最近は多くの企業で1on1ミーティングが取り入れられています。もともとシリコンバレーなど海外で主流だったものが日本でも広まってきました。
1on1ミーティングの目的は通常の業務の割り振りミーティングや年次評価の場のように、上から下に一方的に伝えるものとは全く異なります。
1on1ミーティングの目的は「上司が部下の状況や悩み、目標などを聞き、部下自身が内心をスッキリさせることで、仕事や未来への挑戦に向かって行動できるようにすること」です。
つまり、話すメインは部下で、上司は部下の聞き役に徹するということです。
上司が目指すべきところは、「部下にいかに気持ちよく話してもらうか」になります。
ここでは、1on1の目的を達成するために、部下に気持ちよく話してもらうためにするべきことをまとめています。
まず初めにするべきことは意識改革です。上司など上の立場だから「私が偉いんだ」といって、部下を従わせたり評価するような態度で臨むと1on1の目的は達成できず失敗に終わります。
「話を聞いてやるから話せ」といった態度ではいけません。
そうではなく、自分よりも部下を優先する「部下に話を聞かせてもらう」という姿勢で臨む必要があります。
「あなたの話をぜひ聞かせて欲しい」といった姿勢が重要です。
外部のクライアントに対して接するように部下に接する必要があります。
スケジュールを決めるときは部下のスケジュールを優先します。
部下の都合を聞かずに無理やり「入れといたからよろしく」という態度ではいけません。
外部のクライアントに対してアポを入れてもらうとしたら「〇〇をお願いしたいのですが、いつ頃ご都合がよろしいでしょうか?」
というように、理由を説明して、相手のスケジュールを伺います。これを部下に対してやる必要があります。
「現状の業務の状況や上手くいっているところ、あるいはつまづいているところなど、〇〇さんが今後働きやすい環境を作るために近況を聞かせて欲しくて。30分ぐらいのミーティングなんだけど〇月〇日の〇時からで都合はあいてるかな?」
と言って相手の都合を優先しつつ確認をします。
1on1ミーティングを設定する上で特に大事なことは「なぜやるのか」という目的を明確に伝えることです。
部下が「これなんでやるんだっけ?」「何の意味があるの?」とならないようにする必要があります。
例えば、メールで案内を出す場合は次のようなフォーマットが参考となります。
〇〇さん
お疲れ様です。
今回、〇〇さんをはじめチームメンバー1人1人と1on1ミーティングというものを始めようと思っています。
目的は、〇〇さんの健康面や業務で困っていること、業務で成長したことの共有、さらに今後のキャリアや部門の方針の説明など、〇〇さんがさらに業務に集中できるような状況や環境をつくっていくためにいろいろとお話を聞かせて欲しいと思っています。
これからどうやって実施していくかも含めて、〇月〇日の〇時から30分時間をいれさせていただきたいと思います。
また詳細は次回のミーティングでお話しますので、疑問点があれば教えてください。
よろしくお願いします。
いくら部下を優先するといっても、部下様様で完全に任意にしてしまうと、ズルズルと先延ばしにったり優先度が低いと考えれらてしまうので、ある程度の強制は必要です。
スケジュールは部下を優先しますが、まずはこちらから仮の日程を指定します。
相手任せにすると他の業務ばかりが優先されて、日程が決まらない可能性があるためです。
部下の体調や業務への状況は日ごとに変わるため、1on1ミーティングは1回きりではなく定期的に行う必要があります。
毎週30分、長くとも月に1回は行う必要があります。
直前になってスケジュールを入れるのはお互い調整が難しく不満が出やすくなるため、基本的には3か月先まで入れてしまうのがベストです。
3か月先まで予定を入れるといっても、1on1ミーティングを定例化してはいけません。
ルーティーンのようになってしまうと従業員の本当の声は聞き出しにくくなってしまいます。単なるルーティーン業務にしないための方法は、それを開催する人が工夫する以外に方法はありません。
クライアントに会いに行くときは「定例なので来ました」というような態度では臨まないはずです。毎月決まっていたとしても、それまでにネタを集め、会議の場では相手が退屈しないように場を弾ませる必要があります。
1on1ミーティングでも同じことをやる必要があります。
1on1の優先度は非常に高くするべきです。業務ではないですし、お金を生み出すものではありませんが、会社のために働く人材のモヤモヤを解消し、能力を伸ばすきっかけを作る場ですので、本流の大本となるとても大事なミーティングです。
ここがおろそかになると従業員たちの心が離れていき、モチベーションの低下、意志疎通ができていない、急な退職といったより大きな問題につながってしまいます。
体調不良や急な業務などでどうしても実施できない時があります。キャンセルしたときは必ずリスケすることが必要です。
1on1の目的は「部下に気持ちよく参加してもらうこと」です。そのためには実施する空間の雰囲気を決めることが重要です。
上司と部下の二人きりになったときに空間の雰囲気を決めるのは上司です。だからこそ上司は次のことを事前に確認しておく必要があります。
部下が気持ちよく話せるためには、狭くて窓のない息のつまる取り調べ室のような部屋では逆効果です。
部下が「息が詰まるな。早く出たい」と感じている状態では本音は出てきません。
ある程度の広さがあって、天井が高く、自然の光が降り注ぎ、外が見渡せる開放感のある部屋の方が、心も開放的になります。
会社やオフィスといった場所に捕らわれず外で実施することも、解放感を得るための一つの手です。
毎回は難しいかもしれませんが、3か月に1回などタイミングを見て実施することもありです。
その場の雰囲気を決定する重要な要素に「表情」があります。
「表情」の力は私たちが想像している以上に絶大です。下っ端の頃ならピリピリした上司が一人いるだけで場が嫌な雰囲気になるのを感じていたはずです。
ところが自分が上の立場になると、なかなかその感覚を忘れがちになってしまいます。
なぜなら周りではなく、あなたが周りに影響を及ぼす立場になっているからです。
だからこそ、自分自身の表情には要注意する必要があります。
上司がピリついた表情をしていては部下は決して心を打ちとけて話すことはできません。
一方、上司が微笑んだ顔をしていれば、部下も話やすくなることは間違いありません。
部下の緊張を和らげて、楽な気持ちで話せるような小物を用意することも非常に効果的です。
チョコレートなどのちょっとしたお菓子や、甘めのジュースを用意しておくだけでも場の雰囲気が和みます。
他には、クッシュボールというストレスを和らげる柔らかいボールや、時間を区切って集中力を上げるためのタイマーなどの小物があると効果的です。
「物事の名前」は私たちが思っている以上に私たちに影響を与えます。
一般意味論を構築したことで世界的に有名な学者 アルフレッド・コージブスキーの逸話がそのことを示しています。
アルフレッド・コージブスキーは、ある日コージブスキーは学生達への講義を突然中断し、白い紙に包まれたビスケットの包みをブリーフケースから取り出すと「何か食べたかったんだ」と言いながらビスケットを食べ始めました。
そして、そのビスケットを前列に座っていた学生に勧めました。学生たちもおいしそうにビスケットを食べていました。
するとコージブスキーはビスケットの包みを覆っていた白紙を取り払って本来のパッケージを見せました。
そこには犬の絵が大きく描いてあり “Dog Cookies” (犬用ビスケット) のと書かれていました。
学生達はそれを見るとショックを受け、2人の学生が手を口にあてて教室からトイレへと駆け出しました。
これはアルフレッド・コージブスキーが「人は実際のものよりも、言葉に強く反応する」ことを示した例です。
1on1ミーティングの名前で絶対に使ってはいけないのは「定例会議」です。いかにもつまらなく義務的な印象を抱かせるためです。
「1on1ミーティング」は新しくかっこいいように聞こえますが、人によってはなにやら難しそうなミーティングだと感じるかもしれません。
そういったときは、オリジナルで気持ちが軽くなる名前を付けるのも効果的です。
「雑談ミーティング」「ユアタイム」「プレシャスタイム」「精神と時の部屋」など、どんな名前をつけるかはあなた次第です。
1on1ミーティングの目的は 「上司が部下の状況や悩み、目標などを聞き、部下自身が内心をスッキリさせることで、仕事や未来への挑戦に向かって行動できるようにすること」です。
上司は部下にいかに気持ちよくリラックスして本音を話してもらうかに注力する必要があります。
そのためには次のポイントが重要です。
1on1ミーティングは上司にとって決して楽な場ではありません。ですが、これを実施するかどうかで自分自身がこの先楽になり、会社の雰囲気が良くなるのかといった根本的に重要なことに影響します。
しっかりやればその分効果が明確に出やすいものでもあるので、是非頑張って取り入れてみてください。
この記事の内容は「シリコンバレー式最強の育て方 人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング」の内容の一部抜粋と要約です。
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