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管鮑の交わり(かんぽうのまじわり)の意味とは?由来と出典を含めて解説。現代に活かす方法

「管鮑の交わり」の意味

管鮑の交わりとは、利害を越えて絶対に信頼しあえる親友、という意味。

管は管仲(かんちゅう)という人。鮑は鮑叔(ほうしゅく)という人。この2人の友好関係がとっても厚かったよという諺。

現代的には、たけし君とけんた君は親友で、どっちかが困ったら絶対に助ける。周りからどんなに美味しい話を持ち寄られても絶対に相手を裏切ることはしない!という美徳にあふれた諺。

意味としては、ふーんなるほど。という感じ。

親友?そんな存在いるやつおるの?という友達関係が希薄な現在では、もはやいつ使うのかもわからないワード。

ただし、大事なのは言葉の意味ではなく、なぜ管仲(かんちゅう)と鮑叔(ほうしゅく)がそれほどまでの関係になったか。この諺の裏側を知ると、現代でも大いに活用できる価値ある言葉に大変身する。

言葉の由来

約2,700年前の中国のお話。(ここでの登場人物は3人だけ)

斉という国の①王様 桓公(かんこう)に使えた②優秀な部下 鮑叔(ほうしゅく)と、③超絶優秀な部下 管仲(かんちゅう)のストーリー。

当時の斉の国では王が死んで、次の王位をめぐって兄弟の殺し合いが勃発していた。そして、この兄弟のそれぞれに仕えていたのが、鮑叔と管仲。つまり二人の立場は敵同士だった。

しかも、管仲は鮑叔が仕える桓公(かんこう)を暗殺しようとまでしている。

だが、この暗殺計画も失敗し、管仲も捕えられ殺される寸前までいった。

ただ、勘違いしてはいけないのは、管仲は自分の利益や保身のためにそうしたのではなく、仕える人に忠義を尽くそうと全力を尽くしたということ。

もともと、鮑叔は管仲と仲がよく、その人となりや才能を見抜いていた

そこで、王である桓公に「管仲を殺してはいけない。得難い人材で、いずれこの国のために役に立つ」と伝えた。

桓公は命を狙われ殺されかけたぐらい、さらに、管仲の悪評も聞いていたので当然反対(あたりまえですよね)。

ただ、信頼する部下である鮑叔が言うことなので、真意を確かめるためいくつか質問した

Q & A


・Question1
桓公「昔、お前と管仲が商売をしていたときに、管仲の方が売上を多くとっていたんだろう?そんなヤツを信頼できるのか?」

鮑叔「それは、管仲の家が私の家よりも貧しく、また、管仲が私利私欲でやってないことを知っていたので、私との理解の上です。」



・Question2

桓公「他にも、お前は管仲のせいで窮地に堕ちいたことだってあるって聞いてるぞ!」

鮑叔「あれは、管仲が私に手柄をたてさせようとしてくれたんですが、裏目に出てしまっただけです。全ての物事が上手くいくわけじゃないですからね。」



・Question3

桓公「あいつ何度か人に仕えて、その度にお払い箱にされとるやん!そんなヤツに才能あんのか?」

鮑叔「それは、管仲が時代の流れに合わなかっただけで、彼が無能なわけではありません


「私は幸いにも桓公様にお仕えすることができました。この国を治めていくだけなら私だけでもいけます。ただ、これから領土を広げていくのであれば、必ず管仲の力が必要になります。」


桓公「そ、そうか。」


こうして、鮑叔は管仲を助ける許可を得た。鮑叔の先を見通す力、人の本質を見抜く力、そして桓公と話す力、どれも素晴らしい。



そして、実際に捕えられた管仲にかけた言葉がまた素晴らしい。


鮑叔「管仲久しぶり!桓公様は才能のあるお前を殺すほど愚か者ではないぞ」


この一言は本当にですごい。「俺が助けてやったぞ」と恩をうるなんてことはせず、桓公に仕えるメリットを最も効果が高いタイミングで管仲に伝えている。

管仲は命を助けられたことに恩を感じ、さらに、自分の才能を認め、それを見抜いて登用してくれた桓公に忠義を誓わない理由がなくなる。


そしてやはり一番すごいのは鮑叔。反対していた桓公に管仲のことを認めさせ、管仲にも桓公に対する一生の忠義の心を自然と芽生えさせている

どこかで順番が狂ってもダメだし、自分ひとりで管仲を助けてもダメ。協力して未来に向かっていくために必要なプロセスをしっかり踏んでいる。


友に接する態度

鮑叔がすごいのは、ここまでのこのやり取りと計らいだけではない。

その後も桓公に仕えていく中で、鮑叔は常に管仲よりも下の地位について常に補佐役に回った

自分を優位にしようとするどころか、自らその下についたのである。


そりゃ、親友にもなるよ。管仲は何があっても裏切らない、裏切る理由がない。そして、鮑叔も下の地位を適切な場所と考えてるから、裏切って地位をあげようなんて考えてない。

鮑叔は安定して、管仲は才能を発揮して国をどんどん豊かにしていく。

完璧なバランス感。そして、この全てのバランス感を織りなしたのが鮑叔

これこそが、「管鮑の交わり」(かんぽうのまじわり)。


本当の優秀とは?本当の安泰とは?

政治的手腕を発揮し、画期的なアイデアで国をどんどん発展させ大活躍していったのは管仲。世間一般で言う、超絶優秀は鮑叔よりも管仲だろう。

つまり、政治的手腕では鮑叔は管仲よりも劣る。現代的には鮑叔は勉強ができないという比較対象になってしまう。

ただ、その管仲が活躍できる基盤をつくり、内戦が起こらないようインフラを常に整え続けたのは鮑叔。

才能や適所を見抜き、安定という絶妙のバランスを作り出した鮑叔こそ、真の超絶優秀な人材かもしれない。


つまり、どちらも超絶に優秀。この異なる優秀さを持つ二人が合わさったことで、歴史に残るほどの発展につながった。

「管鮑の交わり」を現代に活かす方法

親友が欲しい、信頼できる部下が欲しい、信頼できるパートナーが欲しい、そう嘆くあなた。あなたは、そのために周りや相手に対してどんな発言をしていますか?

鮑叔に習って見返してみましょう。


・Question1
自分より少しでも厳しい環境にいる人に、「彼/彼女は私よりも厳しい環境にいるから、私の取り分を減らして彼/彼女にあげて欲しい」と言っていますか?

「あいつは私より多くもらっててズルい」「なんで私のをあげなきゃいけないの?」「私はまだまだ足りないもっともっと欲しい」なんて思っていませんか?


・Question2
もし、相手があなたによかれと思ってやったことで、失敗に終わって損害を被ったときに、「今回は裏目に出てしまっただけ、全ての物事が上手くいくわけじゃないよ。」と言っていますか?

「お前が余計なことをしたせいで」「めんどうなことを持ち込みやがって」「私に任せとけばよかったんだよ」なんて思っていませんか?


・Question3
相手が何かで上手にできなかったり、失敗した時に「今回はたまたま流れが悪かった。決してあなたに能力がないわけじゃないよ」と言っていますか?

「ざまーみろ」「ほれみろ、だから言ったじゃん」「うわ下手くそ」「ダサッ」なんて思っていませんか?

・Question4
相手が窮地に陥っているときに、あなたが汗水たらして全力で助けて、その人がなんとか窮地を切り抜けたときに、相手に恩を一切感じさせることなく、「周りのみんながあなたが復活することをずっと待っていたよ」と言えますか?

「あれだけやってやったんだから、お礼ぐらい言えよ」「感謝しろよ」「私のおかげだね」「見返りよろしく」「あー、ほんと手間かけさせやがって」なんて思っていませんか?


・Question5

相手の才能が自分より上だとわかったときに、自分はサポート役にまわって、その人が飛び回れるように喜んでサポートしてあげてますか?

「あいつばっかり羨ましい・ズルい」「どこかで失敗しろ」「いつかぶち抜いてやる」「今に見てろ」なんて思っていませんか?



あなたの態度や心の中はどうでしょう?

心から「管鮑の交わり」と言える一生涯のパートナーが欲しいのであれば、あなたの発言や態度を変える必要があるかもしれません。



「管鮑の交わり」はたったの6文字。裏切らない親友というだけの意味ですが、その裏側はとても奥深いんです。

2,700年経っても色褪せない天才政治家 鮑叔様の言葉に学ばせてもらいましょう。

出典

この内容は、「横山光輝(よこやまみつてる)」さんの、「史記(しき)」で書かれている内容です。

史記?中国の歴史所でしょ?なんか古臭くて、お固くて、現代人には必要ないね。時代遅れ。なんて思わないでください。

絵はシンプルで、とにかく読みやすくて、人間模様がありありと書かれています。

内容は、人が死ぬときは死ぬ、陰謀が成功するときは成功する、才能ある人も時代の流れにあわなければ滅びる、時代の流れに合えば悪いやつも成功する。そんな歴史上の事実がそのまま描かれています。

脚色されすぎたり、大人の都合で大幅カットされているわけではないので、学びも多いです。

この諺の内容はたったの数ページ(全体の0.05%)。また、記事は厳密さよりも、「わかりやすく興味を持てること」を重視しているため、もっと詳しくしりたい!と思った人はぜひ手にとってみることをお勧めします。


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