カップルや夫婦間でずっと仲良くいたいと思っても、思わぬところで喧嘩が勃発してしまう人も少なくないと思います。
その原因の一つでよくあるのが、男性側が女性が喋った言葉の意味を取り違え翻訳ミスしてしまうことです。
意味を取り違えれば話のすれ違いが発生し、そこを理解せずに話を進めていけば「こういったじゃないか」「そうじゃない」の応酬になり、当然のように喧嘩になってしまいます。
その後、頑張って仲直りしたとしても、言葉の意味を取り違えたままだと、同じ会話になったときにまた同じことが起こってしまいます。
学校では英語を書き写して、一語一語翻訳して、英語を身に着けていくという膨大な作業量を何年間も繰り返しますが、より身近な異性の言葉の翻訳方法を学ぶ機会はありません。
女性の言葉の真の意図を理解すれば、余計なストレスを溜めたり、思いもよらない喧嘩を避けることができます。
ここでは、典型的な女性と男性のやりとりと、女性がどういう感情でそういった言葉を発したかを見ていきます。
(女)「たまにはどこか出かけない?私たち、最近ぜんぜん外出してないわ。」
(男)「いや、そんなことはないよ。つい先週でかけたばかりじゃないか。」
男性側の返しは、ついつい言ってしまいがちな言葉です。だって、本当に先週出かけたのですから。そして、そのように翻訳しているうちは、「先週出かけたのもう忘れたのかい?」などと相手の能力を疑うような発言につながったり、言い争いに向かっていくことが明白です。
女性がなぜその言葉を発したのか?という真意はまったく別のところにあります。以下で正しい翻訳方法を見ていきましょう。
これが女性の発言の意図です。「最近ぜんぜん」という言葉がありますが、これは「今の気分」に置き換えることができます。
女性は「今」の感情を大切にするので、今現在、出かけたときの幸せな感覚を味わえてないと、その深い悲しみや切なさの感覚を「最近ぜんぜん」という言葉でその感情の深さを表しています。
なので、男性が返す適切な言葉は「確かに、このところ外出の楽しい時間を味わってないな」と共感・理解した上で、「じゃあ出かけようか」 または 「今日は忙しくて無理なんだ。その代わり、出かける計画を立てよう」となります。
(女)「少しは私の話を聞いてよ」
(男)「こうやって聞いてるじゃないか。なんなら君の話の要約をしゃべって聞かせようか。」
これもよくあるお決まりのパターンです。実際、男性は話に耳を傾けています。そして、女性の悩みをなんとか解決してあげようと解決策を提示したりと頭や時間を使っています。他にやることがあったり、仕事で考えなければいけないことがあっても、そのうちの5%を女性の話に向けその5%の中で最大限集中しています。
なのに「話を聞いてよ」と言われたら「聞いてるじゃないか」とイラっとしてしまいます。そして、「聞いてる」「聞いてない」の応酬が始まり、最終的には大喧嘩に発展します。これもなぜ女性がその言葉を発したのか?を理解していない翻訳ミスからくる結果です。
女性が求めているのは解決策ではなく、共感と理解です。なので、求めていない解決策を提示されて話を遮られれば「話を聞いてくれない」となります。
また、その話をしている時の感情を理解せず、ただ「うんうん」「そうだね」と適当に相槌を打っている場合も「話を聞いてくれない」となります。
適切な対応は、女性が不安や心配事を話し始めたら、スマホを裏面にして伏せて置き、相手がその言葉を発したのはどういう感情からか?に脳のリソースを集中させて、「〇〇な気持ちなんだね」と共感を示し、「うんうん」と話を聞くことです。
男性の価値観は問題解決を自己の能力の証明として重要視しているので、相手のことを大切に思っていればいるほど、真剣により素早く解決策考えますが、それは男性のみの価値観です。女性の価値観はまったく異なるということを理解する必要があります。
(女)「あなたはいつも理屈ばかり、情というものがないの?」
(男)「それの何が悪いんだ?じゃあ、君はこの問題をどうやって解決するというんだ?」
これもよくあるお決まりのパターンです。男にとって今直面している問題を可能な限り早急にかつ効率的にクリアするのは最重要課題です。なので「情で問題が解決するなら、論理なんか要らない」とさえ思っています。
ここにも男性と女性の価値観の差が大きく関わっています。男性は論理的、女性は感情的ということはよく耳にしますが、それを知っているだけでは根本的な解決にはならず、また同じ衝突を繰り返してしまいます。
女性がなぜこの発言をしたか?ですが、女性の価値観はコミュニケーション、愛情、人間関係の育み合いをとても重要視しています。
一方で男性は目標達成や問題解決に価値観を置きます。このため、目の前に問題があれば、なんとしてでも解決すること最優先として脳のリソースをフル回転させます。しかし、女性は問題が解決できなかったとしても人間関係が深まればそれでいいと考えています。
男性にとっては衝撃ですがそれが事実です。この世はだいたい男性50%、女性50%の比率なので、「問題が解決できなかったとしても人間関係が深まればそれでいい」と考えている人が50%いるという事実に目を向け理解する必要があります。
なので適切な対応としては、「確かに君の言う通りかもしれない。僕は論理で問題を解決することばかり考えていたよ。どうしたらお互いの関係性を深めることができるかも考えるべきだね」という言葉を返すことです。
そうすれば、女性はあなたに情があることを認識し、より深い愛情や信頼を寄せることができるようになります。
(女)「どうしていつもこうなのかしら、何もかもうまくいかないわ。」
(男)「そんなことないよ。うまくいっている時だってあるじゃないか。それとも何かい、すべて僕のせいだとでも言うのかい?」
女性の言葉でよくあるのが「いつも」「何もかも」「すべて」という強烈なパワーワードです。
男性からすると、いや過去のあの時点を見てみれば良いこともあった。あれはそうじゃなかった。というように話の矛盾がたくさん見えてきます。
ひどい場合は、これまでいいことだってあったのに、今更になってそんなことを言い出すなんて、責任をすべて押し付けようとしているのか?と完全な勘違いに入ってしまいます。
しかし、これも女性の言葉の翻訳方法を間違えた起こっているコミュニケーションミスに他なりません。
これが女性の真意です。「何もかもうまくいかない」は誰かを責めているのではなく、「気持ちが落ち込んでいる」ということです。
そして女性の「いつも」は「今」(あるいは「今日」)と訳します。このため、「いつも〇〇だわ」という言葉があれば、それは「今〇〇と感じている」という意味になります。
同様に「なにもかも」はありとあらゆるたくさんのことではなく、「今やろうとしていること」という目の前の1つの出来事を指しています。
このため簡潔に翻訳すると次のようになります。
(原文)「どうしていつもこうなのかしら、何もかもうまくいかないわ。」
(翻訳)「どうして今やろうとしていることがうまく行かないのかしら。」
そして、重要なのが女性がなぜその言葉を発しているかという感情です。それは「今気分が落ち込んでいてダメなの」になります。
なので、男性がとるべき適切な対応は、翻訳どおり「君はよくやっているよ」と言って優しく抱きしめてあげることです。
(女)「いつも忙しく時間に追われるだけの人生なんてつまらないわ。」
(男)「そんなことないよ。金曜の夜は二人でゆっくりしたじゃないか」
女性の言葉で頻出ワードかつ誤訳されがちな「いつも」が出ています。男性も見事に翻訳ミスして間違った返しをしています。
女性の「いつも」は「今」や「今日」と訳します。なので、今日はとても忙しかったという意味になります。
男性の適切な返しは、「今日はそんなにも忙しかったんだね。僕も君と同じで時間に追われて過ごすのは嫌だな。二人でゆっくりできる時間を作ろう」となります。
そうすれば女性は、私の気持ちに共感し理解してくれていると感じ、より一層愛情と信頼感が深まります。
(女)「あなたはもう私のことを愛してなんかいないんだわ。」
(男)「そんなことないよ。愛しているよ。だからこうして一緒にいるんじゃないか」
これもよくあるお決まりのパターンです。男性側としては、一緒にいて時間も使っていて、これまでもいろんな彼女のためを思っていろんなことをしてきたのに、急にそんなことを言い出すなんてなんなんだ、、と困惑と同時に怒りさえ覚えてしまいます。
そのため、「だからこうして一緒にいるんじゃないか」には、呆れや怒りの感情が入ってしまいます。
結果、女性との言い合いがヒートアップし「愛している」「愛してない」の言い合いから最終的には喧嘩に発展していきます。
これも、女性の言葉を翻訳ミスしたことが原因です。
「もう」というパワーワードがありますが、これも「今」「今日」という現在のみを表すことばになります。そして、その強烈さは時系列の長さを表すのではなく、彼女の現在の精神の不安定さの度合いを表しています。
なので、「もう愛されていない」は「今日は精神的に不安定で愛されているか不安を感じている」という意味になります。
男性側の適切な対応は、優しく「君のことを愛しているよ」ということ、そして彼女の不安を取り除いてあげることです。
(女)「この家はいつも散らかっていてやんなっちゃう。」
(男)「別にいつも散らかっているわけじゃやないだろう。」
ここにも女性のパワーワード「いつも」があります。これは時系列の強度ではなく、「今」の「憂鬱さ(感情)」の強さを表す言葉です。
これを勘違いすると、「お前の仕事だろう。片付けられないのはお前が悪い」や「俺に片付けろっていうのか?」という非難や命令につながってしまいます。この誤訳をしてしまったらもはや喧嘩を避けることは不可能でしょう。
女性の「いつも」は今現在の精神の不安定の強さを表すので、「今、精神状態が不安定」という意味になります。
なので、男性がかけるべき適切な言葉は、「いつも片付けてくれてありがとう。今日は僕がやるから、君はゆっくり休んで」になります。
(女)「本当に疲れたわ。もう何もする気力が残っていない。」
(男)「そんなことないよ。その気になれば何だってできるよ。」
ここにも女性のパワーワード「もう~ない」があります。これも、「今」の「憂鬱さ(感情)」の強さを表す言葉です。
「もう~ない」の言葉を発した時の女性は、「今、肉体的にも精神的にもとても疲れている」状態であることを表しています。
男性の適切な対応は、翻訳にもある通り、優しく抱きしめて、「君はよく頑張っているよ。少し休んだらいい」と言ってあげることです。
決して、「君はまだ本当の力を出し切っていない。死ぬ気で頑張ればなんとでもなるもんだ」という精神論を語ってはいけません。彼女は「こんなにボロボロの私にまだ働けっていうの!?」となって口論がヒートアップしてしまいます。
(女)「ひどいのよ。みんなが私を無視して相手にしてくれないの。」
(男)「そんな馬鹿なことはないだろう。誰かは必ず君のことを気にとめているよ」
ここにも女性のパワーワード「みんな」があります。これも、「今」の「憂鬱さ(感情)」の強さを表す言葉です。決して、「誰も彼もみんな」という言葉を表しているわけではありません。
「みんなが無視する」というのは実際にそういうことがあったわけではなく、「今、みんなから無視されているような感情を抱いている」ということです。それは、そのくらい気分的に落ち込んでいることを指します。
そして、そのことをあなたに打ち明けたのは、あなたに相手をして欲しいという彼女の心の叫びでもあります。
なので、決して「そんなことないよ」と一蹴してはいけません。適切な対応は「そうか。今そんなに辛い気持ちなんだね。僕でよければ話を聞くよ」と言って、解決策を提示することなく、「うんうん」と話を聞くことです。
(女)「もう何もかも捨ててどこかへ逃げ出したい。」
(男)「そんなに嫌なら辞めればいいじゃないか」
これもよくあるお決まりのパターンです。男性側としては、女性のことを思って「辞めてもいいよ」ということを伝えています。この言葉を発した時は、俺って優しいなと思っているぐらいです。
しかし、実際は今のやっていることや仕事が嫌になったわけではないのです。なので女性は「辞めたいわけじゃないの」とか「そうじゃないの」という言葉を返してきます。
すると、男性側はせっかく寛大な心で解決策を提示したのに、それを否定してくるなんてどういうつもりだ?と少しイラッとした感情が芽生えてしまいます。そして「じゃあ、頑張るしかないじゃないか」というと、女性は「あなたはわかってくれない」となり、翻訳ミスによるすれ違いがヒートアップしてしまいます。
女性の使うパワーワードの一つで「もう何もかも」というのがありますが、これは過去から現在(そして未来)までのすべてが嫌になったということではなく、「今、この瞬間にとても辛い気持ちを抱えている」というとても強い憂鬱さを表している言葉です。
簡潔に翻訳すると以下のようになります。
(原文)「もう何もかも捨ててどこかへ逃げ出したい。」
(翻訳)「今はすべて投げ出したいぐらいの精神的プレッシャーを感じているわ。」
なので、男性の適切な対応は「どうしたんだい?」と言って、今彼女が抱えている精神的負荷に共感・理解してあげることです。
彼女は決して解決策を求めていないので、「辞めればいい」というような求められてもいない解決策を押し付けて話を遮ることだけはしてはいけません。
(女)「私はもっと夢があってロマンチックな生き方がしたかったわ。」
(男)「なんだって?これまでだって君のためにあれだけ尽くしていろんな場所にもいったじゃないか」
女性の「〇〇な生き方がしたかった」という言葉を聞いて、男性は「僕と一緒ではそういう暮らしができなかった」「あなたは無能ね」と言われていると勘違いしてしまいます。
そして、これまでに積み重ねてきた努力や苦労を思い出し、それを無下にされた怒りの言葉を発してしまいます。
しかし、女性は決して、これまでのすべてを否定したり、あなたの能力を否定したわけではなく、「今」感じている感情をただ述べただけなのです。
女性の「〇〇な生き方がしたかった」は強烈なように聞こえますが、実態は「今〇〇を感じたい」という意味になります。
「生き方」という男性からすると過去から現在そして未来までを指す長い時系列を表した言葉ですが、女性は時系列の長さではなく、今まったく感じられていないという感情(飢え)の深さとして使っています。
なので、今「夢やロマンチックさをまったく感じられていない」という意味なので、男性の適切な対応は、「確かにこのところ忙しくて何もできていなかったね。たまには休みをとって二人で出かけようか。お洒落して美味しいレストランに行こう」となります。
いかがでしたでしょうか?男性が普段している捉え方で女性の言葉を翻訳してしまうと大きなすれ違いがおきてしまいます。
英語も「Hello」の意味を「おやすみ」だと勘違いしていたら毎回すれ違いが発生してしまいます。女性の言葉は学校でも教えてくれず、辞書にも載っていないので翻訳するのは英語より難易度が高いかもしれません。
女性がよく使うパワーワード「いつも」「ずっと」「みんな」「少しも」「ぜんぜん」「何もかも」「ぜんぶ」「もう~ない」は、時系列や物の量を表しているのではなく、「今、現時点での感情の不安定さの度合い」を表しています。
そこがわからないと、男性は「いつもではない」「ずっとではない」というように、論理的な矛盾を指摘してしまいます。結果、「あなたはわかってくれない」となり言い争いがヒートアップして、最終的には喧嘩に発展してしまいます。
でも、正しい翻訳の仕方がわかっていれば、「ああ、今こういう気持ちなんだな」と理解できるので、お互いすれ違うことなく話をすすめることができます。
パートナーがなぜその発言をしているのか?の意図に共感し理解を示せば、彼女はよりあなたのことを信頼し愛情を持って接するようになり、あなたはかけがえのない存在となっていきます。
正しい翻訳方法を身につけて、あなたがパートナーと最良の関係を築けることを心より願っています。
この内容は、ジョン・グレイ先生の著書「ベスト・パートナーになるために」の一部抜粋と要約です。本書にはよりわかりやすい解説や興味深い事例が載っているので、もし興味を持たれた方がいれば実際に手にとって読んでみることをお勧めします。