上司やマネージャーなどのチームを率いるリーダーには、チームのパフォーマンスを最大化し新しい価値を生み出していける新しいリーダーと、チーム個々人の成長を止めて、決まりきった価値しか生み出せない古いリーダーがいます。
ここでは、新しいリーダーと古いリーダーの違いについてまとめています。
古いリーダーとは、いわゆる昭和な会社の上司やマネージャーのことです。自分たちの存在価値は部下を管理し、指示に従わせ、計画通りに物事を進めることだと思っている人たちです。
部下は工場ラインの機械のようなもので、一定の質で大量のモノを生み出せばそれがそのまま企業の売り上げや業績に直結します。
世の中にモノがあまりなく、高品質なものを作れば何でも売れた時代はこのやり方が効率よく非常に上手く行きました。
しかし、現代はモノや情報が溢れかえり、高品質なら売れるという時代はとっくに終わりを迎えました。
しかし未だに過去の成功法則に捉われて、旧来のやり方で部下を管理しようとする人たちがたくさんいます。
そうした人たちは現代ではチームの変化や成長を阻害し、チームを危機に陥れるガンとなっています。
一方、現代の成長企業を引っ張る新しいリーダーたちは、部下たちの能力を伸ばし、それぞれが自己利益よりもチームの利益を優先できるような仕組みづくりを行っています。
この結果、社員たちはチームの目的を最優先として一丸となり、どんどん変化し新しい価値を生み出していきます。
結果として、チームも人も成長するというプラスの連鎖が起こります。
古いリーダーと新しいリーダーの性質の違いをまとめると次のようになります。
項目 | 古いリーダー | 新しいリーダー |
---|---|---|
優先順位 | 自分ファースト | チームファースト |
モチベーション | 社会的地位や給与 | インパクト、社会貢献 |
行動 | 計画・規律重視 | 学び・柔軟性重視 |
人間関係 | クローズド | オープン |
考え方 | ルールを守る | 新しい原則を作る |
消費行動 | ステータス | ミニマリズム |
嫌う事 | 失敗 | 成長しない状態 |
古い組織のリーダーは自分がいかにその組織の中で上に上がるかを考えます。そして組織の制度も、業高い業績をあげたり、上司に気に入られた人が評価され上にあがる仕組みになっています。
モチベーションは高い給与や部長、役員といった社会的地位です。
行動は計画を重視して、計画から遅れることや計画通りにいかないことをものすごく嫌います。そしてそういった組織の評価制度は計画を守ることが重視されています。
人間関係は閉じられていて、自己開示するよりも、自分がいかに良く見られるかを重視し、相手を支配しようとします。弱みを見せることは恥だと考えています。
既存のルールや規律を守ること、あるいは、社員に守らせることを重要視します。
購入するモノは、高級車、高級住宅など、自分の権威(ステータス)を示そうとするものばかりです。
そうした人は、部下が何か新しいことをしようとすると「勝手なことをするな」といって潰します。
新しい計画が持ち上がった時には「だれが失敗の責任をとるんだ?」「他社はどうしているんだ?」という責任者探しや、答え探しに奔走します。
結果として、自分の意見や主張が通らない部下はモチベーションを失くし、成長する機会も失っていきます。チームは総力が下がって衰退すると同時に、新しいものが全く生み出されず、既存の安パイだけを繰り返す組織になります。
新しいリーダーは、社会貢献や世の中にどれだけ大きなインパクトを残せるかを重視し、企業のビジョンやミッションに共感して、自分もチームの一員として働きます。
自己利益を優先するよりも、チームにとってベストなことは何かを最優先に考えて議論や決断を進めます。
社会の変化に追従し価値を出していくために、常に学び続け変化に対応する柔軟性を重視します。
人間関係は非常にオープンで、相手のことを知ろうとし、同時に自分の弱みを開示して、信頼関係を築き上げることを最優先にします。
既存のルールは必要に応じて変えていかなければいけないことを知っていて、その時代に合う原則をみんなで話し合い集合知として生み出そうとします。
自分の成長やチームの成長に重きを置くため、モノを買って身動きを遅くすることはせず、学びや経験を積むことに投資をします。
部下が何か新しいことをやろうとすると、その行動を推奨し、挑戦や失敗を通じて部下が成長することをサポートします。
リーダーの役目は部下の成長の機会を奪うことではなく、勇気をもって挑戦させ、失敗したときに発生する損失を最小限にすることだと考えています。
チームメンバーは自らの価値観に基づいて、チームの目標のために自ら考え行動し成長するようになります。チームメンバーの間には安心して自己開示できる環境があり、それぞれが信頼関係で結ばれています。
結果として、チームとしてより大きなパフォーマンスを発揮します。
もしあなたの上司が古いリーダーの場合、その組織は未来が暗く、あなたも成長をすることができず、人生で大きな損失を被ることになります。
一番はそういった会社を選ばないことですが、もし、既にその会社に入ってしまった場合は即刻転職することが重要です。
新しいリーダーがいる企業はどんどんと生まれています。
給与や昇給、福利厚生といった目先の利益に目を眩ませてはいけません。チームは長期的には衰退し、あなたは大した能力や経験をしていない市場価値の低い人材になります。
今は人生100年時代です。自分自身の知識、スキル、経験、自尊心、チャレンジ精神こそが最も価値ある資産です。
この記事の内容はモルガン・スタンレーやGoogleで人材育成や組織開発を率い、自身も起業家であるピョートル・フェリクス・グジバチさんの著書『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』の一部要約に個人的な見解を加えたものです。
本書は現代の組織に求めれているものは何か?それを得るためにはどうすればいいかが具体的かつ論理的に記されています。
使われている用語は専門用語ではなく、誰にでもわかりやすいものになっていて、例も豊富に乗っている非常に実践的な良書です。
会社を率いている人や部署を率いている人、あるいはマネージャーを目指している人の必読書といえます。
この記事に興味を持たれた方は実際に本書を手に取ってみることをお勧めします。