最近では「〇〇2.0」「〇〇3.0」といった表現が良く使われます。
この数値はイノベーションにより価値観や方法が大きく変化したことを示す区切りや時代を表しています。
IT界隈におけるソフトウェアやOSなどのバージョンを表す方法を、抽象的な概念として取り入れたものです。
有名なところだとWEB2.0やWEB3.0があります。
WEB1.0はホームページの時代、WEB2.0はSNSの時代、WEB3.0はブロックチェーンの時代です。
(一種の流行のようなもので、なんでもかんでも2.0、3.0のように表し「はいはい、またですか」という反応も少なくありませんが、、)
組織においては、既に5.0まで進んでいます。ここでは組織の時代の変遷についてまとめています。
組織5.0とは、人が集まり集団として行動する組織の形態が、旧来的なものから既に5つの大きな変革を迎えているということを示しています。
そして、現在最も新しく、社会に求めれれている組織の形が組織5.0です。
組織1.0~5.0はそれぞれ次のようになります。
バージョン | 主な組織形態 | 内容 |
---|---|---|
1.0 | ギャング・賊 | 権力や力で支配する。 |
2.0 | 政府・行政・学校 | 階層構造や規則、ルールで管理する。法律で守られ安定している。 |
3.0 | 大手企業 | 売上や市場競争に勝つこと、戦略や責任を重視する。 |
4.0 | シリコンバレー | 変化や社風、イノベーション、株主を重視する。 |
5.0 | 新組織 | 社会貢献や持続する社会、差別のない社会などミッションやユーザーを重視する。 |
未だにどの組織も存在していますが、世の中で人々が求める価値は明らかに変化しています。
古い形態の組織は人材流出がはなはだしく、そこを抜け出た人材はより新しい組織を求めて移動しています。
組織5.0の形態をとり、現代を引っ張っている新組織の代表としてはGoogleやAirbnbがあります。
例えば、Airbnb(エアビーアンドビー、通称エアビー)のミッションは次のようなものです。
そして、「Airbnbのプラットフォームに差別が許される余地はありません」と明確に宣言しています。
つまり、Airbnbのミッションをわかりやすくまとめると、「差別なく世の中の全ての人々が関われる場所を提供する」ということです。
そしてそれを地で行っている会社がAirbnbです。
Google(グーグル)のミッションは次のようなものです。
インターネットが登場するまでの世の中は、情報を牛耳っている人に権力があり、そうでない人は使われる立場か弱者であり続けることが決められていました。
生まれた時点で、成功か失敗かがほぼ決まってしまうような時代でした。しかし、Googleがミッションを掲げて誰もが平等に等しく情報にアクセスしたことで、本気で努力する人が上に行くことができるより平等な社会へと変わりました。
このように差別や不平等など社会的な不合理を本気で撤廃しようと掲げている組織が、組織5.0です。
組織5.0では、旧来の組織と比べて組織内のメンバーのつながり方も大きく変化しています。
これまでは階層構造で、社長ー部長ー課長ー平社員というように、高い役職にいる人が権威や自由度、決定権を持っていました。
しかし、組織5.0では、役職による偉い、高い、低いといった区別はなく、会社という一つのチームとして、チームのために職務をまっとうするつながりになっています。
「マネージャーは部下よりも偉い」というのではなく、マネージャーにはマネージャーの役割が、他の社員には他の役割があるといった形です。
「誰かに従う」という関係ではなく、みんながチームメンバー、すなわち「仲間」という考え方です。
社長も部長も、50代のベテラン社員も、20代の若手社員も同じ目標に向かって努力する仲間です。
組織5.0では組織の中にいる人の評価方法も大きく変わっています。
これまでは旧来の組織では、業績をあげたり、上の立場の人に気に入られることが重要な評価指標でした。
しかし、組織5.0では、組織のミッションに照らし合わせて、メンバーがどのように行動したかが重視されるようになっています。
高い売上を上げたとしても、その売り上げをどうやってあげたかによって、評価が大きく下がることもあるということです。
結果だけでなく、その行動をしている動機が重要視されているともいえます。
この記事の内容はモルガン・スタンレーやGoogleで人材育成や組織開発を率い、自身も起業家であるピョートル・フェリクス・グジバチさんの著書『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』の一部要約に個人的な見解を加えたものです。
本書は現代の組織に求めれているものは何か?それを得るためにはどうすればいいかが具体的かつ論理的に記されています。
使われている用語は専門用語ではなく、誰にでもわかりやすいものになっていて、例も豊富に乗っている非常に実践的な良書です。
会社を率いている人や部署を率いている人、あるいはマネージャーを目指している人の必読書といえます。
この記事に興味を持たれた方は実際に本書を手に取ってみることをお勧めします。