スマートクリエイティブとは高度な専門知識を持ち、多彩で創造力やコミュニケーションに長けた人物のことです。
人種や家柄、年齢、性別に関係なく、意欲と能力があり、目的を達成するための努力を厭わず、従来の常識に縛られず、新しい方法を試すことに積極的な人たちです。
Googleの元CEO エリック・シュミットの言葉です。世界を代表する企業Googleを引っ張ている超優秀な人たちを指しています。
スマートクリエイティブには次のような特徴があります。
こんな人材が組織に一人でもいたらありがたい、という夢のような人材がスマートクリエイティブです。
スマートクリエイティブはどこにでもいるわけではありません。その数はごく僅かです。
ただし超有名大学にしかいないわけではありません。
むしろ、あらゆるところにいる可能性があります。どんな都市や学校にも存在します。
医師、デザイナー、科学者、映画監督、エンジニア、料理人、職人など、より専門性の高い業種の中に存在する可能性が高いです。
スマートクリエイティブは競争心に溢れ、勝つことやよりいいモノを作り出すことを成功と捉えている人たちです。
そして、そういった成功を手にするためには猛烈な努力が必要なことを理解しています。
このため朝8時から夕方17時までの定時の勤務時間の間だけでは望むものが成し遂げられないことを知っています。
勤務時間を過ぎても働き、そして休日すらもその延長のようなことにエネルギーを注ぎます。そもそも本人が望むものと日常生活と仕事が一体化している人たちでもあります。
自動車デザイナーであれば週末は車の整備に没頭し、建築家であれば自宅の建築を何度も自分でやり直すような人たちです。
子供がいる人たち(女性)も、子供を迎えに行き夕飯を食べさせている間はメールが途絶えますが、21時を過ぎて子供が寝た時間になると、再びメールでのやり取りが復活します。
決してやらされているわけではなく、自分のしたいことの延長線上に仕事があります。
スマートクリエイティブたちはデータを扱うことも得意です。データから得られた知見を意志決定に用いることができます。
ただし、データを信じるのみでなく、データの弱点も理解しています。
いつまでも分析し続けることはしません。データに振り回されることは避けようとします。
スマートクリエイティブたちはビジネス感覚にも優れています。
自分の専門知識を商品にどう生かすことができるか、その結果、事業でどのような成功がもたらされるかを紐づけて考えることができます。
決して趣味の世界にだけ没頭するのではなく、自身の専門性を事業とどう結びつけるかがいかに大切かを知っています。
スマートクリエイティブたちはリスクや失敗を恐れることはありません。
失敗からは常に大切なことが学べると信じています。そして、失敗してもいつかは必ず成功すると信じています。
決して失敗で諦めることはありません。必ず立ち直ります。
スマートクリエイティブたちは自立心に溢れています。
自ら考え自ら行動します。考えることを放棄したり、誰かの言いなりになったり、ただ何も言わずに指示に従うということはありません。
納得できない指示が与えられたときは、必ず反論をします。それでも納得できない場合は指示を無視することすらあります。
自らの主体性に基いて行動します。
指示を無視することがあり、自らの主体性に基いて行動するといっても、独りよがりで独善的なわけではありません。
目的を理解し、自分なりに何が必要なのかを思考しています。
目的に対するあらゆる可能性を思考していて、それを実現するために他の人と自由に協力します。
そして、相手の役職が偉い、学歴が高い、勤続年数が長いといったことに縛られることはありません。
アイディアや分析、次の行動などを誰が口にしたかでは判断しません。その内容が本質的に正しいのかを見極めようとします。
スマートクリエイティブたちは飽きたり退屈しやすい傾向があります。
一つのことに熱中して人一倍の集中力を注ぎ込み、自分の求めるレベル以上になったら興味は次のものへと移ります。
たった一つの同じことだけをずっと続けるということはありません。
スマートクリエイティブと従来型の職種には決定的な違いがあります。
従来型の職種は次の2パターンに分かれます。
従来の仕事では、ある仕事を担いそれを突き詰めていくのが一般的です。
プレゼンテーションのことであれば山田さん、経理のことなら田中さんといったように、「〇〇なら△△さんといった」専門性を極めている人たちが専門職です。
専門職以外では、様々な仕事を経験して総務や経営方面に回っていく人たちもいます。
どちらも優秀な人たちですが、スマートクリエイティブとは異なります。
スマートクリエイティブは専門性を極めているようですが、決してそれだけではありません。深いことは底が測れないほど理解していますが、他の分野に関しても興味を持ち同じぐらい深く知っています。
「自分の専門分野は〇〇だ」という限定をしません。必要に応じて柔軟に新しいことにも挑戦してどんどんと学んでいきます。
従来の職種の専門職よりもカバー範囲は広くなりますが、総務や経営サイドのように広く浅くではありません。
自ら深く探求する精神を持っているため、広く深く知っている人たちです。
一定以上やったら取り決めだから次へ移るということはしません。自分自身が興味を持ち必要と判断すれば、それをどこまでも掘り下げていきます。
スマートクリエイティブたちは従来型の職種には当てはまらない人たちです。従来の職場ではスマートクリエイティブたちは本領を発揮することができません。
このため、スマートクリエイティブを育て滞在してもらうためには特別な環境を必要とします。
そういった環境でないとスマートクリエイティブたちは集まりません。そのためには企業文化や採用方法がカギとなります。
Googleでは何か一つの業務に縛られるということはありません。会社の情報に自由にアクセスすることができます。
リスクの大きなプロジェクトにチャレンジをしてそれが失敗したとしても処罰や不利益を被ることはありません。
米サン・マイクロシステムズの最高技術責任者と執行役員やノベル社の最高経営責任者(CEO)を歴任したエリック・シュミットはGoogleの経営に携わることになったときのことを次のように語っています。
Googleで成功するには、それまで身に着けた経営に関する知識をすべて捨て去り、学び直さなければならなかった。
Googleにやってきたときは経験豊富な経営幹部として、自らの知識や能力にかなりの自負があった。
しかし、鼻をへし折られる出来事に満ちた10年を過ごした結果「すべてわかったと思った後に学ぶことこそが大切だ」という金言を噛み締めるようになった。
なお「本当に大事なことは、すべてわかったと思った後に学ぶこと」は、20世紀最高の指導者と呼ばれたバスケットボールの指導者 ジョン・ウッデンの言葉です。
この記事の内容はGoogleの経営陣 エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル、ラリー・ペイジの共著「How Google Works ―私たちの働き方とマネジメント」の内容の一部抜粋と要約です。
一国家と同等な資金を持ち、世界中で知らない人はいないほどのGoogleという大成功企業の中で、
などなど、これからの時代に欠かすことのできない内容がギッシリ詰まった一冊です。堅苦しくなくユーモアがあり読みやすい文体ですので、ぜひ一読されることをお勧めします。