赤ちゃんが4か月を過ぎたぐらいの頃から、これまでの3時間おきに起きて授乳という生活から解放され、徐々に大人と似たような睡眠のリズムになってきます。
ようやくまとまって寝れるようになると思うのも束の間、今度は夜なかなか寝てくれない、寝る前に異常と思えるほどギャン泣きする、日によって数時間おきに泣いて起こされることも珍しくありません。
睡眠時間が足りないと体や脳が回復できずストレスが蓄積していくものです。
お母さんのイライラはMAXとなり、パートナーにあたって家の中が険悪ムードになったり、子供に「なんで寝てくれないの!」とあたってしまうのも無理はありません。
ここではそんな赤ちゃんや子供が寝てくれないという問題の原因と最適な寝かしつけの方法について解説しています。
赤ちゃんや子供が寝るときはどのようにしているでしょうか?
抱きかかえてゆらゆら揺らしたり、おっぱいを吸わせてお腹の上で眠るのを待つといったっことをしていないでしょうか?
これらの方法は3か月目くらいまでの新生児であれば効果はありますが、それ以降は逆効果になってしまいます。
いつ倒壊したり何かに襲われるかもしれない環境で大人が良く寝れないのと同じく、赤ちゃんも「絶対に安心」と思えないと深い眠りにつくことはできません。
生まれてからずっとお母さんの腕の中に抱きかかえられて揺ら揺らしてもらったり、おっぱいをくわえながら寝ていた赤ちゃんは、「おかあさんの腕の中のゆらゆら」=「安心して眠れる」、「おっぱいをくわえている」=「安心して眠れる」と感じるようになっています。
このため、腕や胸から下ろして布団におくと「安全じゃない」と感じて背中スイッチが作動して、安全な環境を強く求めるようになります。
背中スイッチは赤ちゃんにもともとついているものではなく、これまでの習慣の結果、安心じゃないと判断する状態になるのが、お母さんの手から離れ背中が布団の上に置かれたときだからです。
抱きかかえて揺ら揺らしたり、おっぱいをくわえさせるというのは決して楽な動作ではありません。眠くて仕方のないときは地獄です。
このような自分が楽でない寝かしつけを習慣にしてしまうと、赤ちゃんや子供がそれでしか寝てくれなくなってしまうため、待っているのは苦労でしかありません。
腕の中でゆらゆらされて眠りについた赤ちゃんや子供が「おかあさんの腕の中のゆらゆら」=「安心」を学習するように、安心は覚えさせることができます。
背中スイッチの発動を防いだり、寝るまでに大変な思いをしなくて済むようにするためには、自分が楽な方法で赤ちゃんや子供に安心を覚えさせることが重要です。
つまり、背中スイッチが作動しない方法や寝てくれる方法を探すのではなく、子供と一緒に新しい安心をつくっていくことが大切です。
新しい安心の習慣作りはすぐにパッとできるものではありません。赤ちゃんや子供が新しい方法になれるまでにだいたい1週間以上かかります。
1週間は長いように感じますが、大人が何かの行動を習慣化するまでに3か月継続する必要があることを考えると短いともいえます。
例えば、夜布団の上に一人だけでおくと「ギャー」と泣き出す子供は、「お母さんがすぐ傍にいない」=「危険・不安」と考えています。
ですが「ギャー」と泣いているうちに泣きつかれて寝てしまします。すると「あれ、安全に寝れた」となります。
最初のうちは「危険・不安」と「あれ、安全に寝れた」が行ったり来たりします。それが1週間続けて何の危険もなく安全に寝ることができれば「夜布団の上に一人」=「安全に寝れる」という思考に変わります。
これまでずっとべったりだった赤ちゃんや子供をいきなり一人で布団の上に寝かせるというのはハードルが高いものです。
そこでここでは、お母さんも楽できる簡単な寝かしつけ方法を6個紹介します。ポイントは今後毎日やることになっても負担にならない方法を選択することです。
1つ目の方法は「ぬいぐるみを使う」ことです。「ぬいぐるみ」=「寝る合図」という習慣をつくります。
寝かしつけの授乳のときに、寝る合図として決めたぬいぐるみを渡します。子供がウトウトしてきたらおっぱいを外して、ぬいぐるみだけにします。
子供が授乳したまま眠らないようにしてください。好ましくない習慣がついてしまいます。
最初は泣いたりぬいぐるみを投げ捨ててしまうことがほとんどです。
ですが気にせずにぬいぐるみを何度も渡し、「ぬいぐるみを持ちながら安心して寝れた」という体験を積むことが重要になります
なお、ぬいぐるみ以外でもタオルなどなんでも大丈夫です。
2つ目の方法は「おでこをなでる」です。特にちょっとした物音で目を開けてしまう敏感な子に有効な方法です。
ちょっとした物音で目を覚ましてしまうのは安心して寝れていない証拠なので、まずは寝る前に十分に触れ合う時間をつくります。
子供がウトウトしてきたら、おでこを上下やグルグル円を書くようになでます。
これで眠る成功体験を積めば「おでこをなでてもらう」=「寝る合図」という習慣ができます。
3つ目の方法は「寝たふり」です。これは、夜中に動き回ってしまう子に有効な方法です。
夜中に動き回ったり、顔をぺちぺち叩く理由の一つに「気をひきたい」というのがあります。そこで、夜の寝てる時間は何をしても気をひけないということを学習させる方法です。
まず寝室の電気は真っ暗にします。これが夜寝る時間だよという合図になります。
子供が顔をぺちぺち叩いてきても寝たふりをして無視します。
意図的に「スースー」と寝息を立てて寝てるアピールをするのも有効です。
子供からの攻撃が激しいようであれば、寝がえりする振りをして背中を向け顔を防御します。
こうすることで子供は「真っ暗な夜」=「寝る時間」という習慣を身に付けていきます。
4つ目の方法は「トントン&ストップ」です。
寝る時間になったら子供を優しく「トントン」してあげます。そしてウトウトしてきたらトントンをやめて手をのせておくだけにします。
ウトウトしたときにトントンをやめることがポイントです。
これをしないと、「トントン」=「寝る・安心」となり、「トントンがない」=「不安」という習慣がついて、ずっとトントンし続けなければいけなくなってしまいます。
トントンと手をのせておくだけで寝る成功体験を積み重ねれば、「トントン」=「寝る合図」、「手が乗っている」=「安心」という習慣を身に付けることができます。
5つ目の方法は「ピッタリ添い寝」です。
お布団の中で子供にピッタリと寄り添い、お腹に手をのせたり、手をつないだりし、その状態で眠る成功体験を積み重ねます。
子供はお母さんと体がピタッと密着しているだけで安心感を感じられるものです。
6つ目の方法は「おやすみなさいツアー」です。2歳以上の子に有効な方法です。
月齢の高い子は「起きる」から「寝る」への切り替えが苦手な子がいます。
このため、その日に使ったおもちゃや家具、洋服さんたちに「おやすみなさい」の挨拶をして「これから寝るんだ」という意識を高めるようにします。
新しい寝る方法を定着させるときにやってはいけないことは、子供がギャン泣きしているからといって元の方法に戻ることです。
抱きかかえて腕の中で揺ら揺らさせたり、おっぱいをくわえさせてはいけないということです。
それをしてしまうと赤ちゃんは「泣けば欲しいモノがもらえる」という学習をしてしまいます。
この間違った成功体験をしてしまうと、新しい寝る方法の定着がより難しくなってしまいます。
赤ちゃんや子供のねかしつけには「絶対にこれ」という決まりはありません。
ポイントは次の3つです。
子供が寝られる方法を探すのではなく、子供と一緒に新しい眠る方法を作っていくことを目的として頑張ってみてください。
この記事の内容はお茶の水女子大学や東京大学大学院で子供の夜泣きを専門に研究している清水悦子さんの「赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド 0歳からのネンネトレーニング」の内容の一部を要約、抜粋したものです。
ここに記載している内容以外にも赤ちゃんを安眠に導くためのわかりやすい方法が様々紹介されていますので、赤ちゃんの夜泣きに困っている方は是非手に取ってみることをお勧めします。
大人と赤ちゃんの生活習慣を整え、大きなストレスから解放してくれるバイブルになること間違いありません。