企業という一つのチームで仕事をするうえで、チームをどう作っていくか(チームビルディング)はとても重要です。
チーム内の人間関係は放っておけば自然と構築されて行きますが、成り行き任せだと偏った人間関係が出来上がってしまうリスクがあります。
このため、チーム内の人間関係の構築という非常に重要な部分は、企業側がコントロールして作り出していかなければいけません。
チームで人間関係を作る最も簡単な方法はペアで仕事に取り組ませることです。
個人ではなくペアにして仕事に取り組ませることには大きな利点があります。
心理学の実験で、敵対して憎み合っている人たちでも、共通の目的をもって共同で目的に向かって努力をして達成することで、人間関係が大幅に改善し、信頼関係が生まれることがわかっています。
ペアで仕事に取り組ませるときに注意しなければいけないことがあります。それはあれこれと細かく指示を出してはいけないということです。
目的はチーム内の人間関係を構築することです。そのためには、共通の目的をもって共同で目的に向かって努力をして達成するという経験が必要です。
指示を与えすぎると「あいつは指示に従わない」といった敵対関係を強化する大きなマイナスにつながりません。
このため、ペアになった人たちに決定権を与えて自由にやらせることが重要です。そうすることで「こうしたらどうか?」「こっちの方がもっといいんじゃないか?」という共同で目的に向かう環境を作り出すことができます。
よりチームビルディングを重視した例では、課題やプロジェクト自体も本人たちに決めさせるという方法もあります。
ペアで仕事をさせるにあたって重要なことは、上司が部下に仕事を任せるということです。
チームのミーティングの企画、報酬や昇進既定の見直し、社内のツール制作といった、上司が意志決定している課題を部下にそのまま任せ、決定権を与え、二人で共同してやらせるようにします。
これだけでも、チームビルディングに大いに役立ちます。
逆に言うと、チームメンバー間の人間関係が育たないのは、そこにいる本人たちの問題ではなく、仕事を適切に割り振り、任せることができないマネージャーの責任でもあるということです。
チームでの人間関係を築く方法に「ベテラン社員が新入社員とペアになる」があります。
これは非常に有効です。ベテラン社員はたくさんのことを教えることができます。そして新入社員には吸収する意欲があります。(そうでない社員は採用すべきではありません)
そしてその二人の関係性は強い信頼関係を育みます。
企業における社員同士の人間関係は重要な割に見過ごされがちです。放っておけば次第に人間関係ができることもありますが、偏ったり、部署間に壁ができたり、派閥ができたりと、組織にとっていい方向には進みません。
それを避けるために、会社側が意図的にチームビルディングを行う必要があります。
そのためには、チーム内でペアをつくって、プロジェクトや決定に取り組ませる機会を作り出すことが重要です。
この記事の内容はGoogleのCEOと会長を務めたエリック・シュミットやプロダクト責任者を務めたジョナサン・ローゼンバーグらが書いた「1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え」の内容の一部要約と自分なりの解釈を加えたものです。
ビル・キャンベルはAppleのスティーブ・ジョブズやGoogleやTwitterの経営幹部のコーチングを務め、世の中に偉大なリーダーを何人も送り出してきた人物です。
ビル・キャンベルが貫いてきた生き方やそこにまつわるストーリーには、最高のチームを作るためにリーダーやコーチが知っておくべき考え方や行動が宝の山のように詰まっています。
その考え方はビジネスやチームを成功に導くだけでなく、人として幸せに生きるためのより本質的な知恵でもあります。
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