開業届を出すメリットは以下の2つです。
開業届を出したことで得られる収入が「事業所得」となります。
「事業所得」になると、赤字に陥った時に他の「給与所得」などの収入と足し合わせて、課税対象になる所得を減らすことができます。
開業届を出す最大のメリットは青色申告する権利を手に入れられることです。
青色申告をするメリットは、大きく以下の3点です。
青色申告の最大のメリットの一つが「最大65万円の控除が受けられる」ことです。
どういうことかというと、儲け(所得)のうち65万円は非課税になるということです。
儲け(所得)が65万円以上あり、かかる税率が20%だとすれば、約13万円を税金として支払わずに、手元に残しておけるということです。
青色以外の白色申告でもそうですが、経費を費用に計上することができます。
どういうことかというと、アフィリエイト広告の運用をするにあたってかかるサーバー代、ドメイン代、Wi-Fiの通信費用を経費としてみなすことができます。
また、家で作業を行っている場合は、家賃や光熱費の一部を経費として計上することもできます。
もし、アフィリエイト広告の売上が月3万円で、サーバー代、ドメイン代、Wi-Fiの通信費の合計が月々1万円とすると、儲け(所得)が2万円となり、税金がかかるのもこの2万円のみになります。
仮に、税率が20%とすれば、税金として6000円払うか、4000円払うかの違いになります。
青色申告の最大のメリットの一つが「配偶者や子供(15歳以上)に払った給料を経費に計上できる」ことです。
アフィリエイト広告の運用にあたって、家族に手伝ってもらったときにお駄賃やお小遣いとしてお金を渡すことがあるかもしれません。
青色申告を使うと、それらを経費として計上することができます。
開業届のデメリットは主に以下の3つです。
会社員の場合、雇用保険料を12か月以上払っている人は、転職先がない状態で会社をやめたときに失業手当を受け取ることができます。
ところが、開業届を出したことで、会社を辞めても失業中ではなく、個人事業主とみなされるため失業保険を受けることができなくなります。
専業主婦の方など、現在会社に勤めていない人が開業届を出すと個人事業主になります。
その所得が48万円以下であれば、配偶者控除を受けられます。133万円以下であれば配偶者特別控除を受けられます。
ところが、それを超えてしまうと扶養から外れてしまいます。
扶養から外れると、健康保険料や公的年金を自分で支払わなければいけなくなってしまいます。
開業届を出していない場合は、確定申告をうっかり出し忘れていたということもあるでしょう。
ところが、開業届を出すと、確定申告の通知書が届くようになり、確定申告が義務になります。
確定申告を出し忘れると、追徴課税が課されより多くの税金を納めなければいけなくなります。
開業届にはデメリットもあるため、本業とは別に副業で稼いでいる人の中には「開業届は出すべき?」と悩んでいる人もいるかと思います。
ややこしそうだし、会社にバレたら大変、、心配する人も少なくありません。
ですが、結論からいうと開業届は出すべきです。
特に副業でコンスタントに毎年20万円以上(月 約2万円以上)稼げるのであれば開業届を出すべきです。
開業届を出したことで、青色申告という大きな節税ができる権利を始めて手にすることができます。
なお、開業届を出したことで、会社に副業がバレることはありません。
開業届は国税庁のホームページからダウンロードすることができます。
なお、ダウンロードしたものを印刷して手書きしてもいいですし、Adobeで開いて直接情報を打ち込んでから印刷することもできます。
ダウンロードした開業届は以下のようになっています。下記はPC上で郵便番号と東京都を入力した場合です。
初めに、納税先の税務署の情報を記載する必要がります。
納税先となる税務署は自分がどこに住んでいるか(住民票があるか)によって変わります。
自分の住んでいる場所の税務署は、国税庁のページから簡単に調べることができます。
リンク先のページを開いて、郵便番号を入力すれば、管轄先の税務署が表示されます。
「〇〇税務署」と表示されたら「〇〇」の部分「___税務署長」に記載します。
税務署長の下にある提出日は提出する日付を記載しますが、記載しなくても問題ありません。
家で副業をする場合、「納税地」は「住所地」を選択し、家の住所と電話番号を記載します。
住所地は、家で副業をする場合に選択します。
居所地(きょしょち)は海外に住んでいる人が、日本で職場とする場所があるときに選択します。
事業所等とは、家とは別の場所にオフィスがある場合に選択します。
続いて名前、マイナンバー(個人番号)、生年月日を記述します。
「職業」の欄に開業届を出す事業の職業を記載します。
書き方に決まりはなく、読んでわかる内容であれば問題ありません。
最近だと、インフルエンサー、Youtuber、WEBデザイナー、WEBサイト運営業といった職業があります。
なお、昔からある業種に関しては総務省の日本標準産業分類が参考になります。
人によっては、インフルエンサー、Youtuber、WEBデザイナー、WEBサイト運営業など複数の職業を手掛けているひともいるかもしれません。
そういうときは、主たる収入の職業を代表して記述します。
通常、事業税の税率は5%ですが、事業によっては3%や4%になることもあります。該当する場合はその職業名を記載する必要があります。
税率 | 職業 |
---|---|
3% | あんま、マッサージ又は指圧、はり、きゅう、柔道整復、その他の医業に類する事業、装蹄師業 |
4% | 畜産業、水産業、薪炭製造業 |
屋号とは個人事業主の会社名のようなものです。
法人の場合は株式会社〇〇といった名前がつきますが、これと同様に個人事業主の場合も自分の事業に対して名前をつけることができます。
屋号は必ずしも必要なものではありません。屋号をつけずに個人名で事業を営むこともできます。
フリーランスの方には自分の名前を使っている人も少なくありません。
屋号を記載する場合でも、フリガナは必須ではありません。
届け出の区分にある「開業」にチェックを入れます。
事業の引継ぎを受けた場合は住所と氏名を記載する必要があります。
受けていない場合は空欄で問題ありません。
所得の種類は「不動産所得」と「山林所得」以外の場合は「事業所得」にチェックを入れます。
開業の日付を記載しますが、こちらも明確に何をした日が開業日という決まりはありません。
初めて収入があった日を開業日にしている方も少なくありません。
開業届を出す目的は青色申告を受けることですが、これに関して、開業日を記載するときに注意することがあります。
それは、申請した年度に青色申告をしたい場合は、「青色申告承認申請書」を提出するときに以下の2つの条件のどちらかを満たす必要があるということです。
もし、既に3月15日を過ぎてしまっている場合は、今回提出する「開業届」の開業日と、別途提出する「青色申告承認申請書」が2か月以内になるようにする必要があります。
開業届を出す一番の目的は青色申告をする権利を得ることです。
そのためには、開業届とあわせて「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
このため、「青色申告承認申請書 有」にチェックを入れておきます。
(※「青色申告承認申請書」は別途記述して提出が必要です。)
消費税に関する~は「無」にチェックします。
最後に「事業の概要」を記載します。
「できるだけ具体的に記載します。」という注釈がありますが、ある程度で問題ありません。
例えば、職業を「WEB事業」とした場合は、「WEBサイト制作やブログ運営など」といった書き方で問題ありません。
以上で開業届の記載は完了です。
「えっ、こんな簡単なの?」や「かなり空欄があるけど、、」と思われるかもしれませんが、これで受理される条件を十分に満たしています。
ダウンロードしたPDFの2枚目に控えがあります。
この控えに同じ内容を記載してもいいですし、1枚目をコピーして、右上に「(控え)」と手書きしておいても問題ありません。
開業届を管轄の税務署に提出する方法は以下の2つがあります。
どちらの場合も、本提出用の書類と、控えを同封します。
開業届を郵送で送る場合は、以下を忘れないように注意してください。
返信用封筒が入っていないか、切手を貼っていない場合は、開業届の控えが永遠に返ってきません。
切手代がいくらかわからないという人は、とりあえず82円を貼っておけば、不足している場合でも受取時に差額を払えば、受取ることができます。
この記事の内容はフリーランス税理士として有名な大河内薫さんのYoutube動画を参考にしています。
大河内さんは解説が非常に丁寧でわかりやすく信頼もおけるので、実際の動画もオススメです。