現代の世の中はインターネットの登場もあり、どんどんと新しいサービスが生まれていきます。
そういった中で、もはや会社の中で経歴の長い上司やベテラン社員、あるいは若手さえもやったことのないサービスや技術がたくさんあります。
多くの人たちは失敗を恐れたり、使ったことが無いという理由で、それらの新サービスを試すことを拒み、これまでの仕事の中で培い、実績を上げてきた方法にこだわります。
しかし、従来のやり方に固執する企業に待ち受けているのは衰退の滅亡しかありません。
組織を成長させ続け、生き残らせていくにはこれまでとは違う方法でチームを率いていかなければいけません。
ここでは、現代の世の中でチームを率いていくのにふさわしい良いリーダーと、組織を衰退に導く危険なリーダーについてまとめています。
現在の社会にフィットしたいいリーダーの条件は「自らが前例になる」ことです。英語では。リード・バイ・イグザンプル(lead by example)といいます。
誰もやったことがないし、試したこともない。その中で、自らあれこれと調べ使えそうだと思ったものを取り入れ学び新たな前例になる。そういったリーダーがこれからの会社を率いていくリーダーです。
自らがまず第一に飛び込むファーストペンギンの姿勢が求められます。
自らが前例になるということは、必ず成功しなければいけないということではありません。
自らが失敗という前例になってもいいのです。それがチームの学びになり、新たに他のものに挑戦するステップになります。
むしろ成功にこだわるリーダーは非常に危険です。成果が出ておらず、もうダメなことがわかっているのにそれにこだわり続け、チーム全体を危険に晒します。
それよりも、チームを良くするための新しい変化に挑戦し、全力で挑み、ダメだとわかったら失敗を素直に認め、挑む対象を変える。これができるリーダーが良いリーダーです。
良いリーダーに必須の条件に「メンバーと信頼関係を築いている」ことがあります。
なぜなら新しい取り組みは率先して飛び込むファーストペンギンだけでは進まないからです。実は、ファーストペンギンと同等かそれ以上に、その後に続く人の存在が重要です。
もし、リーダーがメンバーと信頼関係を築けていない場合、リーダーが新しいことに挑戦しようとするとメンバーは次のように感じます。
「また何かめんどくさいこと始めたよ」「余計なことに巻き込まれる」「いい加減にしてほしい」といった感情です。
一方、リーダーがメンバーと信頼関係を築けている場合は、「リーダーはチームのために新しいことに挑戦しようとしてくれている」「私たちに新しい変化と成長をもたらそうとしている」「リーダーをサポートしよう」という考えに至ります。
こうして、フォロワーやサポーターができることで、ようやくリーダーが始めた取り組みが組織の取り組みへと変化していきます。
組織がこれからの時代に成長し続け、高いパフォーマンスを出し続けるためには、良いリーダーの存在だけでは不十分です。
会社として良いリーダーが評価される仕組みや風土が必須です。例えば次のようなものです。
自ら率先して前例になり、チームメンバーと信頼関係を築こうとする人であっても、注意しなければいけない場合があります。
それは、会社というチームではなく、自分が率いるチームなど自分の利益を優先する人です。
こうした人材は優秀で、どんどん新しいことを試し、自分のチームのパフォーマンスを上げようとしますが、その動機は、会社やチームメンバーのためではなく、自分のためです。
自分が上にあがるため、自分が良い評価を得るため、自分の社会的価値が上がるため、そのことだけを考えている人です。
こうした人は自分のチームだけを優遇する傾向があります。「俺たちのチームはすごいよな」「アイツらは全然ダメだ」というように他をけなして、自分たちを偉く優秀なように見せようとします。
会社の中に派閥を作り、最終的には自分を慕うメンバーを連れて会社を辞めて自ら起業します。
会社はこのような偽りの良いリーダーを見抜き、評価を下げ、本当に会社のことを第一で考える人を評価していかなければいけません。
それは時に、自社の短期的な業績を下げることにつながるかもしれませんが、長期的には衰退と崩壊を防ぎ、成長と利益をもたらします。
この記事の内容はモルガン・スタンレーやGoogleで人材育成や組織開発を率い、自身も起業家であるピョートル・フェリクス・グジバチさんの著書『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』の一部要約に個人的な見解を加えたものです。
本書は現代の組織に求めれているものは何か?それを得るためにはどうすればいいかが具体的かつ論理的に記されています。
使われている用語は専門用語ではなく、誰にでもわかりやすいものになっていて、例も豊富に乗っている非常に実践的な良書です。
会社を率いている人や部署を率いている人、あるいはマネージャーを目指している人の必読書といえます。
この記事に興味を持たれた方は実際に本書を手に取ってみることをお勧めします。