日本の企業の働き方や社内での人間関係は柔軟になってきたとはいえ、未だに役職や階級が非常に重要視されているところがたくさんあります。
そういった人たちは「課長」「部長」などの肩書きを持っていることが偉さの象徴だと考えています。
そのような勘違いをしている人が社員の上に立っている企業は悲惨です。上司が命令を下し、部下を駒のように扱います。部下に敬意や服従を強要します。
そのような企業は短期的には成果を出すことがあっても、長期的には成果を収めることはありません。人が育たず、人材の流出がはなはだしいためです。
社内での地位の争いや蹴落としあい、派閥間の対立といった、いざこざが生まれ、本来成長や成果を出すためのエネルギーが社内で消費されます。
社内の雰囲気がよく、社員が強力しあって働く傾向がある組織で「課長」「部長」など人の上に立つ人はどのような人たちでしょうか?
それは、自分の努力や成果によって肩書きを与えられた人たちではなく、周りから「この人にリーダーになって欲しい」と選ばれた人です。
周りがこの人の下で働きたいと思う人の指示や方針だからこそ、自分も本心から従いエネルギーを注ぐことができるものです
新進気鋭のメガネ会社 OWNDAYSでは、上司になりたいという人が立候補して、社員が投票をすることでリーダーが決まります。
つまり、上に立つ人は選ばれた人ということです。そのような社員から選ばれたリーダーの下につくからこそ、社員の士気が高まり、成果につながります。
Appleのスティーブ・ジョブズやGoogleやTwitterの経営幹部のコーチングを務めたビル・キャンベルも次のように語っています。
あなたが優れたマネージャーなら、部下があなたをリーダーにしてくれる。リーダーを決めるのはあなたではなく、部下なのだ。
組織のガンとなる上司は、自分の肩書きや業績を盾にして、他の人たちに敬意を強要します。
「俺の方が偉いんだから」「俺の方が成績がいいんだから」「俺の方が年上なんだから」「俺の方が在籍期間が長いから」だから、敬意を払えと言います。
そう言って人を駒のように扱い、自分よりも下とみなす人の元で働きたいと考える人はいません。
つまり、敬意を強要する人は組織の中で上に立ってはいけない人です。(上司としてではなく、社員としてもいるべきではない人)
敬意とは他人に強制するものではなく、行動の結果、その人に自然と集まってくるものです。
自分たちのことを考えてくれ、能力を引き出してくれ、知恵を与えてくれる人には、自然と敬意が集まります。
つまり、自然と敬意が集まって来る人こそ、リーダーにふさわしい人物ということです。
当然、自然と集まってくるとは、楽して獲得できるということではありません。周りの人たちのことを考え、配慮し、「チームのために」「周りのために」と言って献身的に行動するからこそ、集まって来るものです。
肩書きを盾にして、敬意を強要してきた人たちは全てダメな存在で、組織からはじき出さなければいけないというわけではありません。
人は自分の過ちに気づければ行動を変えられるものです。
Appleのスティーブ・ジョブズやGoogleやTwitterの経営幹部のコーチングを務めたビル・キャンベルは、CEOという肩書きを武器にして、部下にあれこれと指示を出し敬意を強要してきた人物に対して次のように語っています。
君は部下の敬意を集めるのではなく、強要してきた。謙虚さと献身を示して、会社と部下を気にかけていることをわかってもらえ。
社員にチームへの貢献を義務付けるのではなく、自分自身がチームに貢献する姿勢を見せる。
肩書きや実績を盾にして人に指示を出し駒のように扱う人が組織にいることの一番の問題点は、「優秀な人が直ぐに辞める」ということです。
優秀な人ほど、強い自立心を持ち、自分の頭で考えて行動しようとします。このため、マネージャーになったばかりの人が部下に指示を出しても、部下がそれ通りにやるとは限りません。
むしろ、優秀な部下ほど指示に従わないものです。
そういった部下に対して「俺に従え」と言って従うことを強要すれば、優秀な部下はどんどんと辞めていきます。
そして、自分では考えることができない、指示待ち人間だけが組織の中に残ることになります。
マネージャーになったばかりの人は、直属の部下に指示を出しても、従ってもらえるとは限らない。実際、部下が優秀であればあるほど、単純に指示に従う可能性は低い。
マネージャーの仕事は部下に指示をだして、部下がその通りに動いて、組織に成果をもたらすことです。
部下を指示通りに動かすために一番重要なのは「信頼関係」です。マネージャーがいかに部下と信頼関係を築けるかがカギになります。
すなわち、マネージャーの一番の仕事は部下と信頼関係を築くことだといえます。
そして、マネージャーのために動いてくれる部下が多ければ多いほど、そのマネージャーの社内での権威は強まります。
この記事の内容はGoogleのCEOと会長を務めたエリック・シュミットやプロダクト責任者を務めたジョナサン・ローゼンバーグらが書いた「1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え」の内容の一部要約と自分なりの解釈を加えたものです。
ビル・キャンベルはAppleのスティーブ・ジョブズやGoogleやTwitterの経営幹部のコーチングを務め、世の中に偉大なリーダーを何人も送り出してきた人物です。
ビル・キャンベルが貫いてきた生き方やそこにまつわるストーリーには、最高のチームを作るためにリーダーやコーチが知っておくべき考え方や行動が宝の山のように詰まっています。
その考え方はビジネスやチームを成功に導くだけでなく、人として幸せに生きるためのより本質的な知恵でもあります。
この記事に興味を持たれた方は、本書を実際に手に取ってみることをお勧めします。あなたの人生をより幸せにし、成功へと導いてくれることは間違いありません。