複数人が集まった会議の場で誰か一人の意見に全員がイエスと答えたり、反対意見はありますか?と聞いても誰も手を上げない時があります。
そういう時は「満場一致で賛成だ!」と喜んではいけません。
全員がイエスの状態や反対意見がない状態というのは、とても危険な状態です。
全員がイエスや反対意見がないときは、みんなが合意したのではなく、みんな何も考えていない場合がほとんどです。
あるいは、心に思うことはあるが言い出せないか、言い出さないのどちらかです。
例えば、上司などの権力や肩書きがある人に反論することで評価が下がることを恐れていたり、反論したことで議論になり時間をとられたり面倒ごとに巻き込まれるのが嫌な場合です。
会議などでみんなで話し合って合意に至ることを「コンセンサスをとる」といいます。
ですが、コンセンサスとはただ話し合って合意することを意味しているのではありません。
コンセンサス(consensus)はラテン語で、cumsentireと書きます。「cum」は一緒に、「sentire」は思う・感じるという意味です。
つまり、コンセンサスとは一緒に考え感じるという意味です。
何も考えていない、あるいは、反対意見があるのにそれを表明しない状態で出た結論は、コンセンサスではありません。
この世に100%正しい意見はありません。少数派や独自の見解を持つ人たちがいるように、必ず反論すべきことはあります。
つまり、本当にしっかりと議論していい結論に行きつくためには、反対意見は必須ということです。
反対意見が出ないということは、何か見落としていることに他なりません。
反対意見を心に持ちながらもそれを表明せずに、何かが決まったとき、反対意見を持っている人たちは、行動にかける思いや責任感が大きく下がります。なぜなら納得していないからです。
「会議では〇〇だと決まったけど、私は心の中では賛成していない」という気持ちをずっと持ち続けることになります。
本当に議論してみんなが納得できる結論にたどり着くためには、それぞれが自分の意見を臆することなく言える環境が必要です。
そのために最も重要なことは、会議の進行役、あるいは誰かがみんなの意見を引き出せることです。
「〇〇さんどう思いますか?」と質問をすることはもちろん、誰かが意見を言ったときに「なるほど」「面白いですね」と言って、意見を言ってくれたことを奨励する必要があります。
他にも、普段から何か言いやすい人間関係を作るなど、会議の場でみんなが意見を言い出せるように場を整えていきます。
意見を言わない人には、異議を唱えることを恐れている人や、内気な性格で人前で喋ることが苦手な人、ことなかれ主義で余計な時間を取られたくない人などがいます。
そういった静かに黙っている人には、会議を仕切る人が意見を言ってもらうように促す必要があります。
あるいは、もしかすると本当に何も言うことがなくて静かにしている人がいるかもしれません。そういう人はその会議には出席するべき人ではありません。
そもそも全員が納得できる案というのは妥協案です。
会議で全員が納得した時点で最高のソリューションでないといえます。みんなが持つたくさんの議論を戦わせて、その上で最も確率が高いと思われる解決策こそが、最高のソリューションです。
この記事の内容はGoogleの経営陣 エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル、ラリー・ペイジの共著「How Google Works ―私たちの働き方とマネジメント」の内容の一部抜粋と要約です。
一国家と同等な資金を持ち、世界中で知らない人はいないほどのGoogleという大成功企業の中で、
などなど、これからの時代に欠かすことのできない内容がギッシリ詰まった一冊です。堅苦しくなくユーモアがあり読みやすい文体ですので、ぜひ一読されることをお勧めします。