小規模国家と同程度の資金を持つ、世界的に有名な成功企業にGoogleがあります。
Googleは優れた人材が数多く揃っていることでも有名です。そんなGoogleには人材を採用するときに厳守すべき9つの条件があります。
そこには、採用するべき人物とはどういった人か、採用してはいけない人物とはどういった人かが明確に記されています。
ここでは各9箇条の内容とその理由についてまとめています。
1つ目の掟は「自分より優秀で博識な人を採用せよ。学ぶもののない、あるいは手ごわいと感じない人は採用してはいけない」です。
マネージメントや社長など役職があり上の立場にいる人たちは、自分たちのポジションや権威性を守るため、自分たちの地位を脅かす優秀な人を避けたがる傾向があります。
ですが、今いる人たちよりも優秀でない人を雇い入れることは企業にとってマイナスでしかありません。
企業が求めている人材は優秀な人材です。組織の中に優秀な人材がいれば、活気が湧いて新しい挑戦や変化が巻き起こります。
そもそも、上司は部下より優秀である必要はありません。なぜなら上司の仕事は、部下のやる気を引き出すことだからです。
一流の動物使いのようなものです。ライオン使いはライオンよりもパワーがあるわけではありません。強いのはライオンです。
強いライオンの能力を上手に引き出してコントロールできるからこそ、その動物使いに価値があるのです。
上司は部下のやる気を引き出して、組織としてより大きな成果をあげることに存在価値があります。
企業の資産はプロダクトと、そこにいる人たちと年月によって作り上げられた企業文化です。
これから先も成長を続けていくためには、企業文化を育み、人々をひきつける商品を出し続けていく必要があります。
商品と企業文化のどちらにも貢献することができないのであれば、そもそもその人がその企業にいることに価値はありません。
仕事は決して楽なものではありません。ありとあらゆる情報を収集して、みな一丸となって作り上げ、テストを繰り返しながら、ようやく出来上がっていくものです。
そのためには、胸の中に情熱を持ち、困難にぶち当たっても決してあきらめることなく何度でも立ち上がる人を採用しなければいけません。
口では立派なことを言うものの、全然行動しない人からは何も生まれません。うんうん悩んでいるだけでは何も進みません。
ただ考えるだけの人は企業には必要ありません。必要なのは仮説を立てて行動して、修正しながら正解に近づいていける人だけです。
世の中の多くの人は「仕事が欲しいだけ」の人がほとんどです。仕事が欲しいとはもっと具体的に言うと、お金が欲しい、地位が欲しい、経歴が欲しいといったものです。
そういった人たちの根本にあるのは自分の利益を優先するということです。自分の利益を優先する人たちは、失敗や誤りを恐れます。自分のイメージが崩れることを嫌います。
そして、チームやお客さんの利益になることよりも、自分自身が得することを優先します。それはズルや不正につながります。
周りが成功すると妬みます。周りの成功を阻もうとするものすらいます。そういう人は組織を壊します。絶対に雇ってはいけな人たちです。
そうではなく、柔軟な思考で、熱意と情熱があり、学ぶことを好む人を採用しなければいけません。
そういった人は「学ぶこと」を目的とします。学ぶためには挑戦すること、トライ&エラーを重ねることが最も得るものが大きいと理解しています。
失敗すること間違うこと、他人からどう見られるかを気にしません。企業が雇うべきはそういった好奇心旺盛で変化を好む人たちです。
どんなに優秀でも一人で仕事をしたがる人は、チームワークを無視します。
チームワークを無視する人がいると、チームワークはどんどん壊れていきます。「あの人もやってないんだから、私もやらない」という人が後を追うように出てくるからです。
仕事をする中で最も楽しいことは、会社の仲間と雑談をしたり冗談を飛ばしあう時間です。そうやって楽しむことができるから、職場も仕事も楽しくなっていくものです。
そのためには、周囲に刺激を与えられる人、みんなと協力できる人が必要です。
ひと昔前は与えられた仕事を一生こなすことで十分な成果を上げることができました。その人はその道のスペシャリストとしてみなから重宝されました。
ですが、変化が著しく速い昨今では、一つのことだけをやり続ける人は求められていません。
それよりも、新たに学ぶことや変化を楽しみ、どこまでも成長し続けていける人が求められる優秀な人材です。
そういった人は柔軟な思考を持ち、様々なことに興味を持つ人たちです。
「私はこれしかやりません」という過去や何かに捉われた人ではなく、「自分はいくつになっても学んで新しい能力を身につけ、進化していくことができる」と考えている人を採用する必要があります。
変化の速い現代においてイノベーティブな成果を出すには、ただ一つの仕事だけを淡々とやっていればいいわけではありません。
そうではなく異質な才能と異質な才能を掛け合わせることが、新たなイノベーションとなります。
医療分野とIT、建築現場とITといったように、これまで混ざり合ってこなかったものを混ぜ合わせることでまったく新しい化学反応が発生します。
そういった新しいイノベーションを起こすためには、仕事しか脳の無い人を雇ってはいけません。そういった人は創造性がなく、なにより一緒にいて面白くありません。
職場を活性化するどころか、非活性にしてしまいます。
多彩で、ユニークな興味や才能を持っている人というのは話が面白く、ネタが尽きないモノです。
採用の際に次の二つを吟味してみるといいでしょう。
成長する企業は、社員が誰かのためにという利他的な心で働いています。
他の社員やお客様よりも自分の利益を優先するという企業は上手くいきません。仮に、好景気のときに伸びたとしても、不景気になったとたんに軒並み潰れていきます。
このため、会社の中の文化や倫理観は他者の利益を優先できる状態でなければいけません。
そのためには、たとえほんの数人であっても、自分の利益を優先する人がいてはいけません。
リンゴの樽の中に、ほんの数個腐ったリンゴがあるだけで、樽の中のリンゴは全て腐ります。組織でもそれと同じことが起きます。
具体的には次のような人は絶対に不採用にすべきです。
倫理観を試すためには、その人が無防備な状態でどういう反応や行動をとるかを見る必要があります。
一つの方法に「秘書テスト」があります。
面接の際に、わざと5分ほどの隙間時間をつくり、その間に秘書がたわいもない話を話しかけます。「どこから来られたんですか?」「へえ、そこに旅行にいくとしたらどんな場所がお勧めですか?」といったことです。
そのときに「そうなんですね。それなら~がお勧めですよ」と親身になって答えてくれる人は、本質的な思いやりや礼儀正しさを持ち合わせた人です。
一方、「いまはそれどころじゃないんだよ」という心持を前面に出してぶっきらぼうに答えたり、失礼な態度をとる人は、本質的な思いやりや礼儀正しさに欠けた人です、即刻不採用で問題ありません。
誰を採用するかは企業にとって生命線です。中に一人悪い人が入ってくれば、組織は内部から腐って崩れ落ちていきます。
また、優秀でない質の低い社員がいると、同様に質の低い社員が次から次へと集まってきます。
「類は友を呼ぶ」という諺が示すように、同じレベルの人は同等の人を呼び込みます。
この法則で1つ重要なことがあります。それは、Aレベルの人材はAレベルの人材を引き付けます。しかし、Bレベルの人材はBだけでなくCやDも引き付けます。CやDが増えれば、会社の中はC、Dで溢れかえっていくということです。
このため、会社の質を高く保つにはAレベルの人材のみを厳選しなければいけません。一切の妥協は許されないのです。
また、社会心理学の実験で人(人だけでなく馬などの動物も)は人数が増えれば増えるほど、パフォーマンスが下がることが明らかになっています。
綱引きで引き手が一人の時は100%全力を出すのに、2人、3人と人数が増えるにしたがって、無意識のうちに少しサボる人が出てくるということです。
人が足りない、ポストを埋めなければいけないという理由だけで人を採用してはいけません。
「猫の手も借りたい」という言葉がありますが、猫の手はいりません。猫の手があったら余計な手間が増え、みんな迷惑します。
この記事の内容はGoogleの経営陣 エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル、ラリー・ペイジの共著「How Google Works ―私たちの働き方とマネジメント」の内容の一部抜粋と要約です。
一国家と同等な資金を持ち、世界中で知らない人はいないほどのGoogleという大成功企業の中で、
などなど、これからの時代に欠かすことのできない内容がギッシリ詰まった一冊です。堅苦しくなくユーモアがあり読みやすい文体ですので、ぜひ一読されることをお勧めします。