カップルや夫婦など異性と長く付き合っている人が必ずといっても考えてしまうことがあります。それは、男性の場合は「女性はこんなにも喋りたがり喋り続けるのか」。女性の場合は「なぜ男性は急に黙りこくり自分の世界に閉じこもってしまうのか」ということです。
これはどちらも男性と女性の価値観の違いやストレス発散方法の違いからくるものですが、それが理解できないと、間違った対処法をしてしまい関係性が余計に悪化して、最悪の場合は破滅の道へと進んでしまうことがあります。
よくやってしまいがちな間違いとしては、例えば、男性の場合、女性が話しているときに話を遮って「それは〇〇が原因だな。△△した方がいいよ」と分析し解決策を提示してしまうことです。
女性の場合は、男性が自分の世界に入ってしまったときに「私のこと嫌いになったの!?」「もっと私のことを見て」とその男性を殻から強制的に引っ張り出そうとすることです。
では、こういった対応をなぜしてはいけないのか?こういった対応をなぜしてくるのか?を男性と女性のストレス発散方法の違いやその根本となる価値観の違いから説明します。
いきなり結論から入ると、女性は抱えている問題や悩み話すことによってストレスを発散するのに対し、男性は自分の心の中の殻に引きこもり全神経を集中することでストレスを発散します。
これはそれぞれの価値観によるところが大きいです。下の図は男性と女性が何に重きをおいているかという価値観を表した表になります。
男性は目的や問題解決、自分の能力を示すことを重要視しています。そして、あくまでも能力の証明は自分の力でやる必要があり、他人の力を借りて達成することは能力の証明にならないと考えています。
このため、ストレスになるほどの大きな問題や困難を抱えると、なんとしてでも問題を解決して自分には能力があることを証明することに全力を尽くすようになります。それは誰かの手助けをうけることなく、自分でとことん向き合って考え行動するようになります。
自分が抱えている問題や悩みを打ち明け、手助けしてもらうことは自分が無能であることを証明することになるため、完全に手詰まりになり、自分一人の力ではどうしようもできなくなるまで、問題や悩みを誰かに打ち明けることは基本的にありません。
また、自分の殻にこもった男性は目の前のストレスを退治することに心を奪われてしまうので、他人に対してはよそよそしい態度になり話の受け答えもほとんど上の空になります。
例えば、パートナーと同じ空間で過ごし話をしていても、彼の心の関心の95%は問題を解決することに夢中で、パートナーに向けられている意識は5%しかありません。
このため、すぐ近くにいるパートナーからすると、自分を置いてけぼりにして、男性が急に黙りこくり自分の世界に閉じこもってしまったように感じます。
男性が問題解決のために自分の殻に閉じこもった時は、決して、パートナーのことが嫌いになったからとか、愛想がつきたからといった理由ではありません。
単に、自分の能力や存在価値証明するために解決しなければならない問題が目の前に現れただけです。
なので、男性がその問題を何とか解決しストレスから開放されると、たちまちいい気分になり、こもっていた殻から飛び出してきて、これまでと変わらない関係性に戻ります。
ここで女性が絶対にやってはいけないまずい対応は、「私のことどうでもいいの?」「私と〇〇どっちが大事なの?」というように、全力で問題に立ち向かおうとしている男性を邪魔して意思をくじこうとすることです。
また、男性が解決すべき問題に割って入って「これはこうしたらいいよ」というように、なんとしても自力で解決したいと考える男性の問題を手助けしたり奪ってしまうこともとてもまずい対応です。
これをしてしまうと、男性からしたら、うっとおしく、めんどくさい女だというレッテルを貼られてウザがられるようになります。
女性がとるべき正解の行動は、今とても苦しい時期でストレスを抱えているのだと理解し「あなたならきっと解決できると信じてる」と言って、そして言葉通り待つことです。このとき男性は「問題を抱えて自分の存在価値すら証明できない自分を、彼女は信じてくれている」と感じ、女性への信頼感や愛情がこれまで以上に強固なものになります。
「なんとしてでもこの問題を解決して、より一層成長して彼女の元に戻る!」と意思を強くして問題という強敵が潜んだ殻の中に勇敢に入っていきます。
そして、問題を解決しストレスから開放されて殻から出てきたとき、自分を信じて待っていてくれた彼女の存在はかけがえのないものになっています。
一方、女性はコミュニケーションや人間関係を深め合い助け合うことを重要視しています。このため、自分の抱えている問題を他人と分かち合うことは、決して負担だと考えていません。
むしろ、相手の悩みや不満、心配事などストレスにしっかりと耳を傾けて理解し、共感することが愛情と信頼の証だと考えています。
このため、女性はストレスが溜まると話の順序など気にすること無く、過去、現在、未来のあらゆる心配事を自分の感情のままに吐き出します。
そして、話せば話すほど気持ちが楽になり、自分の話にパートナーが真剣に耳を傾け、理解し、共感してもらえたと実感できたときに、女性のストレスは一気に解消します。
ここで重要なのは、女性は決して問題解決を望んでいないということです。女性が望んでいるのは、自分の悩みを話し、それを聞いてもらい理解し共感してもらうことで、自分が愛され信頼されていると実感することです。
しかし、男性は自分の能力の証明や問題解決に価値を置く生き物です。このため女性が問題を話しはじめると、即座に頭をフル回転させてその問題の解決策を考え始めます。特に、女性のことを特別で愛していればこそ、より真剣に頭をフル回転させてより素早く解決策を提示してあげようとします。
このため、「その原因は〇〇だ。△△するといいよ」と言って、女性が望んでいない解決策を押し付けて話を遮り、女性のストレス発散の場を潰してしまいます。
結果、女性が「私の話を聞いてくれない!」となり、男性は「真剣に聞いているじゃないか」というすれ違いが発生し関係性がどんどんと悪化していき最後には、「もう二度と話しかけないでくれ」という怒りの文句でコミュニケーションが終わります。
男性がとるべき正解の行動は「そうか、それは大変だったね」と言い、女性の言葉を聞きながらうんうんと相づちを打ち、女性がその言葉を発している感情に自分の表情を合わせ、女性がすべて吐き出すまで話を遮らないことです。
重要なのは、女性は解決策を求めておらず、悩みや心配などの話を理解し共感しながら聞くことが愛情と信頼の証になるということです。
つまり、女性の「私の話を聞いてくれない!」というストレスは、話を聞いてもらえないことに怒っているのではなく、愛情がないと感じてしまうことで余計に不安・不満になっているのです。
女性が話し始めた時は、脳のリソースを問題解決に使う必要は一切なく、変わりに、すべての脳のリソースをどういう感情でパートナーがその言葉を発しているかに向けるようにすることが大切です。
得意の問題解決をしてあげるのは、女性が「この問題の解決策をちょうだい」と具体的に言ってきたとき以外は必要ありません。
なぜ女性のおしゃべりが止まらないのか?なぜ男性は黙りこくって自分の世界に閉じこもるのか?の理由は実はとても明確で、お互いが大切にしている価値観からくるものです。
ただし、価値観の違いや、なぜそのストレス発散方法をしているのかを知らないと、相手の行動を疎ましく思ったり、相手が望まない言動をかけてしまい余計に関係性を悪化させることになってしまいます。
単純に、女性は抱えている問題や悩み話すことによってストレスを発散するのに対し、男性は自分の心の中の殻に引きこもり全神経を集中することでストレスを発散する。ということを知っているだけでは、心のどこかで「そうはいっても、、」という反感や歪が生まれてしまうので、なぜその行動をとっているか?という理由を理解することが大切です。
また、カップルや夫婦が円満な関係を築くためには、一方がそのことを理解し行動に移せるだけでなく、お互いが理解し行動に移せる必要があります。
学校や会社では教えてくれないことなので知らなくて当然です。知ったタイミングから理解しようと努力し、行動していけばいいのです。
あなたがパートナーと最高の関係を築けることを心より願っています。
この内容は、ジョン・グレイ先生の著書「ベスト・パートナーになるために」の一部抜粋と要約です。本書にはよりわかりやすい解説や興味深い事例が載っているので、もし興味を持たれた方がいれば実際に手にとって読んでみることをお勧めします。