ニュースを見ているとオレオレ詐欺や、預金詐欺、架空請求といった様々な詐欺に関するニュースが飛び込んできます。
政府や警察、家族など色々な機関や人たちが「詐欺には気を付けてください」と叫んで、至る所にポスターやパンフレットが置いてあるのに、それでも詐欺被害は後を絶ちません。
「私は詐欺の手口には絶対にひっかからないね」と言っていた人が、気づくと「やられた」といって絶望した顔をしていることも少なくありません。
ここでは日本でいったいどれほどの詐欺が行われているのかと詐欺を防ぐ方法について解説しています。
「オレオレ詐欺?そんなのひっかかるわけないでしょ」と思っているかもしれませんが、実際に起こっていることに目を向ければそうはいってられないことがわかります。
ここでは2020年に発生した様々な詐欺の発生件数と被害総額をまとめています。
オレオレ詐欺の被害総額はなんと67億9千万円です(!!!)。しかもたったの1年間でです。とんでもない額ですね。
項目 | 結果 |
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発生件数 | 2272件 |
被害総額 | 67億9千万円 |
預金通帳詐欺の被害総額はなんと58億2千万円です(!!!)。しかもたったの1年間でです。これまたとんでもない額ですね。
項目 | 結果 |
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発生件数 | 4135件 |
被害総額 | 58億2千万円 |
架空料金請求詐欺の被害総額はなんと79億8千万円です(!!!)。しかもたったの1年間でです。これまたとんでもない額ですね。
項目 | 結果 |
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発生件数 | 2010件 |
被害総額 | 79億8千万円 |
還付金請求詐欺の被害総額はなんと24億9千万円です。オレオレ詐欺や架空請求詐欺に比べたら件数はだいぶ下がりますが、それでも25億円もの大金です。
項目 | 結果 |
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発生件数 | 1804件 |
被害総額 | 24億9千万円 |
融資保証金詐欺の被害総額は3億9千万円です。オレオレ詐欺や架空請求詐欺に比べたら件数はだいぶ下がりますが、それでも4億円もの大金です。
項目 | 結果 |
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発生件数 | 295件 |
被害総額 | 3億9千万円 |
金融商品詐欺の被害総額は4億2千万円です。オレオレ詐欺や架空請求詐欺に比べたら件数はだいぶ下がりますが、それでも4億円もの大金です。
項目 | 結果 |
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発生件数 | 58件 |
被害総額 | 4億2千万円 |
ギャンブル詐欺の被害総額は1億4千万円です。オレオレ詐欺や架空請求詐欺に比べたらそれでも1億円を超えています。(ぜんぜんかわいくないですね)
項目 | 結果 |
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発生件数 | 98件 |
被害総額 | 1億4千万円 |
交際あっせん詐欺の被害総額は7千万円です。
項目 | 結果 |
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発生件数 | 22件 |
被害総額 | 7千万円 |
他にも、キャッシュカード詐欺や盗み、口座開設詐欺、盗品譲与受け渡しなど様々な詐欺があります。
改めて国内で起きている詐欺の概要を眺めただけでも、その発生件数、詐欺被害、詐欺の種類に驚きをかくせません。
あちこちに詐欺注意のポスターがあり、「詐欺にかかるなんてありえない」「私は詐欺にかからない」と言っているような人たちがいるのに、なぜ詐欺にひっかかってしまうのでしょうか?
そこには詐欺師の「人間心理を巧みに使った手法」があります。
私たちには論理や理性、思考能力がありますが、同時に、人として生まれ持った特性があります。それは全ての人が持っていてある条件に対して自然に発生します。
簡単な例でいうと、ショッピングに行ったときに、周りにいる人たちが上を見上げていたら、あなたは何も考えずに周りの人たちと同じように上を見上げます。
詐欺師はこのように私たち人が自動的に反応してしまう性質を上手に使っています。
また、数うちゃあたるという戦法を取っているので、怪しがられて断られても痛くもかゆくもありません。それは何百人と電話している中(あるいは会話している中)の一人でしかないからです。
そのため、同じ方法を何度も繰り返し、そのタイミングで話に引っかかった人がカモとなります。普段は冷静な人でも時と場合によっては疲れていて論理的な思考が弱っていたり、感情的に高ぶって正常な判断ができない時があります。
オレオレ詐欺の手法で使われるのは「権威性」です。これは、偉い人から言われると、疑うことなしにその人の言ったことを信じてしまうという性質です。
犯人は最初に「〇〇警察署の△△といいますが」というように警察という権威を主張してきます。知識の無い人は「警察」という言葉を聞いただけで従わなければいけないと感じてしまうものです。
少し怪しいとともって「警察署の何課ですか?」と聞き直すと「〇〇警察署の生活安全課です」といったようにきちんと用意された答えが返ってきます。
実際に警察署に勤務していないという以外は完全に警察官になりきっています。
他に利用される心理の王道は「一貫性の原理」というものです。「一貫性の原理」とは自分が公表したり言ったり約束したことがあったら、無意識のうちにその言葉を守るように行動しようとすることです。
簡単に言うと、最初に小さなイエスを言ってしまうと、その言葉に沿った行動をしてしまい、相手からの次第に大きくなる要求に答えていってしまい、最終的に大きな詐欺にひっかかってしまうというものです。
オレオレ詐欺で「母さん。〇〇だけど」と言われたときに「ああ、〇〇か」と言って相手が本人であると承諾してしまった人は、その後も騙され続けやすくなります。
ハニートラップは古典的ではありますが、昔から今もずっと続けられるほど強力であることを示しています。
男性にとっては、例えばミニスカートを履いて谷間が見えているような魅力的な女性がそれにあたります。同時に女性の場合は爽やかで高身長でイケメンの男性がそれにあたります。
人には性的興奮を覚えると理性が弱くなるという性質があります。これにより、普段なら「ノー」と言うようなことに、ついついイエスと言ってしまいます。
また、ハニートラップのもう一つの罠は「よく見られたい」という心理が働くことで、少し尾ひれを着けて「イエス」と言ってしまい、結果一貫性の原理によって、その後の会話の流れを承諾してしまう結果になります。
オレオレ詐欺のような警察や弁護士、銀行職員などを名乗る偉そうな肩書を名乗る人から電話がかかってきたらまずは疑うことです。
「疑った結果、相手が持ち出してくれたお得な情報がなくなってしまう」と考えている人は既に詐欺にかかっています。
本当に公正でお得な情報は疑われたところでなくなりません。きちんとサービスとして誰もが公正に享受できるよう整えられています。
警察署を名乗るオレオレ詐欺を撃退した流れに次のようなものがあります。
おじいさんがやっていることは、とにかく正式なエビデンスを手に入れようとすることです。
「何課か聞く」→「電話番号を聞く」→「交番に行って確かめる」です。
もし、固定電話と携帯電話があるなら、犯人につなげたまま警察に電話をするのはとても効果的です。
今話している電話しかなかったとしても、ちょっと確認するので一旦切ります。と言って切って確かめてみるべきです。
本物かどうかは警察に電話すればわかります。その上で本物であればまた電話をしてくるでしょう。
詐欺であれば再度電話はしてこないか、あるいは電話してきたとしても既に詐欺とわかっています。
むしろ電話をかけてきた人が本物の警察であれば、疑られてしっかり確認されることは決して悪いことではありません。警察の案内が徹底されていることでもあるので、むしろ好ましいことです。
権威性のワナのように私たちは私たちの意志に関係なく無意識に反応してしまうことがあるので、どういったことをされると感情が無意識に反応するかを知っておく必要があります。
また、そういった無意識の反応に反して生じるのが「直感」です。直感は詐欺にひっかかりそうなときに、それが詐欺であることに気付かせてくれる重要な手がかりでもあります。
ありきたりな訪問販売のワナにつぎのようなものがあります。
こうして、元々はアンケートとして始まったものが、最終的には高額なクラブへの入会となりました。
ここで使われているのは身体的な魅力と一貫性の原理の2つです。
最初に身体的な魅力を見せたことで男性には「よく見られたい」という心理が働きます。そして、少し誇張してアンケートに答えていきます。
そこに働くのが「一貫性の原理」です。「外食をよくする」「ワインも好き」といったように答えたことで、外食をするお金も十分にありしゃれたことが好きな人として無意識のうちに振舞わざるをえなくなります。
結果として、最後の申し出を承諾して会員になってしまいます。
ここでポイントは、最後に女性がクラブへの入会の話を持ち出してきたときに「あれ、ハメられた」というような直感が働いていることです。
その証拠に「へえいいクラブですね!ぜひとも入りたい」とは言っていません。
この人が持つそもそもの特性と直感をそのまま説明すれば、こういった詐欺にひっかからずにすむようになります。
自分の直感と、魅力的な女性に対面したときに男性がどういう感情になるかを理解しているからこそできる対応です。
相手をののしるのではなく「あなたのように魅力的な女性」「知的なあなたならわかるでしょう?」と言ったことで、相手は自分自身がそうありたいと思うので、一貫性の原理によって、こちらの「商品を買わないということがわかるでしょう?」という申し出を受け入れます。