2020年度の冬に短期間で電気代が高騰しメディアで取りざたされるなど大きな騒ぎがありました。
この時、本卸電力取引所(JEPX)では電気の卸売価格が2020年の12月に8円/kWh程度だったものが、翌月には250円/kWhと約30倍にまで跳ね上がっていました。
新電力など市場の卸売価格にあわせた変動型の料金設定をしている企業も多く、短期間で電気代が数万円増加したというところも少なくありません。
その背景には日本の電力会社が主な電力として使っているLPGや石炭などの海外から輸入している原料が高騰したことが挙げられます。
寒波や熱波などエアコンや暖房をフル稼働する必要があるときは、日本だけでなく他の国々も同じ状況に見舞われていることが多く、LPGなどの燃料の奪い合いが発生します。
更に産油国による価格調整があるなど、日本にいる私たちはとても弱い立場にいます。
ここではそんな脆弱な電力事情の日本において、自分たちで安く簡単に電気を生み出す方法について解説しています。
LPGなどの価格が高騰する中、逆に太陽光発電は発電効率が大幅に向上し、価格が大きく下がっています。
経済産業省が示す住宅に太陽光発電を設置するトータルの費用も2001年頃に比べ半分以下になっています。
更に驚くべきは太陽光発電を使った商品はダイソーなどの100均にも置いてあります。
ガーデン用のライトをはじめ、太陽光パネルを設置したライトが売られています。しかもこれらのライトは思っている以上に明るいです。
このように太陽光パネルやソーラーパネルはとても安く簡単に手に入るようになっています。
太陽光を使った製品を上手く使うとその分電気代を節約することができます。
そんな中で注目されている言葉の一つに「ベランダ発電」があります。
一般家庭の主婦が1mほどの太陽光発電機を自作して、ベランダに出して鉛バッテリーにつないで充電するといった活動です。
材料費は3~5万円ほどかかりますが、1日充電するだけで5時間ほどテレビが見れるようになります。
テレビで消費する電力は0.05kW程度なので、一時間あたりの一般的な電気代26円/kWhとすると1時間あたり1.3円です。5時間使って6.5円です。
これだけでは材料費の方が圧倒的に高く、あまりやる意味を感じないかもしれません。
ですが、仮に電力価格が高騰して30倍になったとすると、5時間使ったときの価格は195円になります。その期間が3か月続けばその価格は1万8千円です。
材料費が3万円だとすれば、5か月使えば元がとれてしまいます。
電力価格が高騰したときに効力を発揮するという意味では非常用電源の位置づけに近いものがあります。
2011年に発生した東日本大震災では真冬の寒い時期に、広範囲にわたって約3~8日ほどの停電が発生しました。
2019年に発生した台風15号では、千葉県を中心に停電が長期化し、復旧までに10日ほどかかったエリアもありました。
そのような場合でも家に太陽光パネルがあれば、スマホやwi-fiを充電することができるので、情報収集や連絡など災害時に役に立つことは言うまでもありません。
自作ソーラーパネルと言われて「難しそう」「私には無理」と構える必要はありません。
最近ではバッテリーまでセットになった自作ソーラーパネルの作成キットが比較的格安で売られています。
特に工場広場のソーラーパネルパーフェクトセットはお勧めです。
太陽光を電気に変換して、テレビやスマホの充電器をつなげるコンセントまで付属しています。
これで何ができるかというと
など、なかなかの電力を発電することができます。
もちろん、スマホやPC、wi-fiなどの精密機器の充電にも使うことができます。
パネルは防水なのでベランダなどの屋外で使うこともできます。突然の雨でも心配することはありません。
また、高効率パネルを採用しているので、室内など窓ガラスの内側でも十分に使うことができます。
なお、組み立てまでにかかる時間は30分程度です。もちろん説明書も同梱されています。
価格は29,000円ほどで、このクラスのソーラーパネルセットの中では最安値です。
節電という面からは少し外れてしまいますが、非常用電源として考えるのであれば、DRIVE WORLDの222Wソーラーパネルセットもかなりお勧めです。
特筆すべきはバッテリー(蓄電池)の性能が高いことです。フル充電すると、スマホを約20回フル充電させることができます。
ミニ冷蔵庫も6時間使うことができます。
更に、バッテリーの充電方法はソーラーパネルだけではなく、車のシガーソケットや家庭のコンセントからも充電することができます。
このため、急いで充電しなければいけないときや、外出するときなどに優れています。
このバッテリーは2㎏とかなり軽量なので女性が簡単に持ち上げることができます。(片手で持ち上げられます)
デザインも中々にオシャレです。
先ほどの製品に+1万円すれば買えるので、お得さでいえばこちらの方が満足感があります。
価格は39,000円ほどで、このクラスのソーラーパネルセットの中では最安値です。
上記のシリーズにはより大容量のモデルも用意されています。先ほどの2倍の性能がある444Whのタイプもあります。
フル充電で、スマホを約40回フル充電させることができます。
ミニ冷蔵庫も13時間も使うことができます。
このバッテリーも軽量で4.6㎏程度なので女性でも簡単に持ち上げることができます。
バッテリーのデザインも機械チックではなくオシャレです。
大家族などで非常用やアウトドアとして使うのであればお勧めです。
自家発電の上級者になると、自ら電気工事士の資格を取得して、自宅の庭に太陽光パネルを設置し、倉庫に鉛バッテリーを整備している人もいます。
中には毎月かかる電気代は基本料金の数百円のみです。
こういった方の場合は一般家庭とは真逆で、電力会社から供給される電気をむしろ非常時用のバックアップ電源として使っています。
太陽光発電で自家発電した電気を使う際は蓄電池が必要になります。
そのとき、通常は蓄電池を購入することを考えがちですが、実は電気自動車に大きなメリットがあります。
電気自動車を強く推進する理由はガソリンなどの化石燃料を使わないためエコである点だけでなく、動く蓄電池としても使うことができます。
しかも、蓄電池としての価格は蓄電池単体で購入するよりも、電気自動車として購入した方が安いというメリットがあります。
補助金制度を利用すると1kwhあたりのコストは一般家庭向け蓄電池よりも電気自動車の方が2倍以上安くなっています。
しかもタイヤが付いているので動かすことができます。
電気自動車の中には屋根に太陽光パネルを設置しているものもあり、走りながら蓄電できる機能を持ったものもあります。
発電して余った電気を使って家電を使うこともできます。
日本は石炭やLPGなどの燃料が採れない化石燃料の弱小国です。このためそういった燃料は海外に頼らざるを得ません。
自分たちで価格を調整することができず価格高騰の影響を受けるにも関わらず未だに日本の電力の7割以上は化石燃料を使用しています。
しかし、近年急速に発達してきた太陽光発電やソーラーパネルを使えば、より安く自分たちで電気を生み出せるようになります。
一般家庭などの個人レベルでの太陽光発電はまだ始まったばかりですが、これから大いに注目される領域です。
しっかりと取り組んでいけば、数年後にはあなたの家の電気料金が0円になることも夢ではないかもしれません。
この記事は環境省 気候変動対策検討委員の山口豊さんが書いた「再エネ大国日本への挑戦」の内容の一部を引用&参考にしたものです。
本書は他にも再エネの細かい事例や日本で起こっている災害の状況が記されていてとても魅力的な内容となっています。
本記事に少しでも興味を持たれた方は実際に手に取ってみることをお勧めします。