時代の変化とともに職場における服装も大きく変化しつつあります。例えば、シリコンバレーではスーツを着ないことが当たり前になり、スーツを着ている人は古いタイプの人間だというように白い目で見られるようになっています。
日本でもスーツ着用を義務付けない職場が増えてきています。そういった変化は悪いことではありませんが、働く人たちやそれを取り入れる人たちが理解してなければいけないことがあります。
それは、なぜスーツではなく各々が好きな格好をするべきなのか?という理由です。
ただ、流行だから、なんとなくカッコいいからという理由でスーツを着用しない人や、組織は重要なことを見落としています。
職場における服装選びの目的は、あくまでチームのために自己のパフォーマンスを上げることです。
自分がその格好をすることで自分の最高のパフォーマンスを引き出したり、チームに良い影響を与えるから行うものです。
シリコンバレーの人たちがなぜスーツを着ないかといえば、プログラミングをするときに、スーツだと肩ひじが張って、作業効率が落ちたり、疲労がたまりやすくなるためです。
疲れたときに、そのまま床に転がって寝るというのもしにくいものです。
スーツを着ることがソフトウェアエンジニアリングという業務のパフォーマンスを上げないため、スーツを着ることは合理的に愚かな選択ということです。
流行やカッコいいというよりも、合理的でなく、チームのパフォーマンスを最大化しないということが理由です。
服装は業務におけるパフォーマンスを最大化するためのツール、あるいはパフォーマンスを阻害しないためのツールでしかありません。
Appleのスティーブ・ジョブズやFacebookのマーク・ザッカーバーグが同じ洋服しか着ないのは有名な話です。
私たちが1日の中で判断に使えるエネルギーは限られています。服を選ぶといった判断を一つすることでその要領が減ります。また時間も消費します。
これを防ぎ、その分のエネルギーと時間を仕事のパフォーマンス向上に回すために毎日同じ服を着ているわけです。
つまり、スーツを着ない人たちも、毎日同じ服を着る人たちも、目的はただ一つ「チームのパフォーマンスをいかに最大化するか」だけです。
元Googleの人事部門のピョートル フェリクス グジバチさんは、毎日黒い洋服を着ます。
その理由は「コーヒーなどをこぼしても汚れが目立ちにくいから」です。
朝イチから仕事に集中したいため、洋服にはいちいち気を使っている暇はないということです。
服装はチームのパフォーマンスをいかに最大化するかを追求するための一つのツールでしかありません。
このため、時と場合によってはスーツの方が好ましいことが頻繁にあります。
例えば、みんながスーツで集まるのが当たり前のような会合に出席するときは、スーツで出席した方がいいです。
また、日本では特にそうですがスーツを着てる人=きちんと仕事をしている人というイメージが根強いので、営業活動するときはスーツを着ていった方が成約率が上がるか可能性があります。
その際は、自分がカッコよくみられる格好ではなく、お客さんとの間に信頼関係を築きやすい格好を追求するべきです。
スーツが良い悪いというのではなく、最大のパフォーマンスをあげるために、何を着るべきかを考えることが重要です。
スーツを着た方がいいパフォーマンスが出せるのに着たくないと言う人は、仕事やチームの成果よりも自分の利益を優先する人なので要注意です。
ところが会社の中にはジャラジャラとアクセサリーを着けたり、小物の一つ一つにまで気を使うようなファッショナブルな人がいます。
それも、課長や部長といった役職が上の人に多い傾向があります。
こういった人たちは「私は暇です」「仕事に集中していません」「仕事よりも自分がいかによく見られるかの方が重要です」と自分から主張しているようなものです。
この記事の内容はモルガン・スタンレーやGoogleで人材育成や組織開発を率い、自身も起業家であるピョートル・フェリクス・グジバチさんの著書『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』の一部要約に個人的な見解を加えたものです。
本書は現代の組織に求めれているものは何か?それを得るためにはどうすればいいかが具体的かつ論理的に記されています。
使われている用語は専門用語ではなく、誰にでもわかりやすいものになっていて、例も豊富に乗っている非常に実践的な良書です。
会社を率いている人や部署を率いている人、あるいはマネージャーを目指している人の必読書といえます。
この記事に興味を持たれた方は実際に本書を手に取ってみることをお勧めします。