南米ウルグアイで国民からの圧倒的な支持を得て、支持率90%を超えて大統領になったホセ・ムヒカがいます。
それほどまでに圧倒的な支持を得るのにはちゃんとした理由があります。
国民に寄り添うことはもちろんのこと、自分が誰に寄り添っているのかを明確にしています。
ここでは、ホセ・ムヒカがなぜ圧倒的に国民からの支持を得ているのかについてまとめています。
ホセ・ムヒカは徹底的に国民に寄り添います。ホセ・ムヒカ自身次のように語っています。
私は国民から離れることができません。離れようとも思いません。
ただ言葉で寄り添ったり、たまに寄り添うだけではありません。徹底的に寄り添います。
大統領になると大統領官邸に住むことが通例です。
ですが、ホセ・ムヒカはそれを拒みました。住む場所は大統領になる前と変わらず妻が所有する小さな農場です。
家は木に覆われ、部屋が3つしかない小さな小屋です。その姿は「倒れそうな農場」形用されることすらあります。
水道が通っておらず、井戸水を引いて生活しています。
車もずっと使っている旧車に乗り、60年以上前に買った自転車を愛用しています。
この生活についてホセ・ムヒカは次のように語っています。
私は国民の多数派と同じ生活をしているだけです。
ここで生活していることが変わっていると思うのは、他の大統領が悪い。
彼らの生活の方が変わっており、国民の大半はそのような生活を送っていません。
代表民主制は、多数派の人が決定権を持つ世界。
そうであるならば、各国の指導者たちは、少数派ではなく、多数派の暮らしをすべきではないか。
私は政府の仕事をする前からここで同じ生活をしています。私が変わっているのでしょうか?いえ、これは私の哲学です。
ホセ・ムヒカは大衆が食事をする場所に現れ、みんなと同じように食事をすることでも知られています。
乱れた白髪で、革のサンダルを履き、質素な昼食を食べる姿が目撃されています。
街の食堂でたまたま相席になり、一緒に食べたという人もいます。
ホセ・ムヒカは次のように語っています。
いつもレストランなど自由なところに行き、国民と同じ食事をしています。
壁をつくることで国民は政治から離れていきます。もっとも良くないことは、国民から政治が嫌われること。
そうなると、政治は失敗に終わります。
大統領になると住居や移動など多くのボディーガードに守らせることが普通です。
ですが、ホセ・ムヒカは移動や自宅に警備のボディーガードをほとんどつけません。
それはホセ・ムヒカに次のような信条があるからです。
私にはこれで十分です。警備は国民との壁になる。
壁をつくることで、国民は政治から離れていく。
最もよくないことは、国民から政治が嫌われること。そうすると、政治は失敗に終わる。
ホセ・ムヒカは政治を成功させるには壁を作らず、国民に寄り添うことが大切だと知っています。
ホセ・ムヒカは大統領の期間ずっと給料の約90%を寄付し続けています。
ウルグアイの大統領の給与は約130万円。約117万円を寄付しています。
残りの13万円のうちほとんどは、将来、自分の農場に貧しい子供を受け入れる農業学校を立てるために貯金しています。
そして、月々の生活費は1万円程度で暮らしています。
寄付したお金は、自らが計画した貧困層に1万5000世帯分の住宅を提供するプロジェクトに使い、ホセ・ムヒカが寄付した金額は約5000万円といわれています。
ホセ・ムヒカはテレビの生放送中にホームレスがお金を恵んでくださいと言ったとき、ポケットから4ドル札を取りだし手渡しました。
小銭を持っていなかったので、お札を渡したと語っています。
ホセ・ムヒカは寄付をする大切さを説いています。
余裕のある人には弱者を助ける義務があります。
貧しい生活をしている人々の生活が改善されれば、我々の生活も良くなります。
自分が裕福な状態だから人助けや寄付をするわけではありません。
人生はもらうだけでは駄目です。
まずは自分の何かをあげること。どんなにボロクソの状態でも、必ず自分より悲惨な状態の人に何かをあげれます。
ホセ・ムヒカの派手な発言や政策は時に大きな物議をかもします。外交問題に発展したこともあります。
自分の給与の大半を寄付したり、生放送中にホームレスにお札を手渡すなど、こういった行為を「派手なパフォーマンスが好きなだけ」と批判する人もいます。
もちろんホセ・ムヒカの行動は全て自分の信条に沿って行われています。ですが、それだけではありません。
批判の声にあるようにパフォーマンスの重要さも語っています。それはあるテレビのインタビューの記者の質問に対する回答からうかがえます。
みなさんはパワーポイントで色々発表されていましたが、誰も聞いていません。
客席の関心はタダで手に入りません。勝ち取るものです。
そのためには、興味のあることを発表しなければいけません。
パワーポイントは1枚、2枚ならまだいいのですが、50枚もあれば拷問です。
ホセ・ムヒカは「人の興味は自分自身で勝ち取るものだ」と知っています。それをしっかりと行動にしているから、多くの人が関心を寄せています。
人の関心を勝ち取っているわけです。
ホセ・ムヒカは笑顔がかわいくてお金を寄付してくれるお人好しではありません。
ホセ・ムヒカは強烈な信念を持っています。
私の目標は、ウルグアイ国内の不公平をちょっぴり減らすこと。最も弱い人々を助けること。一つの考え方や前進するのに役立つような未来への視線の在り方を残すこと。
それは、青年時代に「格差のない社会と自由を夢見て」政府軍と闘い、銃撃戦の末、撃たれて逮捕され13年間監獄の中で生き続ける間一度も消えることのなかったホセ・ムヒカの信念そのものです。
ホセ・ムヒカは人気者になるためやお金のために政治の世界に入り、大統領になったわけではありません。
お金を持っている人たちと闘い、貧乏な人の生活を少しでも豊かにするために政治の世界に入っています。
私たちが「世界にお金が足りない」と言うのは、お金を持っている人たちに要求ができないからだ。
それは私たちが、その人たちのポケットに手を突っ込むこともできない、そうさせようとすることすらできない政治的な意気地なしだからだ。だから私は政治の世界にいる。政治の世界で闘う。
貧困の撲滅に関して、譲る余地はない。
ホセ・ムヒカは闘うために政治の世界にいます。
その信条のため、ホセ・ムヒカはお金を持っている人たちを徹底的に否定します。
お金があまりに好きな人たちは、政治の世界から出て行ってもらう必要がある。
現在のものを消費することを基本とした資本主義社会を痛烈に批判しています。
私は消費主義を敵視している。
現在の超消費主義のおかげで、私たちはもっとも肝心なことを忘れてしまい、人類の幸福とほとんど関係のないことに人としての能力を無駄遣いしている。
自国の大統領官邸に関しては次のように語っています。
たまにの公式行事でしか使わない大統領官邸で働く42名の給与は無駄。
その予算があれば、ひとつの学校を運営できる。
大統領官邸はホームレスのためのシェルターの一つ。
こうした信念に基づいた政策のため、貧困層からは絶大な支持をえているものの、富裕層からは強く批判されています。
「税金が上がり、自分が払った税金を仕事をしない人に使われるのは納得できない。」
「ホセ・ムヒカは派手なパフォーマンスが好きなだけ。」
「ホセ・ムヒカはスペイン語で“payaso”、つまり、道化師と呼ばれている。それどころか、路上に“ムヒカは人殺し!”という落書きまである。」
また、酷い言葉遣いをすることもあり外交問題に発展したり、他国からバッシングされることもあります。(本当に悪いと思ったときは謝罪しています)
ですが、ホセ・ムヒカはそもそも全ての人たちから好かれようとしていません。
私は自身の信念を持って政治運営する。
たとえ正しいことであろうと、間違いであろうと、批判したければすればいい。それが自由ということだから。
私は常に批判を受け続けてきた。
イスラエル ガザへの軍事侵攻を「集団虐殺行為」と批判したときには、ウルグアイ駐在のいるらえる総領事から批判を受けました。
それに対して、次のように語っています。
この問題では誰からもつべこべ言われる筋合いはない。現に、私の内閣には3人のユダヤ系官僚がいる。
ホセ・ムヒカは自分の口の悪さも自覚しています。大統領選時に選挙本部の前に集まった数千人の支持者に対して次のように語っています。
私はかつて戦士だったため、激しい言葉も使うことがあるが許して欲しい。さあ、みんな、明日からともに行進しよう。
そして、何らかの意見を主張し行動をすれば必ず批判がでることを知っています。
政治というのは、ある人には有利でも別の人には不利になるという選択を選ばなければいけない。
マジョリティにいるのか、マイノリティにいるのか、中立ではなくどちらを助けるかを決断しなければいけないのが政治。
ホセ・ムヒカが高い支持率を得るにはちゃんとした理由があります。
これを人生を通して貫き通していることがホセ・ムヒカの人気につながっています。
ホセ・ムヒカにとって政治の世界は入りたい場所ややりたいことではありません。自分の目的を達成するための手段です。
だから、ホセ・ムヒカは政治の世界に入り闘い続けています。
信念があれば、人間は強い動物だ。
この記事の内容は「世界でもっとも貧しい大統領ホセ・ムヒカの言葉」の一部抜粋と要約です。
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