1on1ミーティングと言う言葉を聞いたことがある人も増えてきたと思います。もともとはシリコンバレーなど海外で主流だったものが日本でも広まってきました。
最近では大企業やメガベンチャーなど多くの有名企業が1on1ミーティングを採用しています。
1on1ミーティングは通常のミーティングのように会社側がやってほしいことを部下に共有したり指示・説明する場ではありません。
流れとしては真逆で、部下の体調や現在の業務に抱いている想い、直近の目標や未来の目標などを部下に喋ってもらい、上司が聞き役に徹する場です。
そのためには、上司が自分から喋って部下を問い詰める場にならないよう目的をしっかりと認識し、話しやすい空間を用意したり、会話が止まらないように質問を用意するといった努力が必要になります。
急にファシリテーター(スムーズな会議を実現するための進行役)になってくださいと言われても、なかなか難しいものです。
ここでは、1on1ミーティングで使える質問や伝え方の一覧についてまとめています。
そもそも1on1ミーティングは主に次の12個で構成されます。
話すテーマは毎回同じである必要はなく、その時の部下がもっとも気にしていることについて話を進めます。
それぞれの詳細については世古詞一さんの書かれた「シリコンバレー式最強の育て方 人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング」をご参考ください。
部下との信頼関係を構築するにあたって最も重要な基盤になるのがプライベートの理解です。
例えば、相手の名前をフルネームで漢字で書けるか、出身地はどこか、趣味は何かといった仕事以外の相手に関することを知り、理解を深めていきます。
人が心や体に不調をきたしているとき、その影響は睡眠に最も現れやすくなります。
毎日7~9時間寝れているのであれば健康状態は良好です。ですが、6時間を切っている場合は要注意です。
睡眠時間など体調の確認から始めて、現状を確認していきます。
人がモヤモヤを解消するには、心の中にたまっているものを全て吐き出す必要があります。
というのも、私たちはモヤモヤを吐き出さない限り、それが頭の中で堂々巡りにグルグルと回ってしまう性質を持っているためです。
このため、相手が心の中に抱えているモヤモヤを全て出し切ってもらうというのが重要です。
目的はアドバイスして解決することではありません。決してアドバイスをしてはいけません。
あくまで、相手の心の中のモヤモヤを聞ききることが目的なので、聞き役に徹する必要があります。
心理学の研究により、モチベーションは小さな達成をし、それが周りから承認されることで上がることがわかっています。
つまり、どんな些細なことでもそれを拾い上げて「ここがいいね」と伝えることが重要です。
「いいね」と褒めることが難しい場合でも「〇〇したんですね」とその人が行った事実を伝えれば、それは承認になり十分な効果を発揮します。
褒める内容は大きなことである必要はありません。
「報告が早くて助かるよ」「挨拶が気持ちいいね」といったことでモチベーションを上げる効果があります。
部下が悩みを抱えるとしたら現在向き合っている業務が対象となっていることが一般的です。また組織としても与えた課題に意欲をもって取り組んでもらうことが重要です。
そのためには現在抱えている業務の問題点などがないかを聞き出します。
組織として成長していくためには、部下が自分の業務だけと向き合うのではなく、組織全体に目を向けられるようにしていく必要があります。
ここでは部下が組織のために何ができるかを自分自身で見つけられるようにサポートします。
現場で働いている人たちは、市場の変化などについても身をもって感じている人たちです。
そういった人たちに今抱いている感情や今後の未来展望を聞くのも、その人の不安要素を見つけたり、組織の一員として大切に見ていることを伝えるためにも効果的です。
こうした質問はレベル感が高いので、ある程度優秀な社員に対して行うと話が弾みます。
社員には必ず達成すべき目標ややるべきことが与えられています。本人が「なぜそれをするのか?」という理由を理解していないと、やらされ仕事になってしまいモチベーションの低下や、非協力的、未達成につながってしまいます。
そこで、今与えられている目標をなんのためにするのか?という理解度の確認をすることも重要です。
また、目標の理由の確認だけでなく、それをいかに効率よく達成するか、その達成が本人にどうつながるか、達成できないとどんな損失を被るかということを、本人自信に自覚してもらうことが大切です。
過去に設定した目標の評価をして、自分自身の中で内省をおこなうことも重要です。
評価はあくまで上司が行うのではなく、本人自身に行ってもらいます。
業務を遂行するうえで誰もが何かしらの能力を発揮しています。
ですが、そうした能力は自分で言語化し自覚できないと、再利用や人に教えることができません。このため、自身の持っている能力について自覚してもらう必要があります。
相手が能力を開発するためのサポートをすることも上司の役割です。
その人が持っている能力は普段から意識的に(あるいは意識せずに)得意としてやっていることです。
どんな能力が欲しい?と聞かれると困ってしまう人も、「強み」「やりがい」「大切にしていること」
という聞き方をされると答えやすくなります。
新たな能力を獲得するには、自分が持っている弱み(できないこと)を自覚する必要があります。
モチベーションを保って仕事に取り組んでもらうには、その人が今後どうなっていきたいかを、業務面だけでなく、プライベートの面でも理解することが大切です。
人には、将来やりたいことから逆算して今何をすべきかを考えるトップダウン型と、今目の前のことを一生懸命やることが将来につながっていくと考えるボトムアップ型の2種類がいます。
このため、将来やりたいことがないからといって、それは悪いことではありません。
一緒に少しずつ見つけていくような姿勢も重要なキャリア支援です。
心理学が進んだことで、人は理由がないと言われたことや依頼に反発心を抱く傾向があることがわかっています。
逆に、何か理由さえあれば、その理由の妥当性が低かったとしても、それを進んで受け入れる傾向にあります。
上層部で決まったことを「部下に伝える必要はない」「大したことはない」と考えている人もいますが、それでは部下の心はどんどんと離れていってしまいます。
もちろんすべてを伝えると余計な情報によって混乱してしまうこともあるので、その人が関連する可能性のある情報のみに絞って背景や理由を説明することが大切です。
具体的には「決定事項」「理由(背景)」「メッセージ」の3つの観点で伝えるようにします。
1on1ミーティングは継続してクルクルと回すことでお互いの理解度が深まったり、やると決めたことができた、あるいはできなかったという結果が表れて、次のアクションへとつながっていきます。
このため、最後には「まとめ」と「いつまでに何をするか」を決める必要があります。
なお、まとめは上司がやるのではなく、部下にまとめてもらうことが大切です。最後の最後まで1on1ミーティングの主役は部下です。
最後に必ずネクストアクションを明確にします。これも相手の口から言ってもらう必要があります。
もちろんこれらの12個の項目を1度のミーティングですべてやりきることは不可能です。時間が足りなくなります。
また、その時々によって社員が抱えているモヤモヤや要望が異なるので、予定していた通りに行くとは限りません。(そもそも世の中は想定外が当たり前です)
部下との信頼関係を構築すること、1on1ミーティングの場はメリットが大きくて楽しいと感じてもらうように進めていくことが、今後も継続し成果を出し続けるために重要です。
この記事の内容は「シリコンバレー式最強の育て方 人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング」の内容の一部抜粋と要約です。
この本には世界の先端を走るアメリカ シリコンバレーの企業で行われている人事のあり方について実例を交え具体的な方法が多数紹介されています。
興味を持たれた方は手に取ってみることをお勧めします。