日本は世界有数の森林大国と言われています。私たちにとっては山や林があり木が生えているのが当たり前の景色ですが、世界的に見ると決して当たり前ではありません。
日本は世界でもトップに入るほどの森林があります。
このため、地球温暖化や産油国の値上げによる石油高騰などを背景に、豊かな自然を使った再生エネルギーがが注目され始めています。
ただし、手入れされていない人工林も多く、荒れ果てて災害を引き起こす原因にもなっています。
ここでは、日本がどれだけの森林を保有しているのか?日本の森林の現状について解説しています。
日本の保有する自然は世界216か国のうち23位です。これは上位90%に該当します。
ランキング | 国名 | 森林面積(ha) |
---|---|---|
1 | ロシア | 814,848,460 |
2 | ブラジル | 491,570,000 |
3 | カナダ | 346,975,800 |
4 | アメリカ | 310,645,000 |
5 | 中国 | 211,405,700 |
6 | コンゴ民主共和国 | 151,955,200 |
7 | オーストラリア | 125,367,000 |
8 | インドネシア | 89,641,200 |
9 | ペルー | 73,637,800 |
10 | インド | 71,038,800 |
11 | メキシコ | 65,856,800 |
12 | コロンビア | 58,448,300 |
13 | アンゴラ | 57,606,400 |
14 | ボリビア | 54,186,000 |
15 | ザンビア | 48,301,800 |
16 | ベネズエラ | 46,354,200 |
17 | タンザニア | 45,316,000 |
18 | モザンビーク | 37,527,200 |
19 | パプアニューギニア | 33,553,400 |
20 | スウェーデン | 28,073,000 |
21 | ミャンマー | 27,948,200 |
22 | アルゼンチン | 26,518,400 |
23 | 日本 | 24,954,800 |
国土に占める森林の割合でみると日本は9位とトップ10に入っています。(※面積10,000km2以下の国を除く)
国土の6.6割が森林というかなりの自然大国です。
ランキング | 国名 | 単位面積当たりの割合 | 森林面積(km2) | 面積(km2) |
---|---|---|---|---|
1 | スリナム | 93.5% | 153,244 | 163,820 |
2 | ガボン | 87.4% | 234,000 | 267,668 |
3 | ラオス | 80.8% | 191,398 | 236,800 |
4 | ガイアナ | 76.8% | 165,060 | 214,969 |
5 | ソロモン諸島 | 75.2% | 21,738 | 28,896 |
6 | パプアニューギニア | 72.5% | 335,534 | 462,840 |
7 | ブータン | 72.3% | 27,748 | 38,394 |
8 | マレーシア | 67.4% | 222,234 | 329,847 |
9 | 日本 | 66.0% | 249,548 | 377,974 |
10 | フィンランド | 65.7% | 222,180 | 338,431 |
11 | ザンビア | 64.2% | 483,018 | 752,612 |
12 | コンゴ民主共和国 | 63.6% | 1,519,552 | 2,389,986 |
13 | スウェーデン | 62.3% | 280,730 | 450,295 |
14 | スロベニア | 61.6% | 12,484 | 20,273 |
15 | パナマ | 60.8% | 45,842 | 75,417 |
16 | ベリーズ | 59.1% | 13,563 | 22,966 |
17 | ブラジル | 57.7% | 4,915,700 | 8,515,767 |
18 | ペルー | 57.3% | 736,378 | 1,285,216 |
19 | フィジー | 56.2% | 10,269 | 18,272 |
20 | コスタリカ | 55.1% | 28,164 | 51,100 |
実は日本の森林の4割が自然と生えている木ではなく、人工的に植林されたスギやヒノキなどの針葉樹です。
暑さにも寒さにも強いスギは日本全国で、暑さに強いヒノキは関東以南に植えられています。
なぜこれほどまでに人工林が多いかというと、戦時中の過度な伐採により荒れた山地を復興や、高度経済成長期の需要増加に対応するために、加工しやすい針葉樹を植えたのが理由です。
元々生えていたブナなどの広葉樹を切り倒して、新たに針葉樹を植えたエリアも少なくありません。
スギやヒノキなど人口林は加工しやすく、家や家具の材料として重宝する反面、育てるには手間がかかります。
定期的に細い枝を切り落とす間伐が必要です。間伐をしないと十分な日光が得られず補足ひょろひょろとした細い木になったり、病気になって芯が腐ったりします。そして風や雪に弱い木になってしまいます。
台風や大雪が来ると弱った木が倒れ、電線を切断し大規模停電に至ることもあります。
間伐がされていない人口林は地面に太陽光が届かず草が生えません。
このため、大雨が降ると何も覆われていない土が簡単に流され、土砂災害などを引き起こしやすくなります。
1945年以降の戦後から、1970年代の高度経済成長期にかけて国内における森林の需要は非常に高く、スギやヒノキが高く売れました。
このため、お金を儲けるビジネスとして林業が盛んに行われました。ですが、日本の工業が発達し財政が潤ったことと、法改正により木材の輸入が全面自由化になったことで、海外から木材が大量に輸入されるようになり、国内のスギやヒノキの値段がどんどんと下がっていきました。
木材が安く手に入るようになり多くの国民が安く木材製品や家を手に入れられるようになった一方、林業はもうからないビジネスとなり多くの人が林業から、より儲かるビジネスへと鞍替えしていきました。
当然若い人も儲からない林業を継ごうとはせず、都会へと流れていきました。
実際、森を手入れして気を山から切り出してくる費用の方が高くつき、木を伐り出すだけ赤字が増えるという状態も珍しくありません。
更に、頑張って林業を営んでいた人たちの高齢化も進み、手入れが困難になるなど、手入れされない森がどんどんと増え続けています。
日本は森林が多く自然豊かな反面、人工的に手を加えすぎたことが原因で自然災害を招きやすい危険な状況に陥っています。
もちろん日本もその危険な状況に気付いています。
どうしようもない森をただ指を加えて見ていたり、儲からない・時代遅れだと目を逸らしている人ばかりではありません。
岡山県の西粟倉村(にしあわくらそん)は鳥取県と兵庫県の県境に位置する最東端の山の中にある人口1,300人ほどの小さな村です。
この小さな村で森を使ったビジネスや、木をエネルギー資源としたバイオマス発電が成功し、仕事や人口が増えるといった地域活性化が起こっています。
このように日本全国で少しづつですが、日本の豊かな資源である森と最先端技術を掛け合わせた事業が始まっています。
この記事は環境省 気候変動対策検討委員の山口豊さんが書いた「再エネ大国日本への挑戦」の内容の一部を引用&参考にしたものです。
本書は他にも再エネの細かい事例や日本で起こっている災害の状況が記されていてとても魅力的な内容となっています。
本記事に少しでも興味を持たれた方は実際に手に取ってみることをお勧めします。