Googleが行った大規模な調査の中に、2009年に行われたプロジェクト・オキシジェンと呼ばれるものがあります。
プロジェクト・オキシジェンはメンバーのパフォーマンスに影響を与えるのはマネージャーの言動であるという説を元に、1万人以上の従業員を対象にして、成果をあげているチームのマネージャーは何をしているのかを調査・分析し、マネージャーの役割や仕事を明らかにしたものです。
プロジェクト・オキシジェンの調査の結果、成果をあげているチームのマネージャーが行っているのは次の8つであることがわかりました。
優秀なマネージャーの8つの特徴の中で最も重要なことは「よいコーチであること」です。これができていなければ、他の2~8の要素ができていたとしても、チームを成功に導くことはできません。
よりコーチであるとは、指示したり答えを教えるのではなく、メンバーの可能性を本人以上に信じ、才能を引き出し、答えを自ら出せるようにすることで、メンバーが自発的に行動し、能力を習得していくサポートをすることです。
簡単に言うと、質問を通して自己認識させ、メンバーの能力を伸ばせる人ということです。
メンバーが自ら次に何をやるべきかや答えを自己認識させるために、コーチが行う基本的な質問にGROWがあります。
Goal、Reality、Option、Willの頭文字をとったもので、成長(grow)と言う単語です。
頭文字 | 意味 | 代表的な質問 |
---|---|---|
G | Goal、目標 | 目標は何か? |
R | Reality、現実 | 現在の進捗はどのぐらいか? |
O | Option、行動計画 | どう行動するか? |
W | Will、意欲 | いつから始めるか? |
それぞれの質問には次のようなものがあります。
コーチングというと1on1ミーティングのようにマネージャー対個人で行うことを想像する人がほとんどです。
ですが、コーチングは複数人が集まったチームに対しても行うことができます。その方法はチームに対して問いかけをすることです。
これらの質問を投げかけることで、チームメンバー全員に気づき(自己認識)を促すことができます。
ただし、1on1でのコーチングが基本なので、チームに対してのコーチングのみにならないように注意が必要です。
プロジェクト・オキシジェンの調査結果で「よいコーチであること」を含め特徴の多くは、メンバー(部下)に興味を持ちいかに深く知るかにかかっています。
メンバーのことを気にかけ、話をよく聞き、本人たちが望むキャリアを実現できるように手助けし、成長せきるようにサポートする。
こうしたことを当たり前のようにできるマネージャーこそが、チームに成果をもたらせるマネージャーということです。
この記事の内容はモルガン・スタンレーやGoogleで人材育成や組織開発を率い、自身も起業家であるピョートル・フェリクス・グジバチさんの著書『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』の一部要約に個人的な見解を加えたものです。
本書は現代の組織に求めれているものは何か?それを得るためにはどうすればいいかが具体的かつ論理的に記されています。
使われている用語は専門用語ではなく、誰にでもわかりやすいものになっていて、例も豊富に乗っている非常に実践的な良書です。
会社を率いている人や部署を率いている人、あるいはマネージャーを目指している人の必読書といえます。
この記事に興味を持たれた方は実際に本書を手に取ってみることをお勧めします。