優れた経営者やマネージャーの条件は何か?と聞くと「知識や経験が豊富なこと」「実績があること」「優れた手腕があること」といった能力や知識に注目した回答が出るのが普通です。
ですが、実際に成功している人たちにはもう一つ重要視していることがあります。それは「部下の幸せと成功を願うこと」です。
なぜなら企業の成果はそこで働く人によってもたらされるからです。幸せで成功している人がたくさん集まった組織は、幸せで成功している組織です。
法人という言葉があるように企業は人に例えられることがよくあります。
人にとって各組織が正常に動き続けるために必要なのは、心臓と血液です。血液が循環し続けるからこそ、人は動き続けることができます。
血液を循環するための心臓が止まったら、人の命はそこで終わりです。
一方、企業が動き続けるために必要なのは「お金」です。お金がクルクル循環することで企業が動き続けつことができます。
そして、そのお金を生み出すのは人です。人が組織のために動くことで、お金が生み出され循環します。
このため、企業にとって一番重要なものは「人」です。人がすべてと言っても過言ではありません。
夜眠れなくなるほど気にかけていることは何か?と訊かれたらなたはなんと答えるでしょうか?
「自分の成果」「目の前の課題」「将来」「お客様」など様々な事柄が浮かぶと思います。
ですが、本来、人の上に立つ人が考えるべきことは「部下の幸せと成功」です。
アメリカンフットボールのNFL殿堂入り選手ロニー・ロットは、Appleのスティーブ・ジョブズやGoogleやTwitterの経営幹部のコーチングを務めたビル・キャンベルについて次のように語っています。
すぐれたコーチは選手をどうやって良くするかを、夜も眠らずに考える。選手がもっと力を出せるような環境を作ることに喜びを感じる。
コーチとは、絵に的確に筆を入れようとする画家に似ている。コーチが描くのは人間関係だ。
ビル・キャンベルはどんな分野でも、いつもそれと同じことをやっていた。
人の上に立つコーチやマネージャーにとって一番重要な仕事は、部下が仕事で実力を発揮し、成長できるように手を貸すことです。
つまり、部下たちが自分たちの持つエネルギーを解放して、増幅できる環境をつくることです。
部下たちが自分の持っている能力の全てをかけられる環境を作るために必要なのは次の3つの要素です。
支援とは部下が成功するために必要なツールや情報、トレーニングやコーチングを提供することです。
部下が自身のスキルや能力を伸ばし続けることができるよう手助けすることです。
敬意とは相手の意志を理解し尊重することです。自分が下手に出てへりくだることではありません。
相手の言葉にしっかりと耳を傾け、一つ一つの主張を理解や目標を理解し、部下自身の選択を尊重することです。
部下が描いたキャリアプランを手助けすることです。
信頼とは部下に決断やどのように仕事に取り組むかを任せることです。あれこれと指示することは違いますし、放任することとも違います。
部下自身が「こういう方法で取り組みたい」「これをやりたい」といった方法を尊重し、信頼して任せるということです。
部下自身が成功を望んでいることを理解し、必ず成功できると信じることです。
部下が能力を伸ばすために支援し、尊重すべき個人として敬意を払い、信頼して任せることができる人こそが、人の上に立つべき上司です。
マネージャーが部下のことを他人と思っている限り信頼関係が生まれることはありません。マネージャーは自分の下にいる全ての部下を自分の子供と考えるべきです。
子供は親の言う事を聞かない事や間違うことがたくさんあります。そのときに正しい方向に導き、子供の成長を助けるのが親の役目です。
この姿勢は部下に対しても同じです。
部下が軌道修正して向上できるように、手を貸すことがマネージャーの役割です。
この記事の内容はGoogleのCEOと会長を務めたエリック・シュミットやプロダクト責任者を務めたジョナサン・ローゼンバーグらが書いた「1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え」の内容の一部要約と自分なりの解釈を加えたものです。
ビル・キャンベルはAppleのスティーブ・ジョブズやGoogleやTwitterの経営幹部のコーチングを務め、世の中に偉大なリーダーを何人も送り出してきた人物です。
ビル・キャンベルが貫いてきた生き方やそこにまつわるストーリーには、最高のチームを作るためにリーダーやコーチが知っておくべき考え方や行動が宝の山のように詰まっています。
その考え方はビジネスやチームを成功に導くだけでなく、人として幸せに生きるためのより本質的な知恵でもあります。
この記事に興味を持たれた方は、本書を実際に手に取ってみることをお勧めします。あなたの人生をより幸せにし、成功へと導いてくれることは間違いありません。