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【チームファーストの重要性】組織の指針は「チーム最優先」|強い個人よりも強いチームが生き残る(正しく勝つことの重要性)

チームファーストとは何か?その重要性

企業などのチームは自分たちのミッションやビジョン、目標を持っています。そして、そこで働く人たち(チームのメンバー)も、お金を稼ぎたい、評価されたい、チームの一員として働きたい、やりがいのある仕事がしたいといった個々人の目標を持っています。

チームが所持するエネルギーを高い状態に保つためには、そこで働くメンバー自身のモチベーションが高いことが重要です。

そのためには、チームはそれぞれのメンバーが自己の目標を達成するためにサポートをする必要があります。

チームはトップや上層部の自己利益の追求するために存在するわけではなく、目標やそこにいるメンバーの幸福を追求するために存在します。

だからといって、メンバーたちを手厚くもてなし、メンバーたちの自己実現を目標とすることが第一優先ではありません。

メンバー全員がチームに忠実で、必要とあらば個人よりチームの目的を優先しなければ、チームの成功はありません

チームを勝たせることを最優先とする姿勢をチームファーストと呼びます。

point

チームファーストとは、個人の利益よりも、チームを勝たせることを最優先とすること。


強い人ではなく、強いチームが生き残る

なぜチームを最優先すべきかについては、個々人よりが強い組織よりも、チームとして強い組織の方が成功する確率や生き残る確率が高いためです。

チームにどんなに優秀な人が揃っていても、それらの人々が対立し合っていると、エネルギーのベクトルが外に向かず、内側で消費されることになります。

これでは、何の結果も生み出さないどころか、チームが衰退する原因になります。

だからこそ、個人よりもチームを勝たせることを最優先することが最重要となります。

進化論を提唱したことで有名なチャールズ・ダーウィンの著書にそれを示す一節があります。

構成員の多くが、高い愛着心と忠誠心、服従信、勇気、思いやりを持ち、常に助け合い、全員のために自分を犠牲にする覚悟がある部族は、他の多くの部族に対して勝利を収める。これが自然淘汰である。

「自然淘汰」という言葉は、個人などの単体としての弱さが原因で滅びていくイメージがありますが、そうではなく、一族や種族などのチーム全体で結束できない人たちが淘汰されて行くということです。

point

単体として強いだけでは滅びていく。最後まで生き残るのはチームとして強い人たち。


エゴに捉われると、チームを忘れる

人には自分が必要とされたい、成果を残したいといったエゴがあります。エゴの力はチームに貢献する力も生み出しますが、チームよりも自分自身を優先したい気持ちが勝ってしまうことも少なくありません

GoogleのCEOのエリック・シュミットは一時期、エゴに捉われてGoogleを去ることを本気で検討していました。

元々、何年もの間、エリック・シュミットはGoogleのCEO兼会長として手腕を振るい業績を上げてきました。

しかし、GoogleのIPOに際して会長の立場を解任し、CEOに戻るという指示が出されました。これは創業者らがチームの更なる成長のために必要と考えた処置でした。

エリック・シュミットはその通達にショックを受け、CEOに戻ることも辞任してGoogleを辞めることを決意していました。

しかし、コーチに咎められたことで「自分がチームのためではなく、自分のエゴのために行動している」ということに気づき、その考えを改めました

大きな利害が関係し利益を追い求めるビジネスにおいては、利益よりもチームを優先することは非常に難しいことでもあります。

ですがチームが本当に必要としているトップは、個人エゴの先にあるチームを見通して、全員が力を合わせればどれだけの価値を生み出せるかを理解できる人です。


正しく勝つ

チームでの勝つことを追求するときに一つ忘れてはいけない重要なことがあります。それは「正しく勝つ」ことです。

「チームで勝てば、何してもいい」という考え方が蔓延すると、チームの秩序は崩れて崩壊していきます。

メンバー全員が一定の規律を持ち、正しく勝つことを追求できるからこそ、チームにまとまりがあり強くなります

point

正しく勝つことが、チームのまとまりを強め、より強いチームにする。


問題ではなく、チームに目を向ける

チームにとって最も重要なことは正しく勝つことです。このためチームにとって最大の問題とはチームのまとまりを乱す物事です。

チームのまとまりを壊す主要因はメンバーの不満や緊張です。それらが大きくなればなるほど、周りに伝染し、チームのまとまりは疎遠になっていきます。

このためチームのトップはチーム内の不満や緊張に注意深く耳を傾け、それらの問題を排除していく必要があります。

つまり、注意を向けるべきは目標達成やそこに向けた課題といった「事実」ではないということです。それらは、チームにまとまりがあり、皆がチーム一丸となって勝ちに行く気持ちがあれば乗り越えられるものです。

問題という事実にだけ注意を向けるのではなく、チームの状態やどのチームがその問題に取り組むのかといったことの方が大切です。

point

問題ではなく、チームの状態やどのチームが対処にあたるのかに着目する。


問題ではなく、チームにフォーカスする例

あるときGoogleのマネージャーが集まったミーティングで、成長中の事業の費用が最初の想定よりもかさんでいることが問題になりました。

上層部が問題の原因は何か?について話あい調べようとしている中、Appleのスティーブ・ジョブズやGoogleやTwitterの経営幹部のコーチングを務めたビル・キャンベルは次のように言いました。

気にするな。うちにはいいチームがある。彼らが問題に取り組んでいるから大丈夫だ。

ミーティングに参加していたマネージャーたちは目の前の問題や課題にだけ捉われて、その原因追及や解決方法を探すことだけを考えていました。

しかし、ビル・キャンベルは問題よりも、チームに目を向けて「どのチームがその問題に取り組んでいるのか?」「そのチームには問題を解決する能力があるのか?」に思いを巡らせました

それこそが、問題ではなく、チームにフォーカスするということです。


適材適所への配置

メンバーが協力しあい、共同の目標を達成しようと奮闘するチームにするためには3つ重要なことがあります。

チームビルディングの3つの要素
  1. チームメンバーの個人の幸福や目標達成を追求する。
  2. チームメンバー間の関係性を築く。
  3. 適材適所に配置する。

チームメンバー個人および、その個人同士をつなぐことは非常に大切です。しかし、それだけでは不十分です。

チームの都合によって忘れ去られがちなのが「メンバーを適材適所に配置する」ということです。

人は生まれた場所や育った環境、取り組んできたことが異なるように、それぞれが違った特性を持っています。

そして、個々人の特性を把握して、チームのために最も本領を発揮できる場所に配置することこそが、チームのリーダーがするべき重要な仕事の一つです。



参考

この記事の内容はGoogleのCEOと会長を務めたエリック・シュミットやプロダクト責任者を務めたジョナサン・ローゼンバーグらが書いた「1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え」の内容の一部要約と自分なりの解釈を加えたものです。

ビル・キャンベルはAppleのスティーブ・ジョブズやGoogleやTwitterの経営幹部のコーチングを務め、世の中に偉大なリーダーを何人も送り出してきた人物です。

ビル・キャンベルが貫いてきた生き方やそこにまつわるストーリーには、最高のチームを作るためにリーダーやコーチが知っておくべき考え方や行動が宝の山のように詰まっています。

その考え方はビジネスやチームを成功に導くだけでなく、人として幸せに生きるためのより本質的な知恵でもあります。

この記事に興味を持たれた方は、本書を実際に手に取ってみることをお勧めします。あなたの人生をより幸せにし、成功へと導いてくれることは間違いありません。



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