世の中には高学歴でスペックが高いのにも関わらずお客さん離れを止められない人と、高学歴でなくともお客さんが信頼してどんどんと集まってくる人がいます。
そこにはお客さんへの接し方に関して明確な違いがあります。
ここでは両者の違いを、例を使って解説しています。
例えば、有名医学部を卒業して、開業して自分のクリニックを始めたお医者さんと、大学も出ていない地方の合い鍵屋さんがいたとします。
過去に勉強もしてきてスペックが高いのはお医者さんです。ですが、そのクリニックからはお客さんがどんどんと去っていきます。
通っている人もいますが、決して、そこに行きたいから通っているわけではありません。特に好きでもないけど近いから通っているという状態です。
一方、合い鍵屋さんは大した学歴はありません。ですが、ちょっと遠くに住んでいる人もその合い鍵屋さんに足を運びます。
この両者の違いはなんでしょうか?
お客さんがどんどんと離れるお医者さんの理由は「お客さんの気持ちに寄り添うことができていないため」です。
知識はあり腕は確かなのですが、自分は医者だというプライドや何でも知っていなければいけないという自負心があります。
このため「これは〇〇ですか?」と聞かれて、その答えが分からない時に「まあ、国が認めているのでそうじゃないですか?」といった、責任逃れのような回答をしがちです。
決して「わかりません」と言おうとはしません。
患者さんは不安で質問をしているのに、その不安な気持ちを完全にスルーしています。
間違っているわけでも、違法なことをしているわけでもないのですが、相手の心に寄り添えていないというたった一つの理由でお客さんを逃してしまいます。
「この人信頼できない」と感じてしまうわけです。
人が集まって来る合い鍵屋さんの理由は「お客さんの利益を優先に考えているから」です。
商売をしている人は少しでも自分たちの利益を多くしようと考えがちです。ですが、この合い鍵屋さんはお客さんの利益を第一優先しています。
「この合い鍵が欲しいです」と言われても、自分たちのところでできいないものであれば「このタイプはできないんですよ。なぜなら~」と言ってできない理由をきちんと説明します。
それだけではなく「このカギなら〇〇に行けば、作成してくれますよ」と他の鍵屋さんやディーラーを紹介してくれます。
決して、受注欲しさに「できる」と言ったり、「できない」と言って突き放すことをしません。
自分たちで解決できることがあれば、自分が力になるし、自分でどうにもできないのであれば、他の解決する方法を提案してくれます。
お客さんは「この人は信頼できる人だ」と感じて、次回何かあったときは迷いなくその合い鍵屋さんに行きます。
行けば必ず適切な解決策を提示してくれるからです。
それだけでなく「あの合い鍵屋さんはいいよ。だって~なんだ」というように周りに口コミを広めることもします。
「これはなんですか?」という質問をされたときに、そのお客さんをグッと引き込むためにはどういった回答をするべきだったのでしょうか?
それは決して難しいことではありません。むしろ繕うよりも簡単な正直に言う事です。
「すみません、詳しいことは私もわかっていないです。不安だと思いますが、これは国の厳格な検査を通過してきているもので、〇〇さんのような方にも処方できるものですので、ご安心いただいて問題ないと思います」
これで、相手の人は「正直だし、気持ちに寄り添ってくれた」と感じるようになります。
論理だけで見ると言っていることは「まあ、国が認めているのでそうじゃないですか?」と変わりません。どちらも「国が認めているので問題ない」という結論です。
大切なことは「詳しいことはわかりません」という自分の正直な気持ちを伝えることと、「不安だと思いますが」と言って相手の心に寄り添うことです。
もし、この言葉でまだ相手が不安そうにしているのであれば「少しお時間いただけますか。ご心配なされている影響があるのか確認してみます」と伝えて、確認をして伝えてあげると、その患者さんは次回も迷いなくこの病院に来るようになります。
一つ重要なポイントがあります。それは「正直」ではなく「誠実」が大事ということです。
私たちの多くはウソをつくなとしつけられ、正直であることがいいことだと考えています。ですが、決してそんなことはありません。
正直は時に相手を深く傷つけることになります。例えば相手がかわいくないと思ったときに「ブサイクですね」と正直に言う事はマイナスでしかありません。
一方「誠実」には「真心を込める」という意味があります。つまり、相手にとって心から良い結果になることを望むということです。
言葉 | 内容 |
---|---|
誠実 | 相手にとって心から良い結果になることを望む |
正直 | 思ったことをそのままいう |