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IKEA効果とは何か?人は努力を要したことほど強い価値を感じる|入社試験は厳しい方が、辞める人が少ない

IKEA効果とは何か?

IKEA効果(イケア効果)とは、自分が作ったものに本来以上の価値を感じてしまう心理的な性質のことです。

IKEAは北欧の国 スウェーデン発祥の家具量販メーカーです。世界中に青色と黄色で塗りつぶされた特徴的でおしゃれな店舗を展開しています。

IKEAの家具の特徴は、分解された状態で届き、自分で組み立てるということです。

人はDIYなど自分で組み立てたものに、本来以上の価値を感じる傾向があります。この結果、IKEAの家具をデザイナーが作った家具より過大評価するため、IKEA効果と呼ばれています。


努力したものに価値を感じてしまう

「自分が努力したものに価値を感じるなんて普通でしょ」と思う人がいるかもしれませんが、それこそが、IKEA効果がいかに私たちにとっていかに強力に作用しているかを示しています

私たちは、無意識のうちに努力したものに対して価値を感じてしまう生き物なのです。

point

努力したものを過大評価してしまうのは、人間である以上避けられない本能。


実際の価値とは違う

当然ですが、私たちが努力した末に感じる価値と、他の人たちが感じる価値は異なります。そのことに気付かないと大きな損を被ることになります。

車の改造に大金を費やした人

世の中には車をいじることが大好きな人がいます。普通の車を買ってきて、カスタムパーツをネットで取り寄せては仕事の合間をぬって車をカスタマイズします。

土日や休日などほとんど車をいじって過ごします。仕事で稼いだお金は車のパーツ代として消えていきます。

その人に、妻ができて子供ができ、ある時どうしてもお金が必要になりました。もうカスタムした車にはほとんど乗る時間もないので、車を売ることにしました。

ところが、車の査定会社が来て提示する値段にどうしても納得できません。

この車には何百時間もかけてきたんだ。俺の汗と努力の結晶なんだ。こんな安い価格では売れない」と突き返してしまいます。

しかし、市場で求められているのは誰か知らない人が自分用にカスタマイズした車ではありません。みんな自分のための車を探しています。

この車の持ち主は、他の人にとって自分がカスタマイズした車がそれほどの価値がない(むしろ何も改造されていない車よりも価値がない)ことに気付けていません

結果として、維持費や場所代がズルズルとかかり、家計のお金は足りず、夫婦の仲はどんどんと悪化していきます

車は結局売れず、愛想をつかした妻は子供を連れて出て行ってしまいました。

この男性はこう思います「この車には何百時間もかけてきたんだ。俺の汗と努力の結晶なんだ。それに、この車のために妻と子供とも離れ離れになったんだ。こんな安い価格では売れない」と。

point

IKEA効果のワナにはまると、大きな損失を被ることになる。


資格取得

MBAなどの資格取得も、努力による過大評価に陥りやすいものの代表格です。

MBAなど難しい資格を取得するためには、遊ぶ時間や寝る時間など様々なものを犠牲にして勉強しなければいけません。

しかし、そこで学ぶ内容は決して全てが有用というわけではありません。中にはどうでもいいものや、使う価値がないものも混ざっています。

しかし、寝る時間を惜しみ、疲労困憊しながらもそれに耐えてなんとかMBAを取得した人たちは、自分たちが学んだことを過大評価します。そして、MBAの資格を過大評価します。

私たちはあれだけ努力してMBAを取得したんだ。他の人にはこれほどの努力はできない

その結果、MBAで学んだことに引きずられて客観的な判断ができず、間違った判断を下してしまうことも少なくありません。

MBAのように難しい資格を取得しても全員が成功しないのは、その資格やMBAを取得した自分自身を過大評価していることが原因です。

更に悪いことに、たくさんの時間とお金をかけて資格を取得した結果、その仕事が自分に合っていないことに気付いたとしても

あれだけ努力してお金と時間をかけてやったんだから、今更別の道に進むなんてもったいない」という心理が働いてしまい。

自分が心から望んでいない場所に、自分自身を縛り続けることにもつながります。

point

多大な努力の結果、過大評価により自信過剰になったり、本心ではやりたくないのに別の道に勧めなくなる。


入社試験を厳しくする

IKEA効果は自分が陥ると非常に厄介な害悪になりますが、その力を有効に使うこともできます

企業の問題の一つに離職率の高さがあります。とくに最近の若者は転職するのが当たり前という気風があり、入社して3年ほど経ち、だいぶ育ってきたなと思ったころにいなくなってしまう人が少なくありません。

離職率を下げる一つの方法として「入社試験を厳しくする」方法があります。

入社するためにハードな課題を解かせたり、疲労困憊する研修を実施することで、入社した人たちの心に「今やめたら、あの時の血の滲むような努力が無駄になる」という心理が働くようになります

結果として、離職率を減らすことができます。

これは、フラタニティ(大学の学友会)や軍隊でも使われる手法です。

心理学の研究で、厳しい入団試験をパスしたものは、入団試験が厳しければ厳しいほど、その組織に入った後に感じる誇りが強くなる傾向があることが明らかになっています。

point

入社試験が厳しければ厳しいほど、会社へのロイヤリティや帰属意識が上がる。


参考

この記事の内容はスイスの経営者かつ小説家でもあるロルフ・ドベリの「Think Smart ~間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法~」の一部要約と自分なりの見解を加えたものです。

本書では人々が陥りやすい思考のワナとその対処法が、実例を踏まえてふんだんに紹介されています。

とても分かりやすく、成功したい、幸福になりたい思っている人の必読書です。

この記事に少しでも興味を持たれた方は是非実際の書籍を手に取ってみることをお勧めします。



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