私たちは新しく誰かに会ったとき、その人の服装や喋り方、風貌などで「この人好きだな」や「この人苦手だな」といったことを判断しがちです。
そして、一度判断を下してしまうと、その判断がくつがえることはほとんどありません。
好きな人は好き、苦手な人は苦手なままずっと続くものです。
その人と会う会わないを選べるのであれば問題ありませんが、相手がお客様や上司の場合「嫌だな」という気持ちを持っていると、気が進まなくなります。
逆に、最初に抱く印象が「この人好きだな」となった方が、その人に会わなければいけない状況になったときに「会いたい」と思えるようになります。
つまり、相手のことを好きだと感じるのは、人間関係を円滑にして幸せに暮らすための一つの技術です。
ここではまず、私たちの脳の仕組みを解説し、その原理を利用して人を好きになる方法について解説しています。
私たちの脳は強力な自動連想装置です。
「シマウマを想像しないでください」と言われると人は無意識のうちにシマウマを想像してしまいます。
私たちの脳の更なる特徴として、全く関係のないものを勝手に結び付けてしまいます。
テレビや動画のCMで、有名で人気のあるスポーツ選手が洋服を宣伝していたり、キレイな女優が化粧品を宣伝していたりします。
ですが、スポーツ選手は洋服の専門家ではありません。キレイな女性も化粧品の専門家ではありません。
これらの広告が何をしてるかというと、人が魅力的な人を見ると、その人が紹介している商品も魅力的に感じるという、自動連想の原理を利用しています。
そして一度根付いた印象はその後によほどのネガティブなことが起こらない限り変わりません。
「よく最初の印象が肝心」や「見た目が9割」といった言葉を聞きますが、これらは脳の自動連想機能によるものが大きく影響しています。
ですが、相手を好きになるためには、自分が相手からどう見られるかという印象を操作することが重要なのではありません。
相手を好きになるために重要なのは、相手の第一印象を自分で操作することです。
相手のことを「なんか苦手だな」「嫌だな」と思った時点で、その印象が記憶されます。
結果として、また会わなければいけなくなったときにその人のことを思い浮かべると「なんか苦手だな」「嫌だな」という感情が沸き起こってきます。
それは相手との会話や何かのきっかけで好転することが無い限り、変わることはありません。
本当は上手に付き合うこともできるし、良い人であるにも関わらず、自分の脳が不快な信号を出し続けるため、結果は悪い方向に向かってしまいます。
逆に、最初の第一印象が「この人好きだな」という印象になれば、今後その人に会わなければいけなくなったときに、その人を思い浮かべると「好きだな」というポジティブな感情が生まれてきます。
好感を持っているので接し方も、打ち解け、相手を信頼した接し方になります。
よほどのきっかけがない限りその印象は持続するので、良好な関係が築けるようになります。
私たちの脳の性質上、相手の第一印象が長期間持続するため、自分で相手の第一印象を操作することは、周りの人々と良好な関係を築いていくためにとても重要です。
そのやり方は決して難しくありません。相手の第一印象を決めるのは「言葉」です。
どういった言葉を喋ればいいかというと「相手を肯定する言葉」です。具体的には相手に会ったときに、相手の良いところを瞬時に見つけられるようにすることです。
残念ながら日本の教育は「申し訳ない」や「~してはいけない」という礼儀や義務を重んじる文化のため、相手のいいところを見つけるよりも、否を見つけてそれを詫びることを得意としています。
それが良い悪いではなく、長年受けてきた学校教育がそういうものなのでしょうがないということです。
だからこそ、私たちが長年 否を見つけて礼儀・礼節を重んじてきたのと同等以上の努力で、相手のいいところを瞬時に見つけられる練習をする必要があります。
私たちが無意識に相手の否を見つけられるように、きちんと練習すれば、無意識のうちに相手のいいところを見つけられるようになります。
幸いなことに、私たちが何か新しい習慣を身に着けるまでにかかる時間は90日程度です。
90日間、出会った人の良いところを見つける練習を続ければ、相手の第一印象をポジティブに操作することができます。
では「相手のいいところ」とは具体的にどういったことを探せばいいのでしょういか?
ここにも注意点とポイントがあります。次の2つが重要です。
持ち物や髪型を褒めれば相手は喜びます。ですが、相手に対する自分の中の第一印象を操作することにはつながりません。
洋服、アクセサリー、ネクタイ、カバン、靴、車、家を褒めたところで、あくまでいい印象になるの人ではなくそのモノです。
そうではなくて、その人自体をポジティブな印象として受け止める必要があります。
褒めるときは相手の「表情」や「雰囲気」を褒めます。
「笑顔が素敵」「気持ちが引き締まる」「癒される」「落ち着く」「やる気が出る」といった言葉と相手を紐づけることで、印象がプラスになります。
相手の性格を見抜くことも重要です。
性格を見抜いて相手の良いところを探し、それを口に出すことです。
そうすれば、あなたの脳はその人をプラスのイメージで記憶するため、次回も会いやすくなります。
営業職のように相手のことを好きになり、相手にも好きになってもらう必要がある場合は、相手のいいところを探して褒める以外にも、相手を感動させることが重要です。
この記事の内容は複数の企業を経営する中村信二さんの「営業の魔法」の一部要約および、自分なりの解釈を加えたものです。
営業の魔法は音声版で楽しく学ぶことができるものです。美しい心理描写のストーリー仕立てで、主人公が学びながら成長していく姿がありありと目に浮かびます。
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