世の中には企業する人や新しいチャレンジをする人がたくさんいます。そういった人たちはもれなく「自分は大丈夫。なんとかなる。成功する」と考えています。
自己肯定感を持って、勇気を出し挑戦することはとても重要ですが、やみくもに「成功する」と考えて行動するのは危険です。
ここでは、なぜ人が楽観的に「成功する」と考えてしまうのか?とその危険性について解説してます。
なぜ人が楽観的に「成功する」と思い込んでしまうかというと、それは成功が身近なものだと洗脳されているからです。
テレビ、インターネット、SNS、本、音楽など、私たちは日々多くの情報に触れることができます。
そこでハイライトを浴びる人たちは成功している人たちです。成功者がテレビに出演し、ネットの番組に出たり、SNSで取り沙汰されます。
書店やオンラインショップに行けば、成功した人たちの本が所狭しと並んでいます。
音楽のヒットチャートでは成功した人たちや新たに注目されたグループで溢れています。
このように、私たちの身の回りは成功した人たちで溢れた環境になっています。
失敗した人たちよりも、成功した人たちが身近にいるのが私たちの世界です。
その結果「これだけ成功した人たちがいるなら、自分も大丈夫だろう」と思い込んでしまいます。知らず知らずのうちに周りの情報によって洗脳されてしまうわけです。
しかし成功の裏には全く異なる真実が隠されています。
世の中で成功している人たちの裏には成功できなかった人が大量に溢れています。
ヒットチャートで脚光を浴びているミュージシャンの裏には、成功を夢見て頑張ったものの脚光を浴びることなく夢を諦めていった人たちが何万人も存在します。
1人の人気小説家の裏には、本が売れなかった小説家が100人存在します。本が売れなかった小説家の裏には、本の出版社を見つけられなかった人が100人存在します。出版社を見つけられなかった小説家の裏には、書きかけの原稿で止まっている人が100人存在します。
日本の平均株価指数を表す日経225に含まれている企業はたったの225社だけです。ですが、日本全体で法人化された企業は264万社あります。世の中に成功と認められているのは1/10000です。
スポーツのチャンピオン、賞をとった漫才師、デザイナー、プログラマー、レストランなどこういったことが、あらゆる業界で起こっています。
私たちが「これをやろう!」と決めたら、それはその業界の山を登ることに決めたのと同じです。
同じ頂上を目指している人はたくさんいます。下の方で泣き崩れている人もいます。中間地点で力尽きた人もいます。
その人の渦の中をひたすら目指し頂上まで向かうことが「成功」につながります。
巷には成功者の情報が溢れていますが、それらを鵜呑みにしてはいけません。
理由は2つあります。
成功者の本の中には失敗に関する情報はほぼ書かれていません。「これをやって成功した」ばかりが並んでいます。
もしかするとその裏には大きな失敗が隠されているかもしれません。
成功につながったのは、輝かしい「これをやった」ではなく、その裏にある泥臭い行動かもしれません。
真実は書いた本人と直接関わった人しか知らないものです。
成功者が言っている「これをやれば成功する」の裏には、同じことをやって失敗した人がたくさんいます。
「瞑想が成功の秘訣」と言われ、瞑想を取り入れている成功していない人たちはたくさんいます。
「大きく投資するのがいい」と言われ、大きく投資した結果大きな損失をあげ死の危機に瀕している企業があります。
成功者の語る言葉ばかりに目を向けては真実は見えません。なぜなら、成功している人たちは自分が今やっている全ての行動が成功を支えていると思い込んでいるからです。
このような世界では実は「成功した理由」ばかり見るのではなく「失敗した理由」を見ようとすることが生き残りのために重要になります。
ですが、テレビやネットを見れたり本屋に行けば簡単に手に入る成功の情報とは違い、失敗の情報は巷に出回っていません。
テレビ番組は「あの人は今」のような落ちぶれたスターを取り上げることはあっても、ただの挫折した人を取り上げることはありません。
成功していない人は本を書きません。
このため、成功のための失敗の情報は自ら取りにいかない限り手に入ることはありません。
失敗の情報はかつては有望視されていたプロジェクトや投資、一時期もてはやされ消えていった人たちが眠る墓場を訪れることで得られます。
これらの情報は大々的には知られていませんが、探せば見つかるものです。
成功者がなぜ成功したかを語る情報や本で溢れる中、「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」や「貞観政要(じょうがんせいよう)」のように失敗した人たちに着目した名著もあります。
成功への山を登る途中で成功者のワナに陥らないよう、何度も何度も訪れましょう。
自分が成功していると思う時に、失敗した人たちの墓場を訪れることは確証バイアスのワナを避けることにもつながります。
私たちは自分の意見があったときに、無意識のうちにそれを肯定する理由ばかりを集めてしまう生き物です。
賢い人たちは「こうにちがいない!」と思ったら、それを証明するために、それとは逆のことを言っている否定的な情報を集めます。
進化論で有名なチャールズ・ダーウィンは自分が考えていたことと違うことを見つけたら、それを意識的にメモするようにしていました。
私たちも失敗者たちの墓場を訪れることで、真実へと近づくことができます。
かつては有望視されていたプロジェクトや投資、一時期もてはやされ消えていった人たちが眠る墓場を、可能な限り何度も訪れてヒントを得る。
この記事の内容はスイスの有名起業家 ロルフ・ドベリが記した「Think right ~誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法~」の一部抜粋と要約です。
人が陥りがちな思考の罠がとてもわかりやすくまとまっています。この記事の内容以外にも全部で52個の人の性質がわかりやすい具体例で解説されています。
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