ビジネスやスポーツなど一言に「勝つ」「成果を出す」と言っても、そこには様々な方法があります。
チームが長期間に渡って存続するために重要なのは「何が何でもいいから勝つ」「何しても勝てばいい」といった姿勢ではありません。
「正しく勝つ」ことが非常に重要です。
ここでは正しく勝つとは何か、そして、正しく勝つためにコーチはどうあるべきかについてまとめています。
正しく勝つとは、チームメンバー全員がそのチームの勝利に貢献して勝ちを収めることです。
世の中にズバ抜けて優秀な人がいます。そうした人はチームに献身的な人よりもわがままで自分勝手な人が少なくありません。
「チームのことなんてどうでもいい」「勝っても負けてもどうでもいい」と言っている人が活躍するチームは、たとえ勝ったとしても、中身はボロボロです。メンバーはチームへの忠誠心や愛着心をもっておらず、ただ試合だから戦っているというだけです。
こうしたチームは遅かれ早かれ崩壊します。
そうではなく、チームの目標に向かってメンバー全員が協力し合い奮闘することが重要です。
Appleのスティーブ・ジョブズやGoogleやTwitterの経営幹部のコーチングを務めたビル・キャンベルはフットボールのコーチでもありました。
そして、その姿勢はビジネスだけでなくフットボールコート上でも貫かれていました。それは年齢にも関係ありませんでした。
指導していた中学生のチームで、生徒の親から「子供が他の習い事で練習に遅れます」という連絡が入ると、次のように告げました。
「構わない。お子さんは活躍するだろう。Bチームで」
つまり、練習に遅れてもいいと考えている誠意がない優秀な人よりも、練習に参加している誠意ある人たちを優先するということです。
そして、チームのことを第一に考える人たちで闘って勝利を収めることが、正しく勝つということです。
チームのメンバーに誠実さを求め不誠実を許さないためには、コーチ自身の覚悟も必要です。
コーチこそが誰よりもそのチームに対して熱意を持ち、誠実である。そしてその気持ちをメンバーにも求めるというのが正しい方向性です。
不誠実な人に対しては徹底的に厳しくあたり、批判や叱責をします。しかし、それは、チームのメンバーが自分たちが信頼され愛されているとわかっているから効果を発揮するものです。
つまり、コーチはあらかじめメンバーと信頼関係を築いておく必要があるということです。
大きな問題が発生したときでも、コーチが肩を叩いて自信を持たせ、安心させる。そして、チームのメンバーが必ず解決できると本気で信じ、メンバーの成長と成功を願う。
メンバー自身も、コーチが自分たちの成長と成功を願ってくれているから厳しく叱咤するのだと理解している。
そういった関係性ができているからこそ、厳しくしてもメンバーは投げ出さず、全力でその期待に応えようと努力します。
正しく勝利するとは、次のように言いかえることができます。
勝利を目指す。ただし、チームへの献身、チームワーク、誠実さを持って、常に正しく勝利する。
それはチームの結束を高め、試合をするたびに勝っても負けても成長を生みます。
そういったチームのためには、誰よりも熱意と誠実さを持ち、チームメンバーの才能を信じ、成長と成功を願い、励まし叱咤するコーチの存在が重要です。
この記事の内容はGoogleのCEOと会長を務めたエリック・シュミットやプロダクト責任者を務めたジョナサン・ローゼンバーグらが書いた「1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え」の内容の一部要約と自分なりの解釈を加えたものです。
ビル・キャンベルはAppleのスティーブ・ジョブズやGoogleやTwitterの経営幹部のコーチングを務め、世の中に偉大なリーダーを何人も送り出してきた人物です。
ビル・キャンベルが貫いてきた生き方やそこにまつわるストーリーには、最高のチームを作るためにリーダーやコーチが知っておくべき考え方や行動が宝の山のように詰まっています。
その考え方はビジネスやチームを成功に導くだけでなく、人として幸せに生きるためのより本質的な知恵でもあります。
この記事に興味を持たれた方は、本書を実際に手に取ってみることをお勧めします。あなたの人生をより幸せにし、成功へと導いてくれることは間違いありません。