世の中の誰もがコミュニケーション力をつけて、学校の友達や会社の同僚、上司、お客さん、好きな人との会話を盛り上げて、好感を持ってもらいたいと思っています。
しかしコミュニケーション力という漠然とした言葉のみが独り歩きして、具体的に何をやればいいかということを学校や会社では教えてくれません。
コミュニケーション力や話の上手さは才能だと思い私には無理、、と思い込んでいる人もいるぐらいです。
ですが、コミュニケーション力は具体的に何をすればいいかが決まっています。
会話を「始める」→「話す」→「聞く」→「盛り上げる」→「好印象の残して終わる」という5つのステップに分け、やるべきことを把握すれば誰もが一流のコミュニケーション力を身に付けることができます。
「始める」→「話す」 の2つのステップについては下記で紹介済みです。
ここでは、残りの3つのステップ 「聞く」→「盛り上げる」→「好印象の残して終わる」方法と、自信をつける具体的な方法、褒められた時の対処法について解説しています。
話を聞くときに、明るい話題や、自分の得意な話題であれば理解や共感しやすく誰でも興味をもって聞くことができます。
ですが、ネガティブや話題や自分とは完全に異なる意見だった場合に、話をさらに広げ相手との関係性を良好にする方法を知っている人は多くありません。
ここでは次の3つの状況に対する聞き方を解説しています。
相手と雑談を開始した後に、いつもポジティブで明るくて楽しい話題になるとは限りません。
むしろそれよりも相手から愚痴や不満などネガティブな話題が出てくることも少なくありません。
「最近やる気が起きないんだよね」「体調悪いんだ」「体中が痛いんだ」「成績がよくなくて」「上司と上手くいかなくて」などです。
そんな時に3流はネガティブな話に乗りたくない・愚痴なんか聞きたくないと考え結果スルーします。スルーや無視は相手への暴力です。決してやってはいけません。
2流は同調します。「そうなんだやる気がおきないんだ、、」「そうなんだ体調悪いんだ、、」のように相手の気持ちを繰り返します。
1流は共感した上で全力で励まします。「そうなんだやる気がおきないんだ、、そういう時もあるよね」「でも、私はあなたなら絶対に乗り越えられると信じてるよ」と伝えます。
人はみんな勇気づけて欲しい、励まして欲しいと思っています。それを裏付けるのが本屋です。置いてあるのは悲しみや愚痴に共感する本ではなく、どうしたらそこを脱出できるかや、励ましの言葉が書かれた本です。
励ますときも「まあ、なんとかなるよ」といういい加減な態度ではダメです。その人の傍に立って全力で励まします。
ただし、いけないのはただ励ますだけです。相手が愚痴を言うのは「私のツラくてしんどい思いをあなたに聞いて欲しい」という気持ちがあるからです。
「大丈夫!あなたなら乗り越えられるよ!」だけを連発しては、「私の気持ちに寄り添ってくれない」「私の気持ちを無視してる」「話を聞く気が無い人」というように見られてしまいます。
このため、まずは共感して「あなたの状況や心境はよくわかります」と示した上で、本気で励ますことが大切です。
相手「今の職場あわなくて辞めたいんだ」
あなた「そうか、確かに話聞いててすごくツラそうだなって感じたよ、、」(共感)
「でも、〇〇は今までだってそんな状況の中でもあきらめずに頑張ってきたじゃん!」
「こんなところで負けたくないんだ!って一生懸命だったじゃん」
「大丈夫!〇〇なら絶対乗り切れるよ。私は信じてる。」
「困ったときは力になるから、いつでも呼んで!」
これが共感して全力で励ますということです。声もボソボソ言うのではなく、大きな声で励ましましょう。
項目 | 1流 | 2流 | 3流 |
---|---|---|---|
ネガティブな話題 | 共感して全力で励ます | 同調する | スルーする |
談がきちんとできる=人間関係がいい=ほとんど悩みがない、つまり雑談とは生きる上でとても大切な要素です。
そして、最近ではFacebookやTwitterなどSNSも日常の雑談の場です。このため、SNSで誰かのコメントに対して言い聞き手になることは相手との関係性を深める上でとても重要になります。
では人がなぜSNSに投稿するかと言うと、自分の境遇や心境を公開して承認や賛同して欲しいからです。すごいと認めて欲しい。私もそう思うと言って欲しいのです。
「ハワイのワイキキに来ましたー!」
「タピオカやに来ましたー!」
「これから面接に行ってきます!」
「〇〇の本読了」
「ナイトプール行きました」
内容はなんでもいいです。人が公の場に投稿するということは承認の反応が欲しいからです。
ここで、3流は相手のSNSの投稿をスルーします。当然ですが、批判や否定をしたり間違いを指摘するのは論外です。
2流は「いいですね!私もそれやりました!」と被せます。これは相手の行動に共感しているようですがそうではありません。
相手の承認欲求に対して、私も同じことやったよ承認してという、自分の承認欲求をかぶせる行為です。相手に対するマウントや自慢でしかありません。被せるというのはやってはいけない行為です。
1流は全力で承認します。相手の承認欲求を全力で満たしにかかります。
全力で承認することに特別な工夫は要りません。
あなたがやったことあるかやあなたの好みは一切関係ありません。相手のコメントをシンプルに承認するだけです。
「コスプレしました!」に対して、私コスプレ興味ないし、、じゃありません。「似合ってる!」の一言だけでいいのです。
「競馬で大当たり!」に対して、ギャンブルやるなんて品位を疑う、、じゃありません。「おめでとう!」の一言だけでいいのです。
「タピオカ飲みました!」に対して、今頃、、じゃありません。「おいしそう!」の一言だけでいいのです。
項目 | 1流 | 2流 | 3流 |
---|---|---|---|
SNSのコメント | 全力で承認する | かぶせる | スルーする |
相手の意見が自分の意見と完全に異なっている場合の対処法もあります。
3流はスルーします。
2流は「そうなんですね。私は〇〇だと思っています」というように自分の意見を言います。
1流はズラして質問します。決して自分の意見を言ったり、相手に合わせて自分の意見を変えたりウソをつく必要はありません。
相手「私は〇〇が一番好きで応援してるんですよ!どう思いますか?」
あなた「へー〇〇がお好きなんですね!?特別好きな選手とかいるんですか?」
仮に相手から意見を求められたとしても言う必要はありません。サラっとズラして質問を返します。これで違和感はありません。
相手「私はオムライスにしょうゆをかけて食べるのが一番好きなんですよ!」
あなた「へー、オムライスにしょうゆをかけるんですね!?それってご家族もですか?」
「どんな醤油を使ってるんですか?」「他にも合う付け合せはありますか?」
「それはありえない!」と思っても決して口に出しません。「私ならこうします」も言う必要がありません。
相違点に興味を持って質問していけば、言い聞き手になることができます。
盛り上げるとは、話をなるべく楽しく・面白くすることです。
面白い話なんて芸人さんじゃないからできない、私には無理、、と言う人がいますが、そんなことはありません。
そもそも話を盛り上げるために面白い話は必要ありません。そんなものがなくても、誰もができる簡単なことで話を盛り上げることができます。
たとえ話は相手の心を引き付けるとても大切な手段の1つです。雑談の中には1つ以上たとえ話をいれるべきです。
上手いたとえを出さなければと気負う必要はありません。たとえ話は失敗しても問題ありません。
最初に「たとえば~」と言って切り出してしまえばいいのです。
もし、その後言葉に詰まったら「うーん、いいたとえ話が出てこないな~」といって笑ってしまえばいいだけの話です。
「その例えわかりにくいよ」と言われたら「確かに!じゃあ、これはどうでしょう?」と言って新しいたとえ話をしてみればいいのです。
目的は上手いたとえ話をすることではありません。相手との心の距離を近くすることです。
「あれ、トライしようとしてみたものの上手い言葉がでてこないな~」と言うぐらいの方が人間味があって心の距離が近くなります。
擬音・感嘆はとにかく盛り上がる要素の1つです。特別なスキルも何も必要ありません。
言う言葉はなんでもいいです。ただ大きな声で堂々とゆっくり言うだけで相手の気持ちが盛り上がります。
「ドキー!」
「うわー!」
「スッキリー!」
「ギャー!」
「ぐっすり!」
「ズギャーン!」
「ドッカーン!」
「えー!」
動きもつけて大げさにするとなお盛り上がります。
擬音・感嘆を使うことに恥ずかしさや抵抗を感じる人もいます。そういう人は相手よりも自分を優先している人です。
「恥ずかしい」「カッコ悪く見られたらどうしよう」「カッコよく見られたい」「クールに見られたい」という私のことばかり考えている人です。すなわち自分にフォーカスしている人です。
ですが、人は自分のことばかり優先している人には好感を持ちません。その人を好きになることはありません。
それはあなたも同じです。相手と話しているときにこちらのことよりも相手自身のことを優先している人には好感を抱かないはずです。
相手といい人間関係を築き、自分の悩みを減らすことが目的であれば、自分よりも相手の気持ちを優先し、恥を捨て、擬音・感嘆を使うことが大切です。
堂々と擬音・感嘆を言うのは相手を楽しませたいという気持ちの表れでもあります。
擬音・感嘆を言うとダサい恥ずかしい思っている人がいますが、それは勘違いです。
あなたの周りやコメディーなどのメディアで大げさな擬音や感嘆を使ったり、笑っている人を思い出してみてください。
その人に対して不快感やダサいカッコ悪いという印象を抱いていないはずです。むしろ好感を抱いて、面白い人だと思っていることの方が多いはずです。
逆にいつも真顔・無表情で擬音や感嘆などほとんど使わない人を思い浮かべてみてください。不愛想で嫌悪感を抱いているはずです。
あなただけがそう思っているわけではありません。周りもみんなそう思っています。
つまり、擬音・感嘆を大きな声で、大げさな身振りをつけて堂々と言う人は好感のもてる面白い人です。
たとえ話をするときに、主語を自分にして「こんなことがあった」「あんなことがあった」「こんな話を聞いた」と淡々と話をする人がいますが、これでは話は盛り上がりません。
「スーパーで〇〇さんと会った」という情報だけだと「へーそうなんだ」で終わってしまいます。
ですがこれを一人二役を演じるストーリーにすると相手の心を惹きつけることができます。
例えば、 「スーパーで〇〇さんと会った」 という情報を一人二役で演じると次のようになります。
「この前スーパーに行って買い物にいってお総菜コーナーを曲がったら〇〇さんっぽい後ろ姿をみかけたんだよ」
「そこで「よっ」って話しかけたら〇〇さんは「うわー!久しぶり!」って言ってくれたんだよ」(一人二役)
このようにすると、ただの「スーパーで〇〇さんと会った」という情報が聞きやすいストーリーになります。
擬音や感嘆、大げさな動きを入れることも重要です。
相手をマネしてもいいですが、絶対にやってはいけないことはバカにしたり見下すことです。そうやって笑いをとろうとすることもいけません。
人は誰かを見下したりバカにしたりする人に好感を覚えることはありません。むしろ距離を離そうと思います。
質問というと相手からなんらかの情報を引き出すものと考えている人がいますが、それだけではありません。
自分で質問して回答を求めないという手法もあります。特に相手が2人以上いる場合にとても有効です。
これを使うと、相手は話を聞いているだけの状態から、相手も話に巻き込んだ状態になります。
×「私は~だと思いました」
〇「私は~だと思ったんですよ。そう思いませんか?でね、」
「そう思いませんか?」は特定の誰かになげかけたわけではありません。答えもかえってきません。ですが、その言葉を聞いたすべての人が頭の中で「私はどうだろう」ということを考えます。
一人質問のすごいところは相手が3人でも1000人でも使えるということです。聴衆が1000人いた場合に一人一人に質問することは不可能です。何人かを指名して他の人は関与してない状態になります。
ところが一人質問を一度しただけで1000人全員を話に巻き込むことができます。
答えが返ってこないなんて不自然じゃないか?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
だいたい講演会や授業などを思い浮かべてみればわかりますが、そこまで興味がない話やよくわからない話で質問されたいと思っている人はいません。むしろ当てないで欲しいと思っている人がほとんどです。
一人質問なら、こういった人たちの感情も満たしつつ相手を巻き込むことができます。
「私は~だと思ったんですよ。そう思いませんか?でね、」と言っている人を想像してみてください。とても自然じゃありませんか?
雑談も含め2人以上の会話には3つの役割があります。
話をまわす(振る)人がいて、話す人がいる、その話を聞いている人がいます。それぞれに技術が必要なことです。
全員がまわす人だと話が広がりません。みんな遠慮した場になってしまいます。
全員が「私が」「私が」といったように話す人だと、話が進みません。みんな自己満して終わります。
全員が「聞く人」だと誰も話さずに終わってしまいます。
つまり、まわす人、話す人、聞く人が会話の中にバランスよく存在することで話が進んでいきます。
みんなから愛され長く続く一流のコメディ番組は、まわすプロ、話すプロ、聞くプロで構成されています。
まわす人、話す人、聞く人の3つの役割がわかったところで、ではどれを担当するのが正解でしょうか?
3流はどれも苦手だと思い、役割を担当しようとしません。ただいるだけの傍観者になります。
2流は自分の得意なパートを担当します。「私はずっとまわす」「私はずっと話す」「私はずっと聞いてる」というように一つの役割に徹します。
1流は空きを担当します。
空きを担当するにはまず周りの人をしっかりと見る必要があります。
「この人はまわすのが得意な人なんだな。じゃあ、まわすのはこの人に任せておこう」
「 この人は聞くのが得意な人なんだな。じゃあ、聞くのはこの人に任せておこう」
そして、誰も担当していない「話す」を担当するようにします。
「あれ、今日はまわし役いないんだ。じゃあ、私がまわし役をやろう」というように全体を見て、誰もやろうとしないところを担うのが空きを担当するということです。
項目 | 1流 | 2流 | 3流 |
---|---|---|---|
役割 | 空きを担当する | 得意なところを担当する | どれも苦手 |
ここまでで、話の「始め方」「広げ方」「聞き方」「盛り上げ方」を見てきました。
ここまでの方法をやれば、話が盛り上がってみんな楽しいという状況になります。ですがこのままだと話が終わった時に「今日は楽しかったねー」で終わってしまいます。
あなたに対する印象は特に残っていないかもしれません。これではコミュニケーション力・雑談力が高いとは言えません。
好印象を残すために、話が終わるときにやるべき2つの行動があります。
楽しく会話が終わった後に、
3流は「今日は楽しかったです!ありがとうございました!」とその場でだけお礼を言います。その後は何もしません。
2流はその場でお礼を言い、後からメールでも「今日はありがとうございました」とお礼の言葉を送ります。
これは決して悪いことではなく、とても丁寧なことです。ですが好印象を残すにはあまりにも弱いです。
1流は相手の具体的なエピソードを褒めてお礼を言います。
項目 | 1流 | 2流 | 3流 |
---|---|---|---|
終わり方 | 具体的なエピソードを褒めてお礼を言う | その場と後からもお礼を言う | その場でお礼を言う |
具体的なエピソードを褒めるとは、話の中で相手が言って印象に残った話を一つピックアップすることです。
「〇〇さんの骨折から立ち直った話とても心に刺さりました!本当に勇気をもらえましたありがとうございます」
これだけで相手は、「おーあの話をちゃんと覚えていてくれてそこまで言ってくれるのか」と感じます。
「今日は楽しかったです。ありがとうございます!」はみんなが言う言葉なので印象は普通・当たり前ですが、具体的なエピソードを挙げたことで他の人と差別化ができます。
テンプレートを送っても相手の心には刺さりません。
メールやLINEでも同じです。「今日は楽しかったです!とくに~の話がすごく心に刺さりました。」と一言入れるだけで、相手があなたに持つ印象がグッと深まります。
周りよりも一歩相手の心に踏み込むことができます。
相手の具体的なエピソードを褒めてお礼を言うことは、話の終わりのタイミングになって急にできることではありません。
話している時から「あっ、この話最後に使える」というアンテナを張っておく必要があります。
ボーっと話を聞いているだけではエピソードは何も出てきません。
雑談をし、相手に楽しんでもらい好印象を残すことができました。更に、また声をかけてもらう可能性を上げるには、次回予告をする必要があります。
次回予告とは具体的に〇〇をしますと言ってはいけません。「〇〇って知ってます?すっごく面白いんですよ!それはまたの機会にでも。それでは!」と言って相手の頭の中に空白を残します。
あえて「実はね、、、」で終わらせて相手の心の中に「えー気になるー!」を残しておきます。
話を切り上げる直前に政治の話になったとき、次のように空白を残して終わります。
「へー政治がお好きなんですね!」
「私の友達に政治マニアがいて、なんでそんなこと知ってるの!?っていうぐらい詳しい人がいるんですよ」
「いやー今日は骨折の話ほんとささりました!ありがとうございました」
「ではまた!」
すると、相手は「えーそんな人がいるんだ。会ってみたいなー」という状態で終わります。この相手の心に気になるを残すのがポイントです。
イメージするのはコマーシャルに移る前や、ある番組の終わりに他の番組の紹介をするコマーシャルです。
「このあと驚きの展開が!」「この後一体何が!?」「まさかのこんな出来事が!」続きはCMのあとというように、聞き手の頭の中に空白を残します。
すると、人はその内容が気になってついつい見てしまいます。
人の脳は空白を嫌うという性質があります。その性質は、もっと知りたいという好奇心として現れます。
穴埋めで抜けているところがあると埋めたくなったり、空白があったときに「えっ気になる!」となるのは人の性質なのです。
この性質をうまく利用したのが次回予告です。
項目 | 1流 | 2流 | 3流 |
---|---|---|---|
空白 | 相手が気になることを言って、空白のまま終わらせる | 相手が気になったことを親切に全部話す | 何もしない |
ここまでで一流の雑談力を身に付けるために何をすればいいかという具体的な内容はわかりました。
この他にも、話の中で心の距離を近くするために意識すべき心構えがあります。
ここで言う腹を見せるとは心理的に自分の心の内を見せるだけではありません。物理的に腹を見せることが重要です。
物理的に腹を見せるといっても、洋服をめくってお腹を見せるわけではありません。それは変態で犯罪です。
お腹を相手の方に向けるということです。相手の目線にあなたのお腹が入っていることが重要です。
3流は相手の方を向きません。
2流は目線だけ相手に合わせます。
1流はお腹を相手の方に向けます。
難しいことではありません。とても簡単なことです。スッと腰を動かすだけです。
これは複数人で話している時も同じです。斜めにいる人と話すときに、顔を回して目線を向けるだけでなく、体ごとその人の方向に向きます。
項目 | 1流 | 2流 | 3流 |
---|---|---|---|
身体の向き | 腹を向ける | 目線だけ向ける | 相手を見ない |
物理的に相手の方に腹を見せたら、次は心理的に腹を見せます。
心理的に腹を見せるとは自分の考えや相手が嫌だと思うようなことまですべてオープンにすることではありません。
自分の失敗談や弱点を見せるということです。
3流は自分のいいところだけを見せようとします。「私は1流高校を卒業し、1流大学を卒業後、1流企業で働き、1流の実績を収めています」と言う人です。これは3流です。人から嫌われる典型例です。
2流は腹の内をオープンにするのですが、分け隔てなくなんでもかんでもオープンにしてしまう人です。相手との関係性を崩してしまうようなこともオープンにしてしまいます。
また、「私なんてあれもこれもできないです」「この前なんか他のお客さんにめちゃめちゃ怒られちゃったんですよ」という弱点を全開にすると、相手はあなたに愛着を持つどころか不信感を抱きます。
1流は自分の失敗談や弱点を少しづつ見せる人です。
「いやいやそんなに褒めないでください、私なんて~ですよ」「過去にはこんな失敗もしてるんです、、」といったように、強いところだけじゃない、弱みもあるんですと表明します。
ヒーローも同じです。ずっと無敵で勝ち続けていると親近感も愛着もわきません。苦戦したり悩んだりする姿を見せるから親近感や愛着がわくのです。
強みと弱みをセットで見せるから効果的になります。
項目 | 1流 | 2流 | 3流 |
---|---|---|---|
自己開示 | 失敗談や弱点を少しづつ見せる | すべてオープンにする | 自分を良く見せる |
特に自己開示は少しずつするというのがポイントです。自己開示はカードゲームのように行います。
まずは自分から自己開示を行います。そして、相手も自己開示をしてくれたのであれば、時間を見てもう1枚自己開示を行います。
逆に相手が1枚自己開示をしたら、こちらも1枚自己開示をする。
そのように、お互い1枚ずつ自己開示をしていくと自然に打ち解けていくことができます。
仕上げに自分にポジティブなオーラをまといます。オーラを出すというとスピリチュアルで生まれ持った才能で難しそうに聞こえますが、実はとても簡単なことでポジティブなオーラをまとうことができます。
そもそもポジティブなオーラとは何かというと「自信」のことです。
自信というと、過去に実績がない、私は何も誇れるものがないという人がいますが、自信と実績や経験は関係ありません。
あなたの周りを思い返してみてください、何も経験してなくて何も実績がなくてもやたらと自信満々の人がいないでしょうか?
自信をつけるために必要なことは他のところにあります。そしてそれは誰もが手にすることができます。
自信を生み出すためにまず必要になるのがいい姿勢です。猫背で目線が下を向いていて「自信満々です!」と言う人はいません。
自信がある人は、背筋がまっすぐ伸び、胸を張り、前を向いています。
「話をして」と言われると「そんな、私話すのは苦手だし、、」と言う人がいます。ですが、そんな人でも、自分の大好きなことや得意なことはスラスラと語ることができます。
得意な話もあるわけです。だから、話しが苦手というのは勘違いで、今の話題に関する話が苦手というのが正しい見方です。
では、話しやすい話題と話しにくい話題の違いは何かというと、見通しがついているかどうかです。
「ああ、この話ね、この後はこうなって、その次はこうなって、最後はこうなる」とわかっていれば苦手だなと感じることはありません。
あなたが話が得意だなと思っている人も、急に生物学の学術学会で「生態系理論」について話してくださいと言われたらタジタジになります。
では話の見通しをつけるにはどうすればいいかというと、それは事前に全体像をつかんでおくことです。
全体の流れがわかっているから苦手意識を持たずに話すことができるのです。
では、コミュニケーションや雑談における全体像とは何かというと、次の5つです。
最初はあいさつプラス2語で始めて、相違点に興味を持って、ビフォーアフターを褒め、相手に共感して全力で励まし、たとえ話や擬音で盛り上げて、脳に空白をつくり、具体的なエピソードを褒めて終わる。
この流れを理解していれば、それがコミュニケーションや雑談における自信になります。
自信がある人とない人の差は、見通しがあるかないかの差でしかありません。
「すごいですね!どうしてできたんですか?」と褒められた時に、
3流はおだてられて調子に乗ります。
2流は「努力した」「才能があった」というように成功した理由を説明します。
1流は「運がよかった」と答え、私ではなくみんなのおかげだと感謝を表明します。
実際に、成功者に「あなたはなぜ成功したのですか?」と言う質問をすると、大成功者であればあるほど「私はラッキーだった」と答えたという調査結果があります。
つまり、答えは「運がよかった」の1択です。
項目 | 1流 | 2流 | 3流 |
---|---|---|---|
成功の理由を聞かれた時 | 運がよかったという | 具体的な理由を説明する | おだてられて調子に乗る |
「あなたが成功した理由はなんですか?」と聞かれたときに次のように答えがちですが、これはコミュニケーション力や雑談力が低い人がすることです。
「強い意志を持っていたからです」「一生懸命努力したからです」「才能があったからです」というどの返しをしても、「私のおかげ」という意味になってしまいます。
「私だからできた」というのは「あなたには無理」というメッセージにもなってしまいます。
ところが「いやー運がよかっただけです」というと、「私の力じゃない」「みんなのおかげ」というニュアンスになり、相手の上に立ったり、相手を差別するメッセージを伝えずにすみます。
相手と同じステージに立った状態を保てるので好感や親近感を保つことができます。
このため、「成功した理由はなんですか?」と聞かれたときの理由は一択になるわけです。
「なぜ成功したのですか?」以外にも「すごいですね!」「素晴らしいですね!」と褒められることがあります。
特に、コミュニケーション力が高い人ほど確実に褒めてきます。その時の返し言葉は「運がよかっただけです」の一択です。
「いやーそれほどでも」や「努力したんです」というのは3流です。
「幸運だった」と言える人のメンタルは「感謝」です。
感謝の気持ちを持っていて言葉に出すことを忘れない。だからこそみんなが心を開いて好いてくれるのです。
5つのステップおよび心構えのポイントをまとめると次のようになります。
ステップ | 1流 | 2流 | 3流 |
---|---|---|---|
準備 | 表情を準備する | 話すネタを準備する | 準備しない |
相手が他のことをしている場合 | 相手から見えるところに立つ。 目が合ったら微笑んで会釈する。 | じっと待つ | 話しかけない |
始める | 相手に焦点を当てる | 自分のことを話す | 話しかけられるのを待つ |
あいさつ | あいさつに2プラスする | 大きい声であいさつする | あいさつしない |
相手の名前 | 会話の中で繰り返し言うことで覚える | 覚えようとする | 忘れる |
項目 | 1流 | 2流 | 3流 |
---|---|---|---|
広げ方 | 共通点より相違点を探す | 共通点を探す | 壁をつくって立ち去る |
褒め方 | ビフォーアフターを褒める | 無理やり褒める | 褒めない |
項目 | 1流 | 2流 | 3流 |
---|---|---|---|
ネガティブな話題 | 共感して全力で励ます | 同調する | スルーする |
SNSのコメント | 全力で承認する | かぶせる | スルーする |
自分の意見と違う | ズラして質問する | 自分の意見を言う | スルーする |
項目 | 1流 | 2流 | 3流 |
---|---|---|---|
たとえ話 | たとえ話で一人二役を演じる | たとえ話をする | しない |
擬音・感嘆 | 大きな声で堂々と身振り手振りを交える | 擬音・感嘆を言う | 使わない |
質問 | 一人質問を使う | 相手に質問する | しない |
役割 | 空きを担当する | 自分の得意な役割を担当する | どれも苦手 |
項目 | 1流 | 2流 | 3流 |
---|---|---|---|
終わり方 | 具体的なエピソードを褒めてお礼を言う | その場と後からもお礼を言う | その場でお礼を言う |
次回予告 | 相手の脳に空白(気になる)を残す | すべて言ってしまう | しない |
項目 | 1流 | 2流 | 3流 |
---|---|---|---|
身体の向き | 話している人に腹を向ける | 顔だけ動かして目線を合わせる | 話している人をみない |
自己開示 | 失敗談や弱点を1つづつ見せる | すべて言ってしまう | 自分を良く見せようとする |
話の全体像 | 全体を俯瞰している(5つのステップで何をするべきかをわかっている) | 具体的な話を練習する | 理解していない |
褒められた時 | 「幸運だった」と言う | 自分のおかげと言う(努力、才能、意志、習慣など) | おだてられて調子に乗る |