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信頼関係の築き方|自然に考え方を聞く技術

職場の同僚や家族など、長い時間一緒にいる人と「信頼関係を構築すること」はパフォーマンスを上げたり、幸福度の高い人生を送るためにな必須要件となっています。

ですが、いざパートナーと強い信頼関係があるか?同僚や部下、上司と強い信頼関係があるか?と聞かれると即答できない人が少なくありません。

これは無理もないことです。私たちは家や学校で「信頼関係」とは何か?どうやって構築されるのか?について具体的に教えてもらっていないからです。(因数分解や古典などは強制されていますが)

人生の幸福度に直結する「信頼関係」を構築することは実はそこまで難しいことではありません

ここでは、そもそも「信頼関係」とは何か?どうやって構築するのかについて解説しています。


信頼関係とは何か?

信頼関係とは「相互に相手のことを信頼し合っている関係」という意味です。

一方が信頼しているだけではなく、双方が信頼していることがポイントです。

信頼とは相手のことを「信じて頼れる」という意味です。

「信じて頼る」ためには2つのことが必要です。

信頼関係の2つの条件
  1. 自分が相手の考え方を理解している。
  2. 相手が自分の考え方を理解していると感じている。

つまり、お互いの考え方を共有しあい受け入れている状態=信頼になります

どちらか一方が情報を引き出したり開示するのではなく、双方が自己開示をし、相手の行動や考えを受け入れている状態=信頼関係です。


信頼関係を築けない人

「信頼関係」とは何か?を理解していない人にありがちなのは、「信頼関係を築きたい」「親友が欲しい」と言いながら、相手には自分のことを理解するように求めるのに、自分からは自己開示しないことです。

相手には色々と質問して良く知ろうとするのに、自分のことになるとお茶を濁したり、表面的なことしか話さない、それでいて「私のことを信頼して」と言います。

「信頼関係」=「双方が自己開示をし、相手の行動や考えを受け入れている状態」なので、いのやり方では信頼関係は生まれません。

逆もまた然りです。自分からどんどん自己開示するのに、相手のことはほとんど聞かない。自分だけが一方的に話すのでは信頼関係は築けません。

信頼関係構築に必要なのは「自己開示(相手が自分の考えを知る)」と「聞く(自分が相手の考えを知る)」の2つです。


自己開示する

特に自分のことを語りたがらない人に関しては、こちらから自己開示することがとても重要になります。

相手が「言いたくない」「言いずらい」と思っていることを言ってもらうには、こちらが「言いたくない」「言いずらい」と思っていることを話す必要があります


返報性の法則

人には、ここだけの秘密の話や、悩みごとや失敗などの自己開示をされると、こちらも話したくなる性質があります

これを返報性の法則と呼びます。

返報性の法則は自己開示以外にも幅広いものに当てはまります。例えば、何かいただいたらお返しをしなきゃと思う心理や、譲歩してもらったらこちらも譲歩した方がいいと思う心理です。


自己開示のカードは1枚づつ

自己開示が大事だからといっていきなりたくさんの自己開示をする必要はありません

「寝坊はよくするし」「時間は守れないし」「人との約束は破るし」「学生時代はこんなヤンチャなことしてたし」というように一度に自己開示しすぎると人間性を疑われます

自己開示の基本ルールは1枚ずつです。こちらが「過去にこんな失敗をした」というカードを出したら、相手からの失敗の話を待ちます。

そして相手が1枚カードを出したら、こちらから「こんな悩みを持っている」という新たな自己開示のカードを切ります。

これの双方の自己開示が信頼関係につながっていきます。


聞く

相手と信頼関係を築きたいと思ったら待ちの姿勢では駄目です。これまで「信頼関係を築きたい」「親友が欲しい」と強く願ってその願いが叶ったことはあるでしょうか?ほとんどないはずです。

なぜなら「信頼関係」や「親友」というのは行動の結果だからです。

まずはこちらから相手のことを知ろうとする必要があります

いきなり踏み込むのは失礼

相手と話したり質問をするときのポイントは徐々に踏み込んでいくことです。

いきなり相手の中に踏み込みすぎるのは失礼です。信頼関係づくりのハードルを上げる原因になります。

例えば、あなたの家に営業マン商談に来る場合、いきなり家のドアをガチャっとあけて土足で上がり込み「これなんですが〇円で買いませんか?」と言ってきたら激怒しますよね。

「ふざけるな、二度と来るな」と言って追い返し、その人の所属する会社にクレームの電話を入れ謝罪を要求し、ネットに「こんなありえないことがあった」という不満を書き、周りの人に言いふらすでしょう。

ですが、事前に「何日の何時にお伺いします」と連絡があり、当日「今すぐ近くまで来ているのでお約束の時間にお伺いします」と電話してくれて、「玄関をノックし」、「靴を脱いで上がる」これをしてくれれば「丁寧な人だな」もしくは「当たり前」だと思います。

相手から話を聞き出すのも同じく手順を踏むことが大切です。


雑談の4つの手順

「聞き出す」とはいわゆる「雑談」のことです。雑談には4つの深さがあります。

  1. 外のことを話題にする
  2. 相手のことを話題にする
  3. 感情を聞く
  4. 価値観を探る


外のことを話題にする

相手のことについて聞き出す前に、まずは相手のこと以外をテーマにして話します

例えば「週末のニュース見た?」「今日天気持つと思う?」など相手のことではなく、相手以外のことを話題にします。

営業で言えば「これからお伺いします」という挨拶にあたります。


相手のことを話題にする

相手のこと以外の話題でジャブ打ちができたら、いよいよ相手の話題に入ります。

まだ相手の「感情」や「価値観」に入り込むのは早すぎます。まずは、「相手の行動」(内面ではなく外側)をテーマにします

「今週末は何してたの?」「仕事終わった後はいつも何してるの?」という質問が相手の外側にあたります。

営業で言えばドアをノックするに当たります。


感情を聞く

相手が「何をしていたか?」という質問の次はいよいよ内面に踏み込みます。

具体的には「何してるのが楽しい?」というように「感情」を聞きます

感情は「楽しいこと」から聞くのが定石です。

営業で言えば、家に上がってアイスブレイクをしている段階です。

テーマと場の雰囲気

相手がどんな感情を話しているかによって場の空気が変わります。「悲しい話」をしている時は悲しい雰囲気になります。「怒っている話」をしている場合にはピリピリした雰囲気になります。

最初は楽しく会話を進めたいので「相手の楽しいことを聞く」というのが、雰囲気をコントロールする上で大切です。


価値観を探る

信頼関係を築くためには「相手の考え方」を知る必要があります。「相手の考え方」=「基準」=「価値観」ともいいます。

「何しているのが楽しいの?」という質問のあとに返ってくるのは、感情に付随する行動や出来事です。それに対して深堀をします。

「どういうところが一番楽しいの?」「〇〇の醍醐味って何?」という質問をすると、相手の基準や考え方を知ることができます。

point

相手の「価値観」や「考え方」とは、感情の深堀り。


自然を装う

相手と雑談をするうえで大切なことは「自然であること」です。

チェックリストを見ながら質問したり、いちいち調べながら質問していたら「この人は私に興味がない」「何か探っている」という不信感につながります

信頼関係を築くためには「自己開示」と「外のことを話題にする」→「相手のことを話題にする」
→「感情を聞く」→「価値観を探る」といった順序が大切です。なので、それは頭にいれつつ、自然を装うことが必要になります。


自然を装う5つのテクニック

自然な会話を装うのは簡単です。一言枕詞をつけるだけでも自然になります。

ここでは自然を装うテクニックを5つ紹介します。

  1. 思い付きを表す枕詞をつける。
  2. 自分から情報を話し、相手の話につなげる。
  3. 第三者が言ったことを話題にする。
  4. 今の変化に注目する。
  5. クッション言葉を使う。


思い付きを表す枕詞をつける

自然な会話を装うテクニックで最も簡単なのは、質問の前に「思い付きを表す枕詞をつける」ことです。

思い付きを表す枕詞
  • そういえば
  • ちなみに
  • ところで
  • 今思いついたんだけど
  • 全然関係ないけど

どれか一つを質問の前につけるだけで、質問が一気に自然になります。


自分から情報を話し、相手の話につなげる

自然な会話を装う2つ目のテクニックは「自分から情報を話し、相手の話につなげる」ことです。

「このまえ〇〇があったんだけど、△△さんはそんな経験ない?」

「昨日は暑かったね。暑すぎて氷で頭を冷やしてたよ。〇〇さんは昨日は何してたの?」

人の自然な性質である返報性の法則を利用したもので、自分の体験を話せば、相手も同様のことを話したくなる心理を利用したものです。


第三者が言ったことを話題にする

自然な会話を装う3つ目のテクニックは「第三者が言ったことを話題にする」ことです。

自分から質問を生み出すのではなく、他の人から聞いた情報や、その人が公共向けに発信している内容をベースに質問をすることです。

「この前〇〇さんから聞いたんだけど、△△のイベントに行ったんだって?」

「Facebookのフィードで見たけど、家族で山登ったんだね。登山好きなの?」

注意点としては、相手が好きそうで公開してもいいと思っている情報を選択することです。あまりにプライベートな話題だと「あいる余計なこと言いやがって」「なんでそんなことまで知ってるの!?ストーカー?」という不信感につながる危険性があります。


今の変化に注目する

自然な会話を装う4つ目のテクニックは「今の変化に注目する」ことです。

「最近髪切った?なんか明るくなったね」

「おしゃれな洋服着てるね」

という相手の表面上で見て取れる変化をテーマにすることです。

そこから服のブランドなど「〇〇が好きなんです」という感情の話になり、「なんでそんなに好きなの?」という深堀りで価値観を探ることができます。


クッション言葉を使う

自然な会話を装う5つ目のテクニックは「クッション言葉を使う」ことです。

自然な会話というところとは少しづれて、踏み込んだことを聞くときにマストで使うべき言葉です。

クッション言葉
  • 差し支えなければ
  • 大丈夫だったらでいいけど
  • 心配だから言うけど

この枕詞があるだけで、相手は「私のことを配慮してくれてる」と感じてくれるので、心理的ハードルを一気に下げることができます。


100%受け入れられている雰囲気を作る

安全安心な環境づくり

信頼関係を作るときに一番重要なのが雰囲気づくりです。相手が安心して話せる環境を作る必要があります。

相手が安心して話せる環境とは「話を聞いてもらえる」「自分の意見を言っても否定されない」「意見を押し付けられない」という環境です。


共感のみ。納得させるのはNG

自分の意見を相手に納得させようと説き伏せるのはやってはいけない禁止行為です。

相手との信頼関係を作るうえで重要なのは、あなたが納得することではなく、相手があなたに安心して打ち明けられる状態をつくることだからです。

あなたのやるべきことは共感一択です。

「そうかなぁ」「それはおかしいだろ」と思っても自分の意見はぐっと飲みこみます。やることは相手の感情や考え方を聞くことです。

自分の主張をしたいけど信頼関係を築きたいというのは無理な話です。たまたま自分と同じ主張の人としか信頼関係を築くこことはできません。

point

相手を100%受け入れる共感の姿勢が信頼関係になる。


参考

この記事の内容は「シリコンバレー式最強の育て方 人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング」の内容の一部抜粋と要約です。

この本には世界の先端を走るアメリカ シリコンバレーの企業で行われている人事のあり方について実例を交え具体的な方法が多数紹介されています。

興味を持たれた方は手に取ってみることをお勧めします。



yuta