行動します。それが当たれば楽しいという感覚につながります。
その小さな成功体験が「もっと上手くなりたい」という楽しさにもつながっていきます。
他にも学校での勉強など「こんなのなんの意味があるんだ?」と考えている人は勉強がつまらなくてしょうがありません。
ですが「ここで勉強して、いい成績をとれば、自分が心から望む研究室に行ける道が開ける」といったように目的を理解している人にとっては同じ勉強でも価値が変わってきます。
「より効率よく学ぶためにはどうすればいいか?」を考えたり「これがどういったことに仕えるのだろう?」と実際に自分で調べて意味や役割を確かめ、「なるほど」「わかった」につなげる工夫をしていけば勉強も楽しいものに変わっていきます。
生み出す楽しさの特徴は、与えられる楽しさよりも持続力が長く、人やその内容によっては一生涯続くこともあることです。
あるプラスチックの成型工場では流れてくるプラスチックの部品を手に取ってニッパーで切り取るという作業を行っています。
ひたすら同じ作業を繰り返す実に単純でつまらない作業ですが、その作業には鼻歌交じりでやっているベテランと、必死になってただ作業をこなしているだけの作業者がいます。
ベテランは鼻歌を歌っているぐらいなのでその時間を楽しんでいます。一方、もう一人の作業者はただ目の前の作業をこなしているだけです。そこに楽しさはありません。
この両者の違いはなんでしょうか?
作業者は「流れてきたモノをプラスチックで切る」ことをやっていました。
一方ベテランは「右手の小指で製品をひっかけて、そのままひっくり返し左手で握る。そして次のレーンに移るときは左足を後ろに引いてから体の向きを変える」ことをしていました。
ベテランは自分なりに最高に効率がいい方法は何かを考えて工夫していたわけです。これが楽しさを生み出す要因になっていました。
プラスチックの成型工場の繰り返しのライン作業の例のように、単純作業を面白くするコツは2つです。
1つめは頭を使って工夫すること。2つ目は、そこで見つかった失敗や成功などの発見を面白がることです。
これだけで単純作業でつまらないと思っていたことが楽しいものへと変わります。
「工夫」と「面白がる」ことは自分の中で楽しさを生み出す絶対必要条件です。
逆にいうと、考えることを放棄して工夫せず、失敗や成功の結果を面白がろうとしない人は、その作業を永遠に楽しむことはできないということです。
楽しさの持続力が低い報酬のためだけに働くよりも、自分の中で生み出す楽しさのために働く方が人生はより楽しいものになります。
一度きりの人生、頭を使って工夫し、成功も失敗も思いっきり楽しみましょう。あなたの人生がよりよきものになることを心より願っています。
この記事の内容は篠原 信さんの「自分の頭で考えて動く部下の育て方」の内容の一部抜粋と要約です。
なぜ指示待ち人間が生まれてしまうのか、どうすると人が自ら動いてくれるのかがたくさんの実例を踏まえてとてもわかりやすく説明されています。
マネージメントなど人を指導する立場にある人は一読しておくべき指南書です。