Categories: 人付き合い

悪い情報は先に伝えるべき?後から伝えるべき?|相手からイエスを引き出し約束を守らせる方法

人には誰かに手伝ってもらったり協力してもらいたいときがあります。

「ちょっと手を貸して」という簡単な依頼であれば、相手も引き受けてくれるでしょう。

ですが、相手にお願いする内容はあなたにとって都合のいいことで、相手にとっては都合がよくないことがほとんどです。

勇気を出して依頼した結果「それはちょっと」「うーん、難しいな」「ごめん」という回答が返ってくるかもしれません

その人をかなり頼りにしていたので意気消沈です。

そんなときに相手からのイエスを引き出しやすくするとっておきのテクニックがあります。ここではその方法について紹介しています。


悪い情報は後から伝える

相手からのイエスを引き出しやすくするとっておきのテクニックは結論から言うと「悪い情報は後から伝える」というものです。

具体的には先に良い情報、あるいは普通の情報を伝えておいて承諾を得たうえで、後から「そうそう、言忘れてたんだけど」や「協力してくれてありがとう。では~」といったように、後から悪い条件を伝えます。

すると同じことを依頼したとしても、承諾を得た後で悪い情報を伝えた方が、相手が依頼を受け入れて、きちんと約束を果たしてくれる確率が大幅に上がります。


実例

アメリカの著名な心理学者 ロバート・チャルディーニは、普通に依頼をした場合と、悪い情報は後から伝えた場合で、依頼された人の行動にどういった変化が生じるかを調べました。

実験の内容はとても簡単で、大学生を2つのグループに分けて、学生が嫌がるであろう依頼を次の2パターンで行います。

パターン1

「朝7時から始まる、思考過程に関する研究に参加してくれないか?」

パターン2

「思考過程に関する研究に参加してくれないか?」と訊ね、相手が承諾した後に「では、朝7時に〇〇へ来てくれ」と伝える。

朝7時というのは大学生にはかなり酷なものがあります。(大学生だけでなく大人でも嫌ですね)

この実験の結果には驚くべき程の差がでました。

パターン1の嫌な情報を最初から伝えた学生が承諾した確率は24%でした。

一方、パターン2の嫌な情報を伏せてお願いした場合の承諾率は54%でした。なお、後から「朝7時から」という悪い条件を付け足して説明した場合に、辞退する人は一人もいませんでした

そして、パターン2の方法で承諾した学生が当日きちんと朝7時に来た割合は95%でした。

pont

悪い情報を伏せて承諾をとって、後から悪い情報を伝えたとしても、ほとんどの人が最初に出した自分の言葉を維持し、約束もきちんと守る。


何が起こっているのか?

依頼している内容と実際にやってもらったことは「朝7時から始まる、思考過程に関する研究に参加する」というものでまったく同じです。

にも関わらず、なぜ「朝7時」という相手にとって都合の悪い情報を伏せた場合の方が承諾率が大幅にあがったのでしょうか?

そこにはローボール・テクニック(承諾先取り法)と呼ばれる強力なマーケティング手法の原理が働いています

ローボール・テクニックとは、最初に相手にメリットを伝えて商談を取り付けたあとに、商談成立の間際になって、最初に与えたメリットを取り除くという方法です。

お客さんは最初は提示されたメリットに飛びついて購入を決意しますが、一度「購入する」という意思を表明すると一貫性の原理によって、購入することを肯定するように行動するようになります。

そして、自分の中で最初に提示されたメリット以外の購入する理由を作り上げていきます。

最終的な商談の終了間際には、いくつもの購入する理由があるので、最初に提示されたメリットを抜き取られたとしても、そのまま購入に至るという心理です。

ロバート・チャルディーニの実験では学生は「思考実験に参加する」と言った時点で、思考実験に対する興味など参加する理由を自分の中で既に持っています。

そこに、後から「朝7時」という条件が加わっても、もともとあった参加する理由はなくならないということです。

更に、一度でも「やります」と言ったことを後から取り消すと、優柔不断、不安定、信頼がおけないといった、社会的に低い評価を与えられ、自己評価自体も下がってしまうので、自分の言ったことを守ろうとします

point

ボール・テクニック(承諾先取り法)の凄いところは、不利な選択で相手を満足させられること。


まとめ

依頼した相手が渋るような嫌な条件や、悪い条件がある場合はそれを伏せて良い条件や、ハードルの低い条件だけで依頼だけをするのがセオリーになります。

良い情報と悪い情報先に伝えるべきはどっち?という疑問の答えは、明確に「良い情報」ということです。

依頼するとよく断られてしまう、、という人は是非、この手法を試してみてください。

yuta