【一流のコーチは俯瞰する】緊張や感情の高ぶりを感じ取る直感|人を理解し、声をかける

優秀なコーチは優秀な人材を作り出し、優秀な人を更に成長させます。そして、優秀な個人の集まりではなく、チームを作ることができます。

そうしたコーチの資質の一つに観察力と直観力があります。

ここでは、一流のコーチが何に注目し、どういった対応をしているかについてまとめています。


一流のコーチが何に注目しているか

一流のコーチが最大の注意を注ぐのは、目の前で起こっている問題それ自体ではありません。そうではなく、一歩下がって全員の様子を俯瞰します

話している人だけを見るのではなく、部屋全体の様子や、話していない人たちの反応や意図を汲み取るよう、耳を傾けます

ボディーランゲージやひそひそ話にも注意し、感情の高ぶりを察知しようとします。

point

一流のコーチは問題そのものではなく、そこに関わる人の動きや感情の変化に気を配る。


何を感じ、どうやって問題を前に進められるかを考える

一流のコーチが知ろうとすることは問題の解決策ではありません。

そこにいる人たちの足止めをしている感情は何かを理解し、それを前に進めるためにはどうすべきかを考えます

そのためには、一流のコーチは人を理解することに長けている必要があります。

人を見抜き、何をすることにやる気を感じるのか、どうすれば前に進ませることができるのかを理解する直感的なセンスが重要です。

point

一流のコーチは言語化されていない、感情の高ぶりや、センス、何でモチベーションが上がるかといったことを理解するのに長けている。


人となりを知ることに時間を割く

一流のコーチにとってその人の人となりを知ることが最も重要です。

このため、メンバーと会話をするときは仕事や役割のことを話す前に、相手のことを知るための雑談をします

ただのたわいもない雑談ではありません。「家族はどうしているか?」「あなたを駆り立てているものは何か?」といった、その人の人となりを知るための雑談です。

人は業務や成果を出すことに追われているとき、そのことで頭がいっぱいになることがほとんどです。それはコーチも同じです。

そんな状況においても、自分の仕事よりも人を優先できることが一流のコーチたるゆえんです。


チームのことに時間を割く

一流のコーチが相手の人となりを知ることに時間を割く以外に、チームの状況を知る事にも時間を割きます

チームの状況や人間関係などを知ることは、目的や戦略とはズレるため、これも雑談というくくりに入るかもしれません。

今目の前にある何とかしなければいけない問題ではなく、チームに集中し、チームのことを気にかけ、鼓舞し、檄を飛ばすそれこそが一流のコーチが最重要視していることです。

point

一流のコーチは問題そのものではなく、問題を任されたチームについて考える。チームが良い状態になれば、必ず問題を上手に解決することができる。


人を愛する

一流のコーチほど、メンバーの一人一人を良く知ろうとし、状態を気にかけているものです。

優秀な人やレギュラーだけを気に掛けるのではなく、ベンチにいる人たちやサブ的な人にも気を配っている人が多くいます。

なぜなら、それこそがチームワークを育み、かつ、コーチングする側としても成長を楽しむことができるためです。

プライベートとスポーツや仕事を分けずに、どんな人もプライベートも含めた一人の人として受け入れ大切にする

だからこそ、チームのメンバーは厳しいことを言われても「この人は本気で私たちの成功と幸せを願ってくれている」と感じ、その思いに応えようと努力するものです。

その姿勢は自分の子供を無条件に愛する姿勢と同様です。

そしてそのような健全な愛を持って接することはチームワークを良くし、チーム全体を強くします。

point

一流のコーチは健全な愛をもってメンバー全員と接する。それはメンバー同士がお互いを丸ごとの人間として受け入れてもいいという気づきになる。


チーム内の小さな亀裂を素早く補修する

一流のコーチが問題自体ではなく、メンバーの感情の変化や状態、特に緊張や苛立ちに対して気を使うのは、それを早めに察知することでチームの中に生じる亀裂を防ぐことができるためです。

例えば、ミーティングで自分が正しいと思う判断が下されなかったとき、その人はミーティングで決まったことに納得していません。「これは間違っている」「この方法は上手くいかない」といった苛立ちを抱えています。

こういった苛立ちは放っておくと、後々のチームワークに大きく響きます。後から「だから言ったでしょ」といったようにチームの決断やチームメンバーを批判することにつながります。

一流のコーチはそうなる前に問題を察知してその芽を潰します

ミーティングが終わった後に即座に反感を持っているメンバーのところに行って次のような声掛けをします。

今回はこの決定に決めたんだ。残念だし、あなたたちが大変なのもわかる。我慢して何とかやってくれないか。わかったな?

たった一言ですが、そのメンバーにとっては「自分の気持ちを理解してくれる人がいる」ということが十分に伝わります。苛立ちを静めるには、その一言で十分です。

一流のコーチは適切なタイミングでかける一言がいかに強力かを理解している人でもあります。

point

一流のコーチは、部屋全体に耳を傾け、目を凝らし、メンバー間の理解やコミュニケーションのギャップを埋める。




参考

この記事の内容はGoogleのCEOと会長を務めたエリック・シュミットやプロダクト責任者を務めたジョナサン・ローゼンバーグらが書いた「1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え」の内容の一部要約と自分なりの解釈を加えたものです。

ビル・キャンベルはAppleのスティーブ・ジョブズやGoogleやTwitterの経営幹部のコーチングを務め、世の中に偉大なリーダーを何人も送り出してきた人物です。

ビル・キャンベルが貫いてきた生き方やそこにまつわるストーリーには、最高のチームを作るためにリーダーやコーチが知っておくべき考え方や行動が宝の山のように詰まっています。

その考え方はビジネスやチームを成功に導くだけでなく、人として幸せに生きるためのより本質的な知恵でもあります。

この記事に興味を持たれた方は、本書を実際に手に取ってみることをお勧めします。あなたの人生をより幸せにし、成功へと導いてくれることは間違いありません。



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